Eriko Sugita

Writer | とりとめのない日々のかけら。フィンランドでかんがえたこと、かんじたこ…

Eriko Sugita

Writer | とりとめのない日々のかけら。フィンランドでかんがえたこと、かんじたこと。 📷→https://www.instagram.com/e_sary125/ ✉️→https://note.com/ichinisan/message

最近の記事

友人を訪ねてÖland島へ/スウェーデン・デンマーク旅行記 Day1-2

StockholmからKarmarまで南下する6時間のバス移動。爆睡する予定が、少し気が張っていたからか、案外眠りにつくことができず、うとうとしては目を覚まし、またうとうと…を繰り返す。窓の外の景色は延々と田舎の景色が続き、さすがに長く感じた。乗車時には7割ほど埋まっていた席も、終点のKarmarに到着する時にはわたしを含めて4人といったところだった。 友人が待つスェーデン南部の島、Ölandまでは、Karmarからさらにローカルバスに乗り換え30分ほど。ここまで来れば、も

    • 早朝のストックホルム散歩/スウェーデン・デンマーク旅行記 Day1

      Stockholmの港から旧市街Gamla stanまでは、まっすぐ向かっても徒歩だと1時間以上かかる。それを寄り道したり、写真を撮ったりしながら歩いたから、どれくらいかかっただろう。 歩き始めてすぐ、霧ががかった夜明けの空がよく見える、視界の開けた場所に偶然出会い、つい立ち止まってぼんやりとその景色を眺めた。ほとんど人はいなくて、少し遠くに一人だけ、犬を連れた初老の女性がその景色にスマホを向けているのが見えた。 わたしがその場を離れると同時に、街灯の灯りがすとんと消え、

      • ディスコ直下の船室で不眠の一夜/スウェーデン・デンマーク旅行記 Day0

        10月末に念願のスウェーデンとデンマークをめぐる旅へ出掛けた。 現地に住む日本人の友人と10年越しの再会を果たし、新しい景色やうつくしいものにたくさん触れ、長い移動ではぐるぐると延々考えごとをした、濃密な1週間。 何かと落ち込みがちなこの季節に、前向きなエネルギーがじわじわと湧いてくる時間となった。 旅の行程はざっくりこんな感じ。 船、バス、電車、そして最後は飛行機。 のりものに揺られている時間が長かったのは、考える時間がたっぷり取れて、かえって良かった。 出口が見つか

        • フィンランドコラム「お父さんとベビーカー」

          WEB magazine「リンジン」さんでの連載コラム2本目が公開されました。 フィンランドでの日常で気づいたことや感じたことをお届けしています。 今回は未だに新鮮に感じる「お父さんとベビーカーを押している姿」から、子育てをテーマに書かせていただきました。 さくっと読める短いコラムなので、ぜひ読んでいただけるとうれしいです。 ▼連載1本目についてはこちら

        友人を訪ねてÖland島へ/スウェーデン・デンマーク旅行記 Day1-2

          すきなもの

          少し暗い記事が続いてしまったので、気晴らしに、すきなものについて書いてみようと思う。 音 -おんがく 大学生のころに出会ってから、かれこれ10年近く、いつもわたしのそばにあって、ほとんど生活の一部となっているのが、アイリッシュミュージック。 といっても、本場のアイリッシュミュージックのことはよく知らない。 わたしには、だいすきな3つのバンド(tricolor/john john festival/O'jizo)があって、そのバンドが傾倒するのがアイリッシュミュージック。

          すきなもの

          人生は一つ、自分は一人だけれども

          日本で仕事、仕事、仕事の日々を送っていた半年前の自分と、フィンランドで自分のペースで暮らしている自分。 生活スタイルだけを見れば別人のようだけれど、日本での生活もそれなりに気に入っていたし、もちろん今の暮らしも楽しんでいる。 *** 少し前に、半年ぶりに「仕事が溜まる」という状況を一時的に味わって、それにうっすら快感を覚えた自分がいた。結局、自分はそういう性なんだと思う。忙しい状態が嫌いじゃないどころか、わりとはっきりと、好きなのだ。 ただ、以前は、たまに文句を言いつ

          人生は一つ、自分は一人だけれども

          はじめて“日本に帰りたい”が頭を過った。逃げ道を持っておく強さ。

          しんどいできごとがあって、フィンランドに来てからはじめて「日本に帰りたいかも…」と思った。 自分一人では消化できなくて、日本の友人に話を聞いてもらった。友人、というよりも、“お母さんのように慕っている人”と言い換えた方がいいかもしれない。わたしのことをよく理解していて、自分より長い人生経験があり、でも同世代の友人みたいな気楽さもある、そんな存在。 電話で一通り話を聞いてもらって、あたたかい励ましをもらい、何より慕っている人の声を聞くだけで、ずいぶんと気が楽になった。 その

          はじめて“日本に帰りたい”が頭を過った。逃げ道を持っておく強さ。

          季節はいつの間にか過ぎてゆく

          どうして季節は、いつも気がついたら過ぎているのだろう。 ついこの間まで、緑の間からきらきらと溢れる、北欧のやわらかい夏の陽差しにうっとりしていたかと思えば、9月の終わりにかけて一瞬できゅっと引き締まるような空気に変わった。朝晩に外に出れば、秋を通り越して、冬のにおいがする。 今までは、季節が思っているよりも先へ先へと進んでいくのは、忙しない日々のせいだと感じていたけれど、ゆったりとした暮らしで、季節を噛み締めて過ごしているいるつもりでも、いつの間にか次の季節がやってくるの

