市川優

フリーライター・元編集者。現在、転職活動中。書評ブログ「市川優の短編書房」で小説や漫画…

市川優

フリーライター・元編集者。現在、転職活動中。書評ブログ「市川優の短編書房」で小説や漫画などについての記事も配信中。https://ichikawa-yu.hatenablog.com/

最近の記事

映画「ミッドサマー」作品を横断する不気味な裸

少し前に注目を集めた映画「ミッドサマー」がNetflixで配信された。ショッキングな内容だという噂は耳にしていたのだが、怖いもの見たさでつい手を伸ばしてしまった。 ホラー作品とは思えない美しくそして明るい画作り。どことなく不気味で寒気がする演出。ホラー映画が苦手なのにも関わらず、思わず引き込まれてしまった。ヒリヒリとした緊張感を持続させることで、最後まで観客の集中力が途切れないように工夫されている。 本作を手がけたアリー・アスター監督の他作品も気になったので、前作「ヘレデ

    • 2020/8/9 半沢直樹

      現在放送中のドラマ「半沢直樹」の第4話を観る。相変わらず登場人物が怒ってばかりで面白い。 構造を単純化したストーリーだけあってわかりやすい。主人公の前に毎度何かしらの困難という壁が立ちふさがるが、最終的には知恵や仲間の力を駆使して障害を乗り越えていく。 また、正義と悪の2項対立を明確に打ち出し、まるで時代劇のように正義の使者が悪人を懲らしめるから観客も爽快な気分を味わえるのだろう。キャラクター設定もシンプルでありながらも個性的であり、最後には正義側が勝つとわかっていながら

      • 2020/8/8 100分de名著

        NHKの番組「100分de名著」のテキストをパラパラとめくる。8月はミヒャエル・エンデ「モモ」を読み解くようである。 「モモ」は小学生の時に、夏休みかなにかの読書感想文を書くために、読んだのが初めて。時間をテーマにしたちょっとしたファンタジーであり、挿絵とともに印象に残った作品である。 本作を番組で解説するのは、臨床心理学者の河合俊雄。文学者や批評家ではない他ジャンルの専門家がどんな切り口で文学を語るのか。おそらく自身の分野に引き付けて解説するのだろう。独自の視点に期待し

        • 2020/8/7 CURE

          黒沢清「CURE」を観た。観るのはこれで二度目になる。 体の一部を×印に切る殺人事件が複数発生し、ある刑事(役所広司)が事件の解決に挑む。捜査を進める内で事件の参考人として浮上してきたのが、記憶を失った一人の青年(萩原聖人)であった。という話。 人間の心に深く沈んでいる闇を描いた作品である。誰しもがそうした暗い部分を持っていて、それはちょっとしたことで爆発する。その過程を淡々と物静かに映像化している。 それと同時に描いたのが、怪物像だ。本作では二人の怪物が登場する。彼ら

        映画「ミッドサマー」作品を横断する不気味な裸

          2020/8/4 回路

          黒沢清「回路」を観る。監督特有の不気味な映像が満載であった。 ホラー映画ではあるが、大きな音などの単純な脅かしはしない。何ともいえない重たい雰囲気の映像が続き、見る者に何か不吉な予感を常にさせ続ける。 それにしてもこの物語は予想していたよりもスケールが大きかった。まるでディストピアを描いているようでもあった。

          2020/8/4 回路

          2020/8/3 柳家小三治

          柳家小三治「落語家論」を読む。若手落語家に向けて、「噺家とは」「落語とは」「芸とは」などを語った本であった。 内容もいかにも小三治らしい気難しいものであった。彼はきっとありきたりな答えを提示するのが嫌いなのだろう。 若い人に向けて言いたいことがある一方、自分が持つ影響力ゆえに若い人が自分の言っていることをそのまま鵜呑みにしてしまうのではないか、という恐れが文章から垣間見える。 そうした葛藤に苦しみながらも、彼らのために自分が出来ることを模索し、言葉にしていく様が目に浮か

          2020/8/3 柳家小三治

          2020/8/2 書店

          自宅で暇にならないようにと書店に本を買いに行く。 柳家小三治「落語家論」、堀井憲一郎「落語論」の2冊を購入。他にも狙っていた落語関連の書籍があったのだが、在庫がないものが半分、パラパラとめくってみたら面白くなさそうなのが半分で、たくさん買い込む予定が2冊だけになってしまった。 最近自宅にいる時間が長いので、本を買ってばかりいる。だが、そのわりには読んでいない。机の上に買った本が積み上がっていく。 でも意外とこれが悪くない。買ってさえいれば、気が向いた時に、読みたかった本

          2020/8/2 書店

          2020/7/28 私の家政夫ナギサさん

          22時からのドラマ「私の家政夫ナギサさん」を観る。再放送していた「逃げるは恥だが役に立つ」の流れで、なんとなく同じ枠のドラマを続けて観ている。 大して面白くはないのだが、ダラダラとながら見するにはちょうど良い。それにしても大森南朋が演じる家政夫ナギサさんの出番があまりないように感じる。タイトルが「私の家政夫ナギサさん」なのに。これから徐々に増えてくるのだろうか。 今回の話では主人公の父親役で光石研が登場した。こんな父親っていそうだなと、思わせる抜けのある演技が素晴らしい。

