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トレーニングの葛藤|雨降りの日は乗るべきか

寒いし、汚れるし、強度はあがらないし…。

言い出せばキリがありません。

宮城県南部在住ですが、いくら暖冬とはいえ12月も中旬を過ぎれば朝方の気温は氷点下の日も珍しくはありません。

日中の気温は冷蔵庫の中より寒く、走れば走るほど手足がかじかんで痛くなり、次第に感覚は無くなります。

どんなに頑張っても、練習中に感覚が戻ることはなく、帰ってきてもすぐにお風呂に入ることすらできません。霜焼けになるので。痛みに耐えながら室温で手足の感覚が戻るのをじっと耐えなければいけないんです。ま、冬のトレーニングあるあるです。

末端冷え症の自分にとっては辛い時期です。

そんな寒い中、雨や雪のコンディションというのは過酷を極めます。さらに厳しさが増すからです。そんな中で乗るべきなのか。意味はあるのか。そんな葛藤が生まれるのも自然なことだと思います。

ただ、1つ持っておくべき答えは、「外に出て乗る」という選択肢を常に上位に置いておくということです。では、なぜそこまでして厳しいコンディションでも乗るべきなのか。

答えは3つです。


1.雨が降っても寒くてもレースは開催されるから

練習するかしないかの1つの基準は、「そのコンディションでレースは開催されるかどうか」です。

春先や秋口、天気の移り変わりの中で、極端に冷え込む日がレース当日に当たることも珍しくありません。場合によってはミゾレやアラレがちらつくことも。でも、よっぽどの荒天でない限り、道路が凍らなければ、レースは開催されます。(たぶんね)

なので、レースという過酷な闘いを強いられる選手として、雨や雪くらいで文句を言っているようでは、スタートラインに立っていないのと一緒。全くお話にならないのであります。

レースコンディションは出場選手全てにとって平等です。どんなコンディションでもレースを走れるように、日々のトレーニングから慣れておく必要があるというのが私の自論です。

2.自分の体とパフォーマンスを知るため

風、気温、雨や雪、あらゆる気象条件・温度帯で、自分がどんなパフォーマンスを発揮できるのか。自分が最も良いパフォーマンスを発揮するためには、どんな工夫が必要かを日々確認しておく必要があります。

機材のセットアップ、ウェアの選択、補給食の種類やタイミング、試すことは数多くあります。

例えば自分の場合、10℃を切る気温だと極端にパフォーマンスが低下します。グローブもシューズカバーも真冬仕様にしています。レースになればスピード域も上がるので、体感温度も極端に低くなります。ただ、強度が上がり体温は上昇するので、薄手で通気性のあるウェアを選択するようにしています。汗をかいて冷えないように。補給食のパッケージは予め封を切り、取り出しやすいように背中ではなくお腹の中に忍ばせます。

…といったことも、普段から練習していなければ、いきなり本番でとはいかないのです。何百回、何千回と繰り返し経験を重ねることで、あらゆる状況に対応できるノウハウが身につくのです。

3.メンタルが強くなる

厳しいコンディションで走れば走るほど、メンタルが強くなります。なので、雨が降っても雪が降っても、厳しいコンディションであればあるほど可能な限り外でのトレーニングに出るべきです。

レースにおいてもそうですが、厳しいコンディションやレースを走ったことがあると、経験上最もキツい場面との比較で今を捉えるようになります

「あのレースの方がもっとキツい展開だった」「昨年の真冬に走った時の方がよっぽど厳しいコンディションだった」と、相対比較で現状が楽に感じられるようになるのです。

とはいえ、現実の苦しさは変わりません。寒いものは寒いし、痛みも変わることはありません。ただ、自分の中での耐性ができるというか。我慢がきくようになるんです。

確かに、トレーニングの効果だけを考えるなら、室内でローラーを回すことの方がよっぽど追い込めるし負荷をかけられるかもしれません。今ではズイフトなどのオンラインコミュニティもあって、楽しく苦しく追い込むことができると思います。

しかし、それだけではレースを走れるとは思いません。どれだけ厳しいコンディションで走ったことがあるか、どれだけ熾烈な闘いの最前線を潜り抜けてきたか。苦しい経験を積み重ねることが、レースに勝つ上で最も大きなウェイトを占めていると考えます。であるならばやはり、雨や雪、寒さなどの厳しいコンディションは、むしろ歓迎すべきでしょう。

もちろん、室内で、またはオンライン上で強くなれる人もいると思います。強くなるためのプロセスやアプローチは人それぞれなので、どれが正解かはわかりません。レースで結果を残した選手のやり方がその人にとって正解であるということが後からわかるだけです。

それでも、自転車ロードレースがリアル・スポーツである以上、外でどれだけ走ったかが実際のレースで勝てるかどうかを大きく左右するのは間違い無いと思います。

良くも悪くも慣れてしまう|葛藤が生まれる前にブレない軸をつくっておく

人間というのは不思議なものですね。たった数日外を走らなかっただけで、暑さ寒さが体にこたえるようになってしまいます。

逆に、「毎日外に出てトレーニングする」という能動的な行為を繰り返していれば、それが日常となり、当たり前に受け入れられるようにもなります。

どんなに寒くても、手足の感覚がなくなるような痛い思いをしても、「走る」と決めてしまえばただそれだけのこと。どんなコンディションでも乗ることが当たり前だと思っていれば、余計な迷いは生じません

体や心のコンディションはその時々によって様々ですが、雨や雪、暑さ寒さといった環境要因についてはブレない軸をつくっておくことが、選手として成長するためには必要だと思います。

さて、今週末から今季最強寒波が来るとかなんとか。脳天に突き刺すような寒さになるのはわかっていますが、それでもやっぱり外での練習が好きです。シューズにホッカイロを貼って練習に出ようと思います。

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