          季節はいつの間にか過ぎてゆく

          大冒険のお裾分け

          1か月ほど前、日本からヘルシンキに一人旅で来る予定の女の子からInstagramのDMを受け取った。彼女のメッセージからは、ヘルシンキ旅行への溢れんばかりの高揚感が伝わってきて、わたしも一緒にわくわくしながら、張り切っておすすめの場所や、旅行に役立ちそうな情報を送った。 どうやらはじめての海外一人旅ということで、不安を抱えつつも、大冒険に向けて入念に下調べを進める彼女の姿をDM越しに感じ、見守るような気持ちで、この1か月やりとりを続けていた。 そして、今日、ヘルシンキで彼

          大冒険のお裾分け

          それは、ラッキーなんかじゃない。

          思いがけない縁での人との出会いとか、もうダメかもしれないという状況で信じられないようなチャンスが舞い込んできたりとか、ラッキーとしか言いようがないようなできごとが、しばしば起こる。 それは日本にいても同じことなのだけど、不慣れな海外生活では、そのラッキーが余計に輝いて見える。自分の身に起きたことも、他人の話でも。 でも、それって本当にただのラッキーなんだろうか。 友人知人のラッキーエピソードとして語られる話を聞いて、わたしはそれを軽々しくラッキーだなんて言えない。 い

          それは、ラッキーなんかじゃない。

          Raumaの窓辺

          週末、少し足をのばしてフィンランド西海岸のまち、Raumaへ。世界遺産にも登録されている古い街並み、ラウマ旧市街(Old Rauma)を中心に、とにかくよく歩いた一日だった。 ミントグリーン、パステルピンク、レモンイエロー。カラフルな建物が通り一面にずっと続く。まるでアイシングクッキーかマカロンみたい。旧市街にはこうした北欧の伝統的な木造建築が約600棟あり、今も800人ほどの人々が暮らしているのだという。 ほとんどが一般住民のお宅ということで、あんまり立ち止まって見たり

          Raumaの窓辺

          料理は知っている味の再現

          フィンランドにいるんだから、フィンランドでポピュラーな料理を作りたいと思ってトライするも、食べたことがないメニューに関しては、完成しても正解がわからないことに気がつく。 レシピを探すのも一苦労だ。日本のレシピだったら、お気に入りのサイトがあったり、ある程度うまくいきそうなものや、人気のレシピを検索するコツが、自然と身についているけれど、どれが良さげなものか検討もつかない。 最近、どうしてもあんこが食べたくて、アジアンマーケットで小豆を買って、初めてあんこを炊いた。はじめて

          料理は知っている味の再現

          繰り返す生活の安心感、素直に楽しめるまで半年かかった。

          数日から1か月単位で滞在場所を転々としていたため、スーツケースからできる限り無駄なものを出さないよう、ものの移動を最小限に抑えていた生活に終わりを告げ、洋服はクローゼットに、食品はキッチンの戸棚に、洗面用品のストックはバスルームに、フィンランド渡航5か月目にしてようやく、それぞれ仕舞われるべき場所へとものの居場所を落ち着かせることができた。 決まったスーパーに買い物に行き、見慣れた道を往復し、毎日同じ場所で眠る。起きたら、まず、朝食にコーヒーとお気に入りのシリアルとヨーグル

          繰り返す生活の安心感、素直に楽しめるまで半年かかった。

          森のご馳走、キノコ狩りへ

          森に出かけるのにハマってから、ずっとやってみたかったキノコ狩り。夏の終わり頃から秋にかけてのフィンランドの森の、シーズン限定の楽しみだ。 キノコは猛毒を持つものがあったり、食べられるかどうかの見分けがつきにくいものもあるので、知識のある人といっしょでないと危険だと聞いていた。そうしたら先日、現地の方に誘っていただいて、待っていました!と言わんばかりに、意気揚々と連れて行ってもらった。 小さなバケツをひとつ提げ、近所の森へ。特に公園になっているような場所でもなく、看板も何も

          森のご馳走、キノコ狩りへ

          ひまわりサイクリング

          前日に遠出をしていて帰りが遅かったので、今朝は寝覚めが悪かった。 午前中、少し遅れた起床を取り戻すかのように、いつもより念入りに掃除をし、洗濯を済ませ、洗濯物を干すためにベランダに出ると、よく晴れたいい天気。 8月だから、まだ夏が続いていると思いたいけれど、体感でいえば日本の“秋晴れ”。気温は20度弱、湿気はなくて、いわし雲が出ていそうな気候だ。 これは外に出なくては勿体無いと、Googleマップをチェックして、気になってピンを立てておいた場所の中から、サイクリングで行

          ひまわりサイクリング

          住みたいまち

          8月でフィンランドでの生活が5か月目に入った。 これまで、住む場所を転々としてきたけれど、この先(計画通りにいけば)あと8か月はTurkuというフィンランド南西部のまちで暮らすことに決めた。 Turkuにはまだ吹雪いていた4月と、夏至間際の二度、来たことがあって、古い建物が街並みに溶け込む雰囲気や、市街地の活気はありつつ、Helsinkiよりもずっとコンパクトなまちの規模が肌に合う感じがしていた。何よりも、バルト海に注ぐアウラ川沿いの日常風景が素晴らしい。 4か月間にわ

          住みたいまち