          2020/7/28 私の家政夫ナギサさん

          2020/7/27 寄席

          本の雑誌8月号を読む。特集は「落語本で笑おう!」であり、コラムニストや落語家が落語について書いた書籍を紹介している。読んでいると、そうした本を読みたくなるのとともに、何よりも寄席に行きたくなった。 関西にある「天満天神繫昌亭」、東京にある「浅草演芸ホール」などでくすりと笑いたい。関西の人情味あふれる噺家も好きだし、関東の少しキザで格好をつけた噺家も好きだ。 あくびをしながら、何か別のことを考えながら、噺家の芸を見つめ、そして耳を傾ける。舞台などと少し趣の違った、寄席のフワ

          2020/7/27 寄席

          2020/7/24 村上春樹

          村上春樹の新刊小説「一人称単数」を購入する。今まで村上春樹の小説は読んだことがないが、遂に手を伸ばしてしまった。多くの人が勧め、多くの人が読んでいたが故に、天邪鬼精神で読まなかったのである。だが、今回の新刊は短編集ということもあって、なぜだか知らないが書店でとても気になり、気付けばレジへと持っていってしまった。でも、買ったはいいが、まだ読んではいない。読むには相当の覚悟が必要なのでは、となぜだか身構えてしまうからだ。「村上春樹」という言葉にはそうした見えない力があるように感じ

          2020/7/24 村上春樹

          2020/7/21 もののけ姫

          映画「もののけ姫」が期間限定で映画館で上映していたので観る。何度も観た作品ではあるが、やはり劇場で観ると迫力があり、壮大な物語がより壮大に感じる。パンフレットの復刻版が販売していなかったのが少し残念。いつかの「カリオストロの城」の期間限定上映の際には、復刻版のパンフレットを販売していたので期待していたのだが。

          2020/7/21 もののけ姫

          2020/7/19 梨泰院クラス

          Netflixで話題になっている韓国ドラマ「梨泰院クラス」を2話まで観る。まだ物語が大きく変わる可能性はあるが、とある財閥に父親を殺された少年が大人になり、飲食店を経営してその財閥に復讐していく、という物語に今のところなりそうな予感がしている。それにしても最近、韓国のドラマや映画が日本で人気を集めているようだ。かつても「冬のソナタ」などで韓流ブームを巻き起こしていたが、最近話題になっている作品はその時のものと比べると異質な物に感じる。以前は感情を爆発させるような演技が多いよう

          2020/7/19 梨泰院クラス

          2020/7/18 頭山

          短編アニメーション「頭山」を今更ながら観る。かなり前になんか有名な賞を獲ったとか獲ってないとかで話題になっていた作品である。落語の演目「頭山」の話をベースに現代風にアレンジしている。といっても現代風にアレンジしているのは、物語の背景ぐらいなもので、話の大筋としてはほとんど同じ。ケチな男がサクランボを種ごと食べたら、頭から桜の木が生えてくる。そして、頭の上で花見をやられて、うるさいからと桜の木を引っこ抜くと穴ができる。その穴に今度は水が溜まり、最後はそこに男が身投げして終わり。

          2020/7/18 頭山

          2020/7/16 CUBE

          映画「CUBE」を観る。男女たちが目覚めると立方体の部屋に閉じ込められていて外に出られないという話。罠があったり、部屋を出てもまた立方体の部屋だったりと登場人物らは散々な目に遭う。自分たちがなぜ閉じ込められたのかもわからない、この理不尽さ。理由もなく行使される巨大な力の前にして、彼らは悲しみ、怒り、叫ぶ。画面上で必死になっている彼らを観ていると、ルールもわからずにこの社会に生を受け、それでも何とか生きていこうとする我々の姿を映しているようにも感じた。

          2020/7/16 CUBE

          2020/7/15 レジ袋有料化による不便

          7月1日からレジ袋有料化がスタートした。何度か買い物をした結果、率直な感想を言わせてもらうと不便である。消費者にとっても、販売者にとっても。「3円、5円とサイズごとに値段が違いますが、どの袋になさいますか」と急に言われても、自分の買った商品がどのサイズで入るかなどわからない。それに店員もその都度、客に対してサイズや値段の説明をしなければならず、無駄な作業が増えて困惑しているような印象を受けた。ごみ問題や地球温暖化などの課題を受けて、プラスチックの過剰な使用を抑制するためだとい

          2020/7/15 レジ袋有料化による不便

          2020/7/14 私はゴースト

          「私はゴースト」というホラー映画を自宅で観る。幽霊視点でのホラー映画という設定がユニークだ。映像自体は淡々としていて大して怖くはないのだが、不気味な音が常に何かを予感させてビクビクとしてしまう。76分と短く作品をまとめているのも好感が持てる。最近、長時間の映画を観ると疲れてしまうからだ。作品が面白くないのか、それとも私の体力が落ちたのか。

          2020/7/14 私はゴースト