マガジンのカバー画像

すきを贈りたい小説たち

41
運営しているクリエイター

#掌編小説

指を拾う

 わたしが住んでいる築四十年の木造アパートの近くには、わりと大きな川が流れている。その辺…

ジュージ
2年前
168

掌編小説 | 永い息継ぎ

 雨の日のランチタイムは、やはり売上が芳しくない。PC画面に浮かぶ本部への報告シートに並ん…

30

短編小説 「現実の街」

「おれ、悪魔をつくる方法なら知ってますよ」 横川はそう言って、デミタスカップからエスプレ…

西平麻依
3年前
94

アイオカさん

何を捨てているんだろう。 何で捨てるふりしてるんだろう。 何で、こっちに気づかないんだろう…

北木 鉄
3年前
31

若草という男がいる。 引っ越しをした際、下戸なりの知識で購入した日本酒をお猪口に注ぎ、玄…

北木 鉄
3年前
26

掌編小説 | 眠れぬ夜に塩をひと匙

「りんご」  定石通りはじめたその3文字には、1分も経たないうちに既読がつけられた。 「胡…

44

掌編小説 | too less,too much

大体この男は出逢った瞬間から口が巧くて、そんなことはとうに解っていたはずだった。 「・・・じゃぁさ、三次会は植物園で。」 たっぷりと一呼吸置いてから、スツールの上の太腿に骨張った左手が乗せられたその時には、淡く緩い前戯は始まっていたも同然で。体勢を変えぬままオリーブを噛んで一瞥を寄越すと、さぞ愉しそうに零した眦の皺を由佳は今すぐに人さし指でつう、と掬ってしまいたくて、くちの奥からじゅわりと唾液が湧いた。 いつか白塗りの壁の一軒家を建てたら玄関脇にオリーブの木を植えよう。

掌編小説 | あの街、あいの街

横揺れが心地良いシート、イチョウ柄の床、吸い込まれるように吐き出されるように入れ替わり立…

26

ダレデモダレカ。【ショートショート】

あーもしもし。もしもし。聴こえますか? 周波数あってる? この放送誰かに届いてるかな。ま…

果報者
3年前
28

ような恋

 ふっと、魂で眠るように、その人は目をつむった。ほのかにお酒臭い吐息が、鼻にかかる。青白…

伊藤緑
3年前
15

船を待つ【ショートショート(約3200字)】

 青年がひとり流れ着いた場所は無人島でした。 「ここはどこだ……」  目を覚ました青年は…

29