ホシナタケシ|hands. design

僕の仕事のマンションのリノベーションの全てを時系列で最初から最後まで綴っていきます。人…

ホシナタケシ|hands. design

僕の仕事のマンションのリノベーションの全てを時系列で最初から最後まで綴っていきます。人物や物件はフィクションですが、他はほとんどリアルです。できるだけ詳細に丁寧に書いていきたいと思っています。

最近の記事

08. 訪問-6 ヒアリング-マンションのキッチン

マンションの既存のキッチンは、ほとんどの場合、決まりきった形と広さで、誰にとっても狭くて使いにくいので、当然、みんなが不満を持っている。特にPさんの奥さんみたいに料理が好きで、食事を楽しみにしている人にとっては尚更だろうと思う。これが理由で、マンションより戸建てが良いと考える人も少なくないと思う。 Hデザインがマンションリノベーションで提案するキッチンはコンロ側とシンク側の2列のアイランド型で回遊できるようにしていることが多い。Pさんも完成見学会や過去の事例で見ているHデザ

    • 07. 訪問-5 ヒアリング-帰宅後と休日

      Pさんと私たちが打ち合わせをしているダイニングテーブルの下で、Sはゴロンと横になって寝ている。初日からリラックスしすぎではないだろうか。 「お仕事から帰ってくる時間はどんな感じですか」 Pさん夫婦は少し考えた後、奥さんが答えた。 「私はだいたい18時には帰ってきます。主人は仕事や付き合いで遅くなってしまうこともあるし、バラバラです。私は帰ったら晩御飯の用意をするので、遅くなるかどうかは連絡をもらうようにしています。」 「最近は付き合いは減ったから19時ぐらいに帰れるこ

      • 06. 訪問-4 ヒアリング-朝

        「お二人は普段の日の朝は何時ごろに起きますか?」 テーブルの向かいに座っているPさんご夫婦に尋ねる。ヒアリングはだいたいこの質問から始まる。ヒアリングの目的は、Pさんの暮らしを私たちが具体的にイメージできるように教えてもらうこと。まずは朝起きて、就寝するまでを思い出しながらお話ししてもらい、さらに質問に答えてもらって様々なことを根掘り葉掘り聞いていく。 「主人が5時くらい?私は6時ぐらいに起きますね」 私たちの質問に答えてお話ししてくれるのはほとんど奥さんの方。奥さんは

        • 05. 訪問-3 採寸と調査

          竣工図の確認を終えて管理室を出た後、エレベーターの5階のボタンを押してPさんの家に向かう。エレベーターは改修されてきれいになっていて、比較的広々している。実際に工事をする時にはさまざまなものを搬入することになるから、広いと助かる。特にキッチンなどの造作家具や建具などは、大きさを検討するときにエレベーターの広さがポイントになることもある。どうしてもエレベーターに入らない場合は階段を使うけど、職人さんがかわいそうだからできるだけ避けたい。 5階で降りて室番号をたどりながら共用廊

        08. 訪問-6 ヒアリング-マンションのキッチン

          04. 訪問-2 Hデザインがやってくる

          こんにちは。私はP、妻です。 この数週間というのはとても大変でした。ずっと部屋中を整理し、不要なものをできるだけ処分し、収納の中、引き出しの中、クローゼットの中を整えて回りました。それも今日という日のためです。まだまだですけど、何もしなかったよりはだいぶマシになったと思います。 今日は朝から緊張しています。Hデザインの二人がさっき到着し、今は1階にある管理室で竣工図というものを確認しているらしいです。 このマンションに住み始めてもうすぐ22年になります。二人目の子供がで

          04. 訪問-2 Hデザインがやってくる

          03. 訪問-1 竣工図

          土曜日の朝。首都高速道路はスムーズに流れている。私たちはPさんの住まいに向かって車を走らせている。家から1時間弱の距離だ。車内ではラジオが流れている。ラジオ局はJ-WAVE。 J-WAVEの朝と言えばラジオドーナツ、略してラジド。J-WAVEの中でも気に入っている番組の一つだけど、だからと言ってわざわざチューニングして毎回聞いているわけではなくて、ラジオをつければいつもJ-WAVEが流れて、土曜日の朝は移動中だったり家の掃除中だから、たまたま毎週聞いている。僕にとってラジオ

          02. 相談会

          ベッドから出て、早朝の青白い空気と淡い光に包まれたリビングに向かう。窓の向こうには竹林が朝焼けに照らされ、オレンジに輝いている。私たちの大好きな朝の風景。 起床したばかりでまだぼんやりしていても、毎朝の家事はオートマティックに身体が動く。窓を開けて空気を入ると、ひんやりとした空気が流れ込んでくる。食洗機を開けて中の食器を片付けるところから始め、朝ごはんを準備して食べる。色々と変遷はあるが、最近は玄米に黒米、はと麦、押し麦を混ぜて炊いたご飯に納豆と温泉卵、味噌汁のセットに落ち

          01. 始まり

          植物性のオイルが揮発している香りをかすかに感じる。窓から窓へ気持ちの良い新鮮な風が流れていく。自然光が満ちて室内の様々な素材に反射したり染み込んだりして、居心地の良い肌触りを感じる。何人かの人が思い思いに室内を移動し、佇み、まだ生活感の無い住空間で何かを探しているみたいに見える。 今日はQさんの家の完成見学会。Qさんは新築でこのマンションを購入して18年暮らしていた。そして私たちにその住まいのリノベーションの提案と設計、施工を依頼して完成し、もうすぐ引き渡しになるその前に、