【連載小説】『お喋りな宝石たち』~竹から生まれし王子様~第五部 第七十三話「人気のシャボンアクセサリー」
第七十三話「人気のシャボンアクセサリー」
「お写真? えっ? 私と? 」
「はい。蒼川さんハンドメイダーさんの間では、
凄く人気なんですよ。
作品も可愛いし、ご本人も綺麗だし」
瑠璃はその話に驚くと笑った。
「こんな顔でよかったらいいですよ。
でもアクセサリーも宣伝してね」
その場にいた作家たちが笑い、
「じゃあ、あとで買いに来ますね」
と手を振って自分達のブースに戻って行った。
そのあとものぞきに来る人が後を絶たず、
フォスが説明していた。
「瑠璃さんのアクセサリーは人気なのね。
そういえばこの前プレゼントされたこの指輪も、
お教室につけて行ったら褒められたのよ」
指輪をかざして伍代が笑顔になった。
伍代は月に二回、
水墨画のイラストを習いに行っていた。
「そうなんですか。嬉しいな」
「今日は新作を一つ買おうかしら。
この水流………本当に綺麗」
「だったらお手伝いしてくれたお礼に、
プレゼントしますよ。
そのかわりに沢山宣伝してください」
「えっいいの? 嬉しいわ」
瑠璃と伍代は並べられたアクセサリーを見ながら笑った。
一通り並び終え、
瑠璃たちは企業ブースに向かった。
途中、フォスが気になった缶バッジを見つけ、
じっと見ていたので、
「あとで買いに来ようか」
と言った。
嬉しそうなフォスに瑠璃と伍代も笑顔になった。
企業ブースでは太一たちが準備をしていて、
略展示は終わっていた。
参加企業は十社ほどのようで、
中にはかなりの有名店もあった。
「あのショップさんも参加されてるんですね」
瑠璃が言うと、
「瑠璃ちゃん」
太一が商品から顔をあげた。
「こうやって並べられたのを見たら、
高級感出てますよ」
瑠璃が笑った。
「瑠璃ちゃん。おっ、フォスも来たんだ」
春木も声をかけた。
横にいた翠も笑顔で顔をあげた。
「春ちゃん~翠ちゃん~」
フォスが嬉しそうに抱きつく。
この前遊んでもらったのがうれしかったんだろう。
春ちゃん、翠ちゃんと呼んで、
可愛がってもらっていた。
太一の事はた~ちゃん、美津子の事はみ~ちゃんと呼ばせてもらい、
とりあえず会社の人間とも馴染めて、
瑠璃は一安心していた。
「えっと、この方は? 」
太一が横に立つ女性を見て瑠璃に聞いた。
「彼女は………」
そう言いかけたところで、
「ばあばだよ」
フォスが近づくと手を繋いで顔をあげた。
伍代は笑うと、
「瑠璃さんの親代わりをさせてもらってます伍代です」
と太一に言い頭を下げた。
「あぁ、聞いてます。おばあさんのお知り合いで、
お世話になったって瑠璃ちゃんが感謝してましたから」
「あら、嬉しい」
伍代は笑顔になると瑠璃を見た。
この記事が参加している募集
よろしければサポートをお願いします! いただいたサポートは物作りの活動費として大切に使わせていただきます。