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リワーク日記98 (経験談)メンタル休職者さんはメンタルに優しく退職面談したい

おかげさまで前回記事も多くの皆様にご覧いただけたようで本当にありがとうございました。今回は、意外にもずっと以前から閲覧数が多かったテーマを取り上げてみたいと思います。

その前に最近の私の状況を報告します。一言で言うととっても疲れています。ただでさえ全ての仕事が遅れている中で四方八方から要求やら督促やら文句やらが絶え間なく飛び込んできていることに加え、飛行機に乗って日帰り出張に行ったことで体力的にも疲労度が高まってしまっているからです。

早く新しい人が入ってきて私の仕事量を減らしてくれないかなぁと毎日思っています。もう息切れが隠せません。残業もほとんどしていません。というよりできないほど体力が減っています。愛用しているOURA RINGで自分の健康状態を確認しても、「レジリエンス不足」「コンディション 注意」「睡眠 注意」「休息しましょう」「今日は少し気楽に、くつろいでみませんか?」「最近は十分な睡眠が取れていないようですが、心配は入りません」「疲れていると感じたら、今日は休憩を増やし、水分補給を心がけてください」「あなたなら大丈夫です!」と私を不安にさせないよう気を遣ってくれているのかたくさん慰められる始末です。何なんでしょう、これは。

そう言えば、ちょうど今から1年ほど前に今の会社の面接を受けて内定を貰いました。その時には1年後にこんな生活をしていることになるとは思ってもみませんでした。まあ、人生色々なことがあります。でも春は始まっています。あともう少し辛抱すれば状況は良くなるはず。いやいや、メンタル不調で寝込んでいた時に比べれば、現状でさえ絶好調そのもの。長い目で見ればどんどん良くなっているのです。まあ、休みながら無理をせずにやっていきます。

それで、本題の退職面談の話を始めましょう。

私はメンタル不調のため休職し治療を続けていたわけですが、回復する中で復職よりも転職を選びました。転職活動を続けてめでたく内定をもらえたのですが、その次に立ちはだかったのが、現職の会社に退職を伝えて合意を取り付けるというミッションでした。

どうすれば良いの?

ええ、全然分かりませんね。それまでがむしゃらに転職活動に打ち込んでいましたので、突然目の前に現れた退職交渉というミッションに不意を突かれた状態でした。当然準備なんか何もしていませんし、何をどう進めれば良いのかも当然分からないのに期限だけは決まってしまっているようなありさまです。

退職って、新しい居場所が決まった喜びの他に、なんだかんだ言って今まで世話になった会社を一方的に離れる罪悪感のようなものも若干あったり、気まずさもあったり。会社辞めますって言ったら、休職している分際で転職活動なんかしてたのかって怒られたり嫌味を言われたり問い詰められたりするのかなって随分気を揉みました。

皆さんももしかしたら何を言われるんだろうって不安をお持ちかもしれません。ですが落ち着いてください。日本では年間300万人が転職しています。1日に8,200人です。転職は個人にとっては稀な出来事かもしれませんが、日本全体で見れば日常茶飯事です。皆さんが会社に退職の意思を伝えている同じ日に、他に全国で8,199人が同じように気まずい話を切り出して上司や人事を怒らせているのです。これはありふれた日常風景なのです。そして大抵の場合、会社にとってもあなたは初めての退職者ではありません。これまでも何人もいて、これからも何人も現れてくるであろう大勢の退職者の中の一人にすぎません。皆さんは孤独ではありません。

とはいえ転職が初めてだという人の場合、特にこの退職交渉の見通せなさは不安で仕方のないものです。どのような言葉を使って伝えれば良いのか、どう説明すれば良いのか、答えにくいことを聞かれたりしないだろうか等々…不安でいっぱいのはずです。

日本の企業と社員の関係は、昭和のひと頃に比べれば相当ドライになってきたとは言え、まだまだ家族主義的で濃密なものだったりしますので、そのコミュニティの引力から離脱するにはそれなりに強いロケットの噴射力が必要です。

ですが、私たちメンタル休職者の場合は休職を開始した時点で既に職場から離脱しており、戦力外になっていますし給料ももらっていませんので、会社から見れば実質的な不良債権処理は済んでいる状態です。休職者無しでも仕事は回っています。私も、あと何ヶ月後までに復職しなければ雇用契約終了ですよと人事に言われていましたので、事実上退職者枠に入っていたわけです。ですから退職の申し出はその契約終了時期を能動的にわずかに早めただけで、会社への影響などほとんどありません。もともと会社も私たちを解雇する予定だったと考えれば、既に双方の合意は完成していたとも言えます。メンタル不調の苦しみがあなたの代わりに既に会社との退職交渉をまとめてくれていたのです。あなたは何の「交渉」もする必要はありません。

