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【サッカー】想いの詰まったホームラストゲーム

広島生まれでサッカーが好きな私は、当然のようにサンフレッチェ広島のファンだ。
ただ、サッカーに詳しいわけでもない私は、生まれた土地のチームというだけで応援していた。
それだけでも一応、応援しているという意味ではファンの端くれではあったと思う。

しかし、年を追うごとに中でも好きな選手を見つけては応援したし、チームの選手が移籍で入れ替わっていくのも含め、どんどんチームに思い入れが増していった。
今ではグッズを持って毎試合テレビの前で中継を観て応援するくらいにはちゃんとファンと言えるようになった。

そんな私の推しチームであるサンフレッチェ広島が、先日の土曜日、今季のホーム最終試合を迎えた。
この試合は、サンフレッチェ広島ファンにはチームの歴史に残る特別な1試合だった。

その要素は二つ。
一つ目はエディオンスタジアム(旧名称:ビッグアーチ)が今季限りで本拠地ではなくなるということ。来季からは新しく出来たスタジアムが本拠地となる。
二つ目は今季限りで引退を表明したGK林卓人選手のホームラストゲームになるということ。


まずは一つ目の、本拠地となるスタジアムの変更についてだが、この出来事だけでも相当なドラマがあった。
サンフレッチェ広島は、Jリーグ発足当初から存在する、歴史あるチームの一つだ。しかし、なかなか優勝は出来ず、二度のJ2降格もあった。

ところが、今や代表監督でもある森保一監督がチームの監督になった初年度の2012年に初優勝を飾った。

そしてこの後、森保監督体制にて連続で優勝を飾り、強さを証明するのだが、サンフレッチェ広島の本拠地であるエディオンスタジアム(旧ビッグアーチ)は老朽化の問題や、山奥に位置するアクセス面で問題があった。(シャトルバスや路線バスも用意されているが、他チームや野球の広島東洋カープのように市街地にあるわけではなかった)
これだけの強さを示した監督、選手、チーム関係者がインタビューの度に「新スタジアムの建設を」と何度も何度も呼びかけるほど切実な事態だった。

しかしスタジアム建設の話は全くと言っていいほど進まなかった。
それは、市が協力的ではなかったから。

財政などの様々な問題があったとしても、市長が「スタジアム建設は3回優勝したら考える」とか「広島は2位でいい」なんて失言が飛び出すほど、サンフレッチェ広島というチームを軽視していたとは…怒りや悲しみを通り越して呆然としてしまうレベルだった。

そこから約11年という長い時間を要してしまったが、そんな時期も乗り越え、ようやく新スタジアムの建設・本拠地移動が決まり、今季限りでエディオンスタジアム(旧ビッグアーチ)ホームラスト試合を迎えたわけだ。
大きな大きな意味があったこと、お分かりいただけたのではないかと思う。

そして二つ目の、今季限りで引退を表明したGK林卓人選手のホーム最終戦という要素。
林選手の加入当時は、下田選手という不動の守護神がいた。出場機会に恵まれず、札幌へ完全移籍。その後、仙台でプレーした後、広島に復帰し優勝にも貢献した選手。
しかし今は、代表戦にも出場する大迫選手にチームの正GKの座を奪われていた。
GKというポジション上、試合途中での交代は負傷交代などのアクシデント以外はまずない。
このホーム最終節も、チームが3位に浮上する為に勝ち点が必要という一戦で、スタメンではなかった林選手が途中で出場するのは厳しい状況だった。
しかし…「しかし」なのだ!
チームメイトの活躍が素晴らしかった。
相手の得点をゼロに抑えるのはもちろんのこと、3点を獲得し大差をつけていたのだ。
短い時間の出場ではあったけれど、引退前ホームラストゲームにて、GKでありながら負傷でもなく交代し、ピッチに立つという素晴らしい舞台が整えられたのだった。
そしてスキッペ監督も、その舞台へと林選手を送り出す。
はぁ…なんて素晴らしいチームなのだろう。

スキッペ監督の粋な選手起用は林選手だけではなかった。
最近なかなか出場機会のなかった選手を次々に起用したのだ。
スタメンには青山敏弘選手が選ばれ、キャプテンマークを巻いていた。広島らしい、ピンポイントでキレのある縦パスは健在で、ピッチ内あちこちで顔を出す精力的な動きは出場機会に恵まれていないことが信じられないくらいだった。

他に途中交代で登場した選手も、最近なかなか出場機会はなかったが、優勝にも貢献したスタジアムに思い入れがあるであろう選手ばかり。
柴崎選