岐阜とフィンランド
「岐阜なんて、そんな外国みたいなところに」
東北の祖母に就職先が決まったことを伝えたときに返ってきた反応だ。
決して否定的ではなかったが、東京生まれ、東京育ちのわたしが、わざわざ縁もゆかりもない地方都市を就職先に選ぶことが理解できなかったのだろう。
それから7年後、まさか本当に外国に行く時が来るとは。
お正月に、電話でフィンランドに行くことを伝えると「涙が出てきた」と鼻を啜っていた。岐阜が外国なら、祖母にとってフィンランドは宇宙くらいには未知だろうか。もしくは、岐阜もフィンランドも“未知の場所”という意味では変わらないのかもしれない。
そう考えると、一時は大きな決断をしたような気になっていたけれど、ちょっと遠くに引っ越すだけ、そんな感覚になってきた。
日本を発つ前に、4年ぶりに東北の祖父母宅を訪ねると、近所ではわたしがフランスに行くことになっていた。
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