2020/8/3 柳家小三治

柳家小三治「落語家論」を読む。若手落語家に向けて、「噺家とは」「落語とは」「芸とは」などを語った本であった。

内容もいかにも小三治らしい気難しいものであった。彼はきっとありきたりな答えを提示するのが嫌いなのだろう。

若い人に向けて言いたいことがある一方、自分が持つ影響力ゆえに若い人が自分の言っていることをそのまま鵜呑みにしてしまうのではないか、という恐れが文章から垣間見える。

そうした葛藤に苦しみながらも、彼らのために自分が出来ることを模索し、言葉にしていく様が目に浮かぶようである。

何か大事なことを発見しては、実はそれが大したことではないと思い知らされる。まるで暗闇の中を一人で永遠と歩き続けるような日々を耐えていくことこそが、芸を極めるということなのかもしれない。そんなことを本書を読んで考えさせられた。

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