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最高のプロポーズ②

彼女へのプロポーズ

準備万端で迎えた当日だったが
思いもよらない事態が起こった。

前回はこちらから↓

プロポーズ迄の段取りを
全て伝えたスタッフさんとは
別の調理担当のスタッフさんが
実行役となった。

一抹の不安を覚えた私をよそに
定刻を迎えた私達は
今回の舞台へ案内される事となった。

豪華な建物の中庭は
ここが都階のど真ん中だと言う事を
忘れさせるぐらいの庭園が広がっていた。

その中庭をほどなく歩くと
趣のある一軒家が見えてきた。

一軒家の2階に通されると
そこは私達だけの為に用意された
お座敷スタイルに専用の鉄板。

①食事の途中でお花を出す

②お花と後に『Will You Marry Me?』のメッセージカードを出す

たったこれだけの手順だ。
引き継ぎされているのであれば
別の担当さんでも問題無いだろう。

目の前に広がる
非日常的な空間を目の当たりにしたら
私の小さな不安は
あっという間に消え去った。


私達しか居ないスペースで
私達だけの調理師さんが
私達専用の鉄板で調理をしてくれる。

『誕生日だしこれぐらい贅沢しても良いよね』

彼女には誕生日のお祝いと伝えているので
その後のプロポーズは思ってもいない
サプライズとなる。

メインディッシュを終えた私は
この日の本当のメインディッシュの為に
調理担当の方に目配せをした。

今回の為に用意したお花

いつも誕生日には
少しばかりのお花を用意しているが
今回はいつものそれとは違う様子のお花に
彼女は少し驚いている様子だった。


『Will You Maryy Me??』
(結婚してください)

ここで、このメッセージカードが出てきて
サプライズプロポーズが大成功


と、なる筈なのだが

お花が登場して暫く経ってからも
メッセージカードが出て来る気配がない。


サプライズのお花に彼女は喜んでくれていたが
何ならこれは例年行事だし
サプライズもくそもないし
とっくにそのターンは終わっている。

(早くメッセージカードを!)

何度か目配せを送る私に
担当の方は全く気が付く様子が無い。

目配せを諦めた私は
彼女の視界に入らない様に
少し身を後ろに引きながら
手を四角にしたハンドサインを
担当の方に送った。

(メッセージカードを出して下さい)


私の必死のハンドサインで
担当の方はようやく気が付き
静かに頷いて応えてくれた。

『どうぞ、おしぼりをお使い下さい』


そうじゃねぇんだわ


え?
ちょっと待って??

お花と一緒に出してって伝えてた
メッセージカードの存在


無かった事になってない?


何ならお花はオマケで
メッセージカードが
本日のメインなんだってば!

これじゃ例年通りの
ただの誕生日で終わっちゃうじゃない!


すぐさま担当の方を呼んで
カードの事を伝えたかったのだが
ここは一軒家の離れ。

私達2人以外は
この担当の方しかスタッフさんは居ない。

お手洗い行く隙に…

と考えたのだが私達は2階
お手洗いは1階
担当の方を呼び出すのは
あまりに不自然だ…
(何ならお花が登場する前に行ったばっかりだし)


彼女に気が付かれない様に
何とかして担当の方に
メッセージカードの存在を
知らせなくては…

短時間でフル回転をさせた私の頭に
妙案が浮かんだ。

私はおもむろに携帯を取り出し
メモアプリ機能を使って文字を打ち込んだ。

このまま携帯で写真を撮るフリをして
内容を確認してください
お花と一緒にメッセージカードは
入ってませんでしたか??

この文字を記載した
メモアプリ機能が開いた画面を
担当の方に見える様に
私は携帯を渡した。


『せっかくなんで写真撮って貰って良いですか??』


********

そんな事を企んでる様には
全く気が付かなかった

その後、無事に
カードと私の気持ちが届いた彼女は

驚かせようとしていた私が
別の意味で驚きの連続だった事に
幸いにも気付いていない様だった。


誰よりもサプライズだったのは
どうやら私だったのかもしれない

そんなプロポーズの
思い出。

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