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逸脱する編集 07 アンディ・ウォーホル/一日一微発見412

改めて言うまでもないかもしれないが、ウォーホルはデュシャンと並ぶ、20世紀の現代アートの革命児だと僕は思う。映画や写真など作品も多岐にわたるが、逸脱的な編集のやり口、戦略について僕は多くを学んだ。

彼は、1928年に生まれて、87年に死亡した。だから、59 歳という、比較的短い生涯だ。しかし、その短い間に「革命的な仕事」が詰まっている。逸脱のヒントが詰まっているのだ。
アーティ ストは、新しいスタイルを革命的につくり出すことで評価を得るところがあるが、彼の場合は、アー トのルールそのものをシフトさせた。

そのポイントを、先に具体的に挙げておくならば、僕的には3つ、「インスタント」、「表面」、「反復と差異」である。

彼は1950年代にはイラストレーター、商業的な分野の仕事で成功した。雑誌や書籍、百貨店のディスプレイなど、それらの仕事で賞をもらい、経済的にも成功する。
しかし、どうしてもアーティストになりたい衝動がある。だから変成のプロセスがよく見える。

多くのアーティストは、自分の内面を深く掘り下げ、様々な表現をしてきた。しかし、彼は、 その、コマーシャルの力を知っていたし、表面的な効果を、いかにアートに変成させていけばよいかに気づいた。

これは美術史的には、「ポップ・アート」と呼ばれる。だから、日常的なイメージを変換し、作品を作る。彼が最初にやっ たペインティングは、プロジェクターで漫画を投影しトレースして描くものだった。そして、1960年代になり、さらに自分がアーティ ストとして変成していく時にとった手法は、ポラロイドとシルクスクリーンの組み合わせだった。

美術を作ってきたアートの手作業の神話を捨て、機械に依存する。その徹底化。テープレコーダーへの偏愛もその志向である。機械を使い、可能な限り主体を捨てて、「インスタン ト」に表現をつくりだす。

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