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森のご馳走、キノコ狩りへ

森に出かけるのにハマってから、ずっとやってみたかったキノコ狩り。夏の終わり頃から秋にかけてのフィンランドの森の、シーズン限定の楽しみだ。

キノコは猛毒を持つものがあったり、食べられるかどうかの見分けがつきにくいものもあるので、知識のある人といっしょでないと危険だと聞いていた。そうしたら先日、現地の方に誘っていただいて、待っていました!と言わんばかりに、意気揚々と連れて行ってもらった。

小さなバケツをひとつ提げ、近所の森へ。特に公園になっているような場所でもなく、看板も何もない。かろうじてうっすらトレッキングコースが走っている森の入り口に車を停め、トレッキングコースからは外れてザクザクと森の中へ入っていく。

少し前に雨が降って、ふかふかの苔が厚く繁茂するその森は、キノコが育つのには絶好のコンディション。あらゆる種類のキノコたちがにょきにょき、そこら中に生えていた。可食かどうかがわからなくても、いろんな色や形、大きさのカサを見るだけで、自然の博物館に来たみたいでテンションが上がる。

その中からKantarelliという鮮やかな濃い黄色いキノコを中心に、5種類ほどのキノコを摘んでいく。たくさんのキノコが生えているとはいえ、食べられるものを見つけるのにはそれなりの集中力と時間が必要だ。あ!っと思っても微妙に違う形の"Fake"Kantarelliだったりもする。

8月末ごろまでがシーズンのKantarelliは香りと味がよく、
フィンランドの森で最も人気なキノコのひとつ。

夢中になってキノコを探す時間は、ただただ楽しかった。慣れてくると、食べられるキノコだけ光って見えるような気がして、なんだか宝探しのようだった。

途中、少し車で移動して、場所を変えつつたっぷり2時間ほど。気がつけばバケツはキノコでいっぱいになっていた。

調子のいい時は、この3倍くらい採れることもあるそうで、この日の収穫量は「わるくない」だったみたいだけど、初めてのわたしにとっては大満足。ほくほくな気持ちで帰路についた。


家に着くと、まずは新聞紙を広げキノコの選別、それから根本の部分をカットして、料理に使えるよう、きれいに掃除をする。

キノコの図鑑を見ながら選別。
写真ではそっくりだけど実は違う種類だということも。
においも嗅いで判断する。
傷をつけると白い液が出てくる種類のキノコ。
虫がいる可能性があるため大きなキノコは半分にカット。
軸が空洞なことをはじめて知った。

この日は冷蔵庫にあった材料を使って、シンプルなスープに。香りは強いけれど味はマイルド。ちょうど肌寒くなってきて、あたたかいスープが恋しかったので、より一層おいしく感じられた。

そして、残りのキノコはお土産として持ち帰らせていただいたので、翌日ピザを作ってみることにした。

一夜明け、冷蔵庫からキノコを取り出すと、種類によっては一晩の間に部分的にほんの少し傷んでいるものもあって、想像以上に足がはやいことにびっくりした。タッパーの内側には水分がたっぷり溜まっていて、それだけ水を含んでいるということにも驚いた。

使い切れない分は、前日に教えてもらったように、慌てて冷凍庫に入れた。

キノコそのものを味わってみたかったので、マリネしたキノコとあっさりとしたホワイトソースだけのシンプルなレシピに。これが大正解!肉厚でぷりっとした天然のキノコは香りも味も濃く、肉にも勝るほどの存在感だ。

命名“森の恵みpizza”

慣れない手づくりのピザ生地が、キノコのおいしさに追いついていないような気はしたけれど、はじめてにしては上出来だったんじゃないか思う。

またひとつ、フィンランドならでは経験ができて、とてもうれしい週末だった。

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