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藤原
2022年11月20日 11:32
彼女のことを思う夜には、僕の夢には必ずカリフォルニアに雪が降った。白昼夢が朝まで続いた朝、結露した窓を開けると薄明かりの春の靄から埃っぽい冷たい空気が部屋に入り込んでくる。今は何時なのだろう、と思う。僕の部屋には時間がわかるものなど何一つない。僕は窓辺の椅子に座り、ハイライトにマッチで火をつけてスーツを着込む。彼女は僕の生活に現れない。僕は彼女のことを何一つ知らない。勿論彼女は僕のことも。僕は
2022年11月20日 21:32
彼は予感に満ちた初夏の早朝、東海道線のボックス席で、ある一つの象徴的な曲を書いた。その時期、僕は「旅」を頻繁にしていた。それは肉体的な移動であり精神的な移動でもあった。単純に、腕時計を外すこと、降りる駅で降りないこと、それが僕に出来る「旅」だった。帰る場所も行く場所も定かではない移動の中で、僕は何故か拘って在来電車だけに乗り、移動に飽きれば降りて、停滞に飽きればまた電車に乗り込んだ。降りてする