もちろん、人事担当者や上司・同僚たちは私の復帰を待ってくれていたかもしれません、個人的に。ですが、そうした個人的な友情を持ってくれているのであれば、きっと彼らもあなたの決断を友人として支持してくれることでしょう。逆にもし、あなたがメンタル不調に陥った原因にそうした良き仲間に恵まれなかったことが含まれるのであれば、彼らの心情をあれこれ考えるよりも自分の心情を大切にして、その職場からの卒業を喜びましょう。

そう、非常に幸運なことにあなたの人生は次のステージに移るための準備が完璧に整った状態なのです。あなたがあなた自身の苦労と努力で整えたのです。誰もあなたの前進を邪魔できません。あとはあなたが会社にひと言「辞めます」と言えばそれでスタートボタンが押され、人生の次の章が始まるのです。

その上で、どうやって「辞めます」って言うのかって話です。それが大問題ですね。直接対面で?それとも電話?メールは失礼?どんな説明の仕方が良い?疑問が大量に湧き出してきてしまいますよね。

私はメールを送りました。宛先は上司と人事です。電話でもなく対面でもありませんでした。

理由は、それが最も自分が安心して連絡できる方法だったからというのと、そもそも休職中の私が急に会社に出向いて話がしたいですって言い出したら、どうせその時点で要件を聞かれるでしょうから、第一報のメールで要件を書いてしまった方が早いと思ったからです。特に当時の私の上司は知りたがり・聞きたがりでしたので、連絡を取ったその第一報で全部伝えてあげるのがベストだと思いました。私が最も上手に伝えられるとしたら文章が最適です。丁寧な文面なら失礼ではありませんし、それに退職面談はどちらにしてもやるでしょ?

と言うことでシンプルなメールをささっと送って意思表示を済ませたわけですが、残念ながらその文面はもう残っていません。こんな感じだったというものを再現して載せておきますので参考にしてください。

〇〇様

お疲れ様です。

昨年*月**日よりメンタル不調により休職しておりご迷惑をおかけしているところですが、この度転職により社会復帰を図るため会社を退職することといたしました。希望日は※※年※月※※日付けです。

つきましては退職手続きを進めたく、必要書類や手順等をご案内下さいますようよろしくお願い申し上げます。

また、これまで長い期間にわたりお世話になった事への感謝は尽きず非常に心苦しい決断ではありましたが、休職期間に今後の自分の人生を考えた末の結論ですのでご理解賜りますと幸いです。

今後もお仕事でご一緒することがあるかもしれませんので、その際には何卒よろしくお願いいたします。

以上

苺の庭文庫

ポイントは、「辞めると決めた」という風に過去形・断定形で書くことです。引き止める余地をなくすためです。決断は「もう過去に済んだこと」なので、「退職の是非」ではなくその先の退職の手続きの話をしましょうというスタンスで書きます。退職日まで指定してレールを敷いてしまうことが大事です。なにせ次の会社への入社月まであまり時間もありませんしね。立ち止まっている暇はありません。メールの送信ボタンは、まさに人生の次章の幕開けのボタンです。ためらわずにクリックして未来へどんどん進みましょう。

そうはいってもメールでは失礼だからやっぱり電話か対面で、という人はもちろんそうした方が後悔が少ないでしょう。口頭でささっと話をするのが得意な人も電話か対面が良いでしょう。

私は口頭は苦手で、しかも喋り方が穏やかすぎて断言調で話しても決意の強さが伝わりにくく、引き留め攻勢に合う恐れもありました。メールの文面なら文面以上に強めのトーンで相手に伝わります。それに電話でも対面でもどうせ事前に台本を書くことになりますので、文章作成で完結するメールの方が負担が軽いのです。ついでに意思表示の証跡として残りますので、会社も対応を遅らせることはできません。

ところで、休職中であっても退職の申し出をする際に礼儀を多少省いて負担が軽い連絡手段を選ぶのは悪いことでしょうか?

一般的には礼儀を省いてはいけないという答えになるでしょう。実際、ただでさえどうすれば良いのかよく分からない中で戸惑っているというのに、「立つ鳥跡を濁さず」とプレッシャーをかけてくるだけの「アドバイス」が多く出回っています。まあ、休職中でなければそうかもしれんが、メンタル休職者向けの助言として適当なのかは分かりません。

まあ、今の会社との関係を最重視するならそうかもしれません。今までお世話になった会社ですしね。しかし次の転職先の会社の方を重視するなら、そんなことはありません。

思い出してください。あなたは今の会社で働いてメンタル不調に追い込まれました。そしてその会社は、メンタル休職しているあなたを「退職予定者」にカウントしています。そして月末を迎えるたびに、あなたの退職予定日は近づいてきているのです。今の会社とは、あとはいつ退職手続きするかという一点で接しているだけなのです。

