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「その椅子使ってますか?」が激アツです!【MUCA展】

どうも。いかたこです。

京都市京セラ美術館で開催されている「MUCA展 ICONS of Urban Art 〜バンクシーからカウズまで〜」に行ってきました。

今回はMUCA展全体の感想というよりは、展覧会のなかで1番感動した作品について思ったことを書いていきたいと思います。

バンクシーの《 Are You Using That Chair? 》です。

※以下は個人の見解です(_ _)

Are You Using That Chair?

バンクシーの作品が並ぶ中に、ひときわ目立つ大きな絵がありました。見たことある気がするけど、この絵ってバンクシーだっけ? と思いながら作品の鑑賞を始めました。

まず目を引くのは、パンツ姿のおじさんでしょうか。なかなか不審者感がありますね・・・。おじさんの指からビームでも出たのか、お店の窓ガラスが割れています。そりゃお店の中の人たちも、びっくりして外を見ますよね。カウンターの中にいるお店の人は、眉間にしわが寄っている様子。おじさんがこの後どのような行動を取るのか、4人がぐっと身構えていおり、緊張感が伝わってきます。

おじさんもお店の中を指さして、真剣な表情で何かを訴えているように見えます。もし、おじさんの格好が強盗のように覆面の全身黒服であれば、絵の緊張感ももっと強くなったと思います。ですが、パンツ一丁であることでコメディっぽさがあります。手には何か飲み物を持っていますね。酔っ払いかな?

そういえば、バンクシーの有名な《 Love Is In The Air 》も展示されていました。

Love Is In The Air

この作品には、覆面の男が火炎瓶の代わりに、花束を投げようとしている姿が描かれています。男が持っているはずの火炎瓶を花束に変えることで、暴力と平和という対照的なものを組み合わせています。

ガラスが割れて身構えるという緊張感と、おじさんがパンツ一丁というコメディ感は、とても対照的なものです。このような本来は交わらないものたちの組み合わせは、とてもバンクシーらしいのかななんて思いました。


タイトルは《 Are You Using That Chair? 》。直訳すれば「その椅子使ってますか?」です。改めて絵を見てみます。

Are You Using That Chair?

えっと、どの椅子のことだろう? 絵の中にはいくつも椅子が描かれています。お店の中にはカウンターチェアが並んでいますし、おじさんの周りにもプラスチックの椅子が倒れています。

ただ多くの場合、「その椅子使ってますか?」という言葉は、椅子に座りたいときに使います。それなら「その椅子使ってますか?」と言っているのはおじさんで、お店の中の椅子のことを言っているのかなと思います。プラスチックの椅子では物足りず、お店の中にあるオシャレな椅子をうらやましく思ったのでしょうか。

しかし、おじさんの指は角度的にカウンターチェアではなく、お店の中をさしているように見えます。ということは、おじさんはただその椅子に座りたいというだけではなく、お店の中に入りたいと思っているのかもしれません。


さて、ひととおり鑑賞したところで、音声ガイドを聴いていきます。木村昴さんの声、かっこよくてステキです。

やはりこの作品は、エドワード・ホッパーの《ナイトホークス》をオマージュしたものだそうです。《ナイトホークス》にはパンツ姿のおじさんはいませんでした。

音声ガイドを聴き進めていく中で、《 Are You Using That Chair? 》の意図を知った時、鳥肌が止まりませんでした。

ホッパーの《ナイトホークス》は名画とされる作品です。パンツ姿のおじさんはバンクシーを表しているのでしょう。バンクシーは、「その椅子使ってますか?」と言いながらアートの世界に風穴を開け、自分もホッパーをはじめとする偉大な先人たちと同じ椅子(地位)に座ろうとしているのだと思います。

本作は、芸術界における椅子が使用されないまま空いており、バンクシーが自身の芸術的な位置づけを模索していることを暗示している。彼は、ドアを開けてギャラリーに入るのではなく、窓ガラスを割って入ろうとしているのだ。

MUCA展 ICONS of Urban Art 〜バンクシーからカウズまで〜 音声ガイド

ドラマだったら激アツのシーンです。バンクシー最強かよ! って絵の前で動けなくなりました。


以上が《 Are You Using That Chair? 》の感想です。

展覧会では10人のアーティストの作品が展示されていて、バンクシーだけでもたくさんの作品がありました。全部見終わった時、10人の芸術家たちからボコボコに殴られた感覚になりました。それほど作品1つ1つのエネルギーが強く、心が動かされました。

新しく好きな作品にも出会うことができて、とても楽しかったです!

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