台北ビエンナーレで「Small World」ということを考える/一日一微発見415
僕の本棚に小説家・朱天心が書いた短篇集『古都』があり、久しぶりに手に取る。
僕は80年代から逃避するように海外に行き出したが、最初は上海だった。だが台湾へ行くのは、90年代にひととおり欧米や辺境をめぐったあとのことだった。遠くに行きたいという衝動の果ては、身近な足元に行き着くものだ。
『古都』は奇妙な小説で、台北と京都をだぶらせて書かれていたし、日本の植民地下にあった台北の街の地図が、リアルであると同時に想像力の街を頭の中で起動させてくれる面白さがあった。身近な京都と台湾の