一方であなたの経験とスキルとキャラクターを評価して是非うちに来て欲しいとオファーをくれた未来の雇用主とは、入社後の長い関わりが待っています。あなたがそのオファーを受けると決めた瞬間、あなたが最も重視すべき会社はもう変わったのです。あなたが過去に過ごしたけれども今後は過ごす予定のない会社は、最低限の敬意は払えども最重視すべき相手ではありません。そして省エネしても感謝の意を伝えることはできます。自分にとって負担の軽い伝達方法を選びましょう。

何より繰り返しになりますが、退職期限までそんなに時間はないのです。限られた時間内に退職を済ませるというミッションをこなすには、可能な限り早く今の会社に退職の意思表示をして手続きを開始する必要があります。スピードこそ最重要です。もう辞めることが決まっている「過去の会社」に不必要に気を使うあまり、自分の次のステージとなる「未来の会社」への移籍に支障をきたしてしまっては元も子もありません。

元の会社にあなたが用意して手渡すべき礼儀は、これまで世話になったことへの感謝です。それが全てであり、それだけ伝えられれば十分です。残りのエネルギーは次の会社のために取っておきましょう。

私の場合、人事からそのメールのあと「わかりました」とあっさり返信があり、退職のための書類が送られてきて、それにサインして返送し、WEBで退職面談をやりました。まあ、退職面談といっても書類のやり取りもしていますので退職自体はお互い合意していることが前提です。叱責されたり問い詰められることもなく大した波乱はありませんでした。結構ドキドキはしましたが、事務的な説明や確認がほとんどでした。あとは転職先が同業でないかと探りを入れられたくらいでしょうか。感謝を込めつつ前向きなトーンで話していれば問題はありませんでした。このあたりは過去の記事の方が詳しいです。

ちなみに基本的に私の方から話した感謝の言葉と言えば、先ほど掲載したメールと同じでした。ですから基本スタンスはもう定まっており、あとはそれに沿って少し肉付けしながら話せば済みました。休職中に転職活動をしていたことがバレてしまった気まずさはありますけれど、それとてそもそも今の会社でメンタル不調に至らなければ避けられた話ですのでとやかく言われる筋合いはないというつもりで臨んでいました。口には出しませんでしたが。(どうせ解雇が予定されている身なのに、逆にいつ転職活動をするんだよという話ですが、前の会社ではそういう問い詰め方がされがちでした)

あくまで人生を立て直すために必要な行動であり決断だから尊重してもらいたいというスタンスで良いと思います。職場の同僚上司に恨みはないが、辛い思いを乗り越えて前に進みたいのだと。実際私にとっても、メンタル不調とそれに伴う休職という経験は想像を超える辛いもので、働く環境を変えることこそ自分の人生に必要なことだと確信していたので正直に言って何も悪いことはないと思っていました。

こうしてみてみると、退職の意思を伝えるというのは自分自身の中での優先順位変更レバーを引いて切り替える行為だとも言えます。今の会社にしてみれば優先順位を下げられるわけですから面白くはないかもしれません。退職を伝える時のあの気まずさは、あからさまに相手の扱いのランクを下げることを伝えなければならないことにも原因がありそうです。それって伝えるこちらも疲弊しますよね。相手に不利益を押し付ける行為なのですから。

でも人生は最初から最後まで同じ色で染められているわけではありません。途中で色々と変化するものです。変化の仕方によっては会社を移らなければならない場合もあります。私たちにできるのは、変化しているのに変化していないフリをせず、変化に合わせて調整・対応をすることだけです。迷惑をかけるとか悩む必要はありません。誰しも誰かに迷惑をかけながら生きています。だからお互い様と考えて相手の迷惑に寛容になることができるのです。あなたはその時々に自分ができるベストを尽くしていればそれで良いのです。もちろん無理をせずメンタルに優しい範囲で。

これまでの慣れ親しんだ居場所を離れ新たな人生の始まりを確定させる行為には怖さもあると思いますが、皆さんはもっと大変な経験を乗り越えてきました。あと最後のほんの一押しであなたのこれまでの努力が完成するのです。うんざりするほどの憂鬱にまみれた過去を終わらせる価値ある最後のワンクリックです。美味しいご飯を食べてエネルギーを充電したら、断捨離してしまいましょう。あなたには憂鬱な人生よりも喜びに満ちた人生がふさわしいのです。退職の切り出し方だとか伝え方とか些細な揚げ足取りやダメ出しなど気にせず、もっと大きな視点に立って自分の人生の方向転換の確定ボタンをクリックしましょう。多少下手でもクリックはクリックに違いないのですから。

ということで今回はこれで終わりです。閲覧数は多いわりにダントツで評価の低いテーマでしたので、わざわざここに触れるのには躊躇したのですが、ちょうど転職活動終結から1年を迎えるこの機会に振り返りの意味も含めて取り上げてみました。参考になれば嬉しいです。次回も楽しみにしていて下さい。

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