画像生成AIに、ロゴデザインを任せられるのだろうか?
昨年リリースされた「ChatGPT」などで話題の生成(Generative)AI。今年に入るとAdobeがCreative Cloudに生成AI「Firefly」を搭載し始めたり、集英社がAI生成画像を使ったグラビア写真集を発売するなど、日々何かしらAI関連の話題が耳目に触れます。
そういえばnoteにも「AIアシスタント (β)」としてテキスト生成AIが実装されましたよね。新しいところではイーロン・マスク氏がAI開発のための新会社「xAI」を設立したと報道されたばかりです。
テキストや画像だけでなく音声・動画などの生成AIも各分野で活用され始めていますが、一方で知的財産権の側面ではまだまだ不透明な部分も多く、今後の判例や法整備が待たれるところです。
例えば日本最大級の画像ライブラリを運営する株式会社アマナイメージズは、「日本画像生成AIコンソーシアム(JIGAC)」の設立を主導しながらも「AIで生成された画像が法的リスク・トラブルリスク・品質などの観点で同社が設定している審査基準を満たしていない」として当面は仕入・販売などの取扱を行わないというスタンスを表明しています。
ロゴデザインをAIに任せられるのか?
さて、ここから本題。はたして、企業や店舗、ブランドのロゴデザインを生成AIに任せられるのか? という話です。
結論から言うと、私見ではありますが、知的財産権の問題を別にしても(少なくとも現時点では)「任せられない」と考えています。
生成AIは、過去の膨大なデータ=既出のデザインをベースとして学習し再構成することで、プロンプトに沿った“それっぽい”ものを作り出すことを得意としています。その精度とスピードについては一般的な人間の能力を凌駕しているでしょう。
単純に作業のプロセスだけ見れば、これまでの経験を土台として新しいデザインを創り出すのは人間のデザイナーも同じように見えます。また「本当の意味で“完全にオリジナル”なデザインは現代には存在し得ない」というのもよく語られることです。
では、人間とAIの違いはどこにあるのでしょうか。
ロゴのデザインに求められるもの
そもそも、ロゴのデザインに求められるものってなんでしょうか?
詳しくは別の記事で触れる予定ですが、私たち(ID+ / Ash & Co.)がロゴをデザインするときに意識している「指標」とも言うべきものが存在します。いくつか重要なものを挙げると、シンプルであること・印象的であること・普遍的であることといった具合です。
そして、それらをデザインに落とし込むにあたって「ロゴがその企業(ブランド)の個性や思想、ストーリー、そして未来を表現できているか」という観点が最も重要だと考えています。
このような観点を踏まえてしっかりと咀嚼し、多角的な視点で考え抜き、人間が持つ情緒的な側面にまで配慮した上でオリジナリティの高いロゴをデザインすることは、生成AIには困難と思われる――というのが、「任せられない」と結論づけた根拠です。
先日、J-WAVE TOKYO MORNING RADIOで別所哲也氏がこんなことを語っていました。
一字一句レベルまで完全な引用じゃなくて恐縮ですが、とてもフラットで、的を射たコメントだと思います。
少なくとも現時点では――これからどうなる?
生成AIの活用が向いている領域とそうでない領域があるとすれば、ロゴデザインは後者なんだと思います。でもここに書いたことは「少なくとも現時点では」という注釈ありきの話です。
もし今後、AI技術が進化することで多角的な視点からコンセプト・メイキングができるようになったり、デザインのオリジナリティや精度が大きく向上するようになれば、そして知的財産権の問題がクリアになったなら、あるいは……人間のデザイナーにしかできなかったクリエイティブな作業を、AIにも任せられるようになる日が来るかもしれません。
もし本当にそうなるのなら、デザイナーという職業は“なくなる”のではなく、“仕事内容が変わっていく”のかな、と思います。
蛇足
実はこの記事、生成AIによって書かれたものなんです……というオチだったら面白いですね(注:冗談です)。
今回この記事を書くにあたっていくつかの生成AIサービスを試してみたんですが、使い方によってはとても便利なものだと実感しました。でも文章の正誤をわざわざ検証したり、画像の仕上がりや精度を調整するような手間を考えると最初から自分で書く/作る方がラクだし性に合っているな、というのが本音です。少なくとも現時点では。
ちなみに余談ですが、タイトルバックの画像はAIが生成したものらしいですよ。
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