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武漢: 最前線のドクターズボイスまとめ

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武漢で治療にあたっている医師のインタビュー。 (中国の呼吸器科専門医向けメディア『呼吸界』より)。 複製権・翻訳権の侵害にならないよう、一旦すべて翻訳した後に解体し、自分の言葉…
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#武漢

武漢最前線のドクター(7) 楊萌さん(前編):「おむつ」を穿かなくていいくらい汗びっしょり……みえてきたのは「間近でじっくり観察」する大切さ

武漢最前線のドクター(7) 楊萌さん(前編):「おむつ」を穿かなくていいくらい汗びっしょり……みえてきたのは「間近でじっくり観察」する大切さ

北京の中日友好医院の呼吸器・集中治療医学科(RCU)肺癌病棟の主治医である楊萌(ヤン・モン)医師。午前9時から午後3時までの日中勤務を終えたばかりのところにお話をうかがいました。6時間の仕事は、緊張感と充実感のあるもので、彼女は回診、治療プラン、オーダー修正、そして引き継ぎのための診療記録などを担当しています。

「私たちは中日友好病院の第2陣として武漢に来ました。旧正月の2日目(1月26日)にこ

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【医療関係者向け】武漢最前線のドクター(7) 楊萌さん(中編):現場でみえてきたのはー「間近でじっくり観察すること」

【医療関係者向け】武漢最前線のドクター(7) 楊萌さん(中編):現場でみえてきたのはー「間近でじっくり観察すること」

(前編はこちら)

楊萌医師インタビュー続き。

――武漢で診察の初日はとても辛かったですが、2日目は自分の調子を整えることができ、気持ちは楽になりました。防護服を着用しても、私は普段通りの臨床医であるよう努めました。

バイタル、フィジカルなどルーチンの大切さベッドサイドで、バイタルをよく観察し、病歴を尋ね、フィジカルなどを丁寧に行い、冷静に臨床的観察を行うことは、どれほど大切かは言うまでもあり

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【医療従事者向け】武漢最前線のドクター(7) 楊萌さん(後編):間近でじっくり観察することの大切さ

【医療従事者向け】武漢最前線のドクター(7) 楊萌さん(後編):間近でじっくり観察することの大切さ

(前編はこちら)(中編はこちら)

肺炎は長期化する傾向。摂食量が少ないと低カリウム、低タンパク血症が起こりやすく、栄養サポートが重要ここ数日で仕事の効率が上がってきていて、病室に入ると絶え間なく働き、毎日大汗をかきます。冗談で「私はもう『おむつ』もしません。汗でぜんぶ出ちゃうから」と言うのですが、みんな同じです。みんなこのリズムに慣れましたし、日中は昼食は取らずに、午後3時まで働いたあとに夕食を

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【医療従事者向け】武漢最前線ドクター(6)|劉煜亮さん:効率的な診療、ハイリスク患者の早期識別について

中国の呼吸器科専門医師向けメディア『呼吸界』のインタビューより抜粋。早期識別のポイントに絞って翻訳してまとめました。

劉煜亮:副主任医師、副教授,重慶医科大学付属第一医院援孝感市東南医院医療隊隊長,医学博士,アメリカTAMU訪問学者。

疑似症患者を効率的に診療し、ハイリスク患者を早期に識別する。「陰性」が確定したら、すぐに患者の気持ちをケアして伝える私たちのグループも臨床経験についてまとめまし

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武漢第一線のドクター(4)侯剛さん(前編):人生初、4時間で100人以上診察。コンテナ病院とは?

中国医科大学附属第一病院の呼吸器・集中治療医学科(RCU)主任医師の侯剛(ホウ・ガン)医師。ホウ医師は「コンテナ病院」(中国語で「方艙病院」。野戦病院、仮設病院とも訳される「インスタント病院」。東洋経済にも财新の紹介記事がある)に支援に来たドクターで、武漢遼寧国家緊急医学救援隊の副隊長でもあります。コンテナ病院に対する漠然としたイメージから、武漢入りして1週間後、認識は大きく変わりました。4時間以

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【医療従事者向け】武漢第一線のドクター(4)侯剛さん(後編):軽症患者の胸部CTとリスクコミュニケーションについて共有したいこと

軽症患者の胸部CTについての経験を共有したい

一、肺病変は両側性多発性が多く、初期は単発で発生することもあり。周辺部への分布が顕著。
二、斑状陰影とすりガラス状陰影が見られ、halo sign、reversed halo singを伴うことがある。空洞は見られない。一部のすりガラス影/斑状影は球形または角形の変化を呈し、いわゆる「球形肺炎(spherical pneumonia)」であり、その原

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武漢最前線のドクターの声 (5)胡紅玲さん(前編): 診断に愕然...医師が感染したとき〜私に起きたすべてを共有したい

今回《呼吸界》記者は、隔離病棟でご自身の治療に専念している武漢センター病院の呼吸器・集中治療医学科(RCU)副主任の胡紅玲医師を電話取材しました。病状が心配でしたが、何よりも先に彼女の症例検討記録が送られてきました。「私のCTの変化は非常に重要な問題を提起しています。確定診断後の患者は必ず動態的に観察しなければなりません」。経験したことすべてを語る彼女の言葉は、医療現場での大切な注意事項になるでし

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【医療従事者向け】武漢最前線のドクターの声 (5)胡紅玲さん(後編): 医師が感染したとき〜私に起きたすべてを共有したい

【医療従事者向け】武漢最前線のドクターの声 (5)胡紅玲さん(後編): 医師が感染したとき〜私に起きたすべてを共有したい

【診療記録】
女性 44歳 武漢某医院呼吸器・集中治療医学科(RCU)主任医師
2020-1-15 悪寒、脱力、筋肉痛を自覚、体温38.2℃、体調不良のまま当直勤務、救急科と隔離病棟を回診、脱力と四肢関節痛の悪化を自覚。夜に胸部CT、右肺上葉にわずかにすりガラス陰影を認める。翌日当直勤務終了後に本院隔離病棟に入院。メチルプレドニゾロン40mg, qd × 4日、IgG製剤 10g, qd、リバビリ

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