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湖に寝転がる。フィンランドのサマーコテージで。

週末、日本から遊びに来てくれた友人カップルといっしょに湖のほとりにあるコテージを借りて2泊3日を過ごした。手入れが行き届いたきれいなコテージとガーデン、そこから境界なく広がる自然。非現実的なほど静かでうつくしく、風が止んで、鳥のさえずりすら聞こえないと、大袈裟なんかではなく、世界に自分たちしかいないんじゃないかと錯覚させられた。これまでの人生で経験したなかで、いちばんの静寂だったと思う。

食事をとりながら、花から花へ忙しそうに動き回るハチを見て、ああよかった、わたしたちだけじゃない、虫は生きているね、なんて冗談を言い合ったりした。

ボートで遊んで、BBQでお腹いっぱいになって、野生のカワウソを目撃するなんていうラッキーな出来事もあり、全部が楽しくて、忘れられない思い出になったけれど、中でも一番、身体が覚えていることがある。

フィンランドに来てからはじめて経験して、もう、すっかり慣れたサウナ。身体をほかほかにしたら、冷めないうちに、桟橋まで走って広い広い湖の中へ。頭のてっぺんまでざぶんと潜って2~3秒。湖面に頭だけ出してぷはーっと息を吐くと同時に、つい「気持ちー」と声が溢れる。

それから、サップを浮かべ、湖の真ん中の方まで漕いで行って、その上に仰向けに寝転がる。風がほとんどなかったので流されることはない。ほんの少しだけ揺れていて、目を開ければ空が動く。

ああ、わたし、湖の上に寝てる…

顔を横に倒すと、目線がほとんど湖面と同じくらいの高さになって、視界に入るのは空、森、湖だけ。目を瞑って、ただ浮かんでいる状態は、今までに感じたことがない感覚だった。空っぽなのに、満たされている、そんな感じ。

もしこれが完全に一人だったら、結構こわいんじゃないかな。少し遠くには友達がサップを漕いでいて、その小さな波が水面を伝って、わたしの方にやってくる。そばに友達がいる安心感があってこその、気持ちの充足。ひとりじゃないっていいなあ。

その後も、サウナに入っては湖に寝転がって、ただただその時間を楽しんだ。

今まで、わたしが知らなかった時間の使い方。
いや、時間を“使う”のではなく、ただ“過ごす”という感覚。

20代最後の夏を、フィンランドで過ごせてよかったと思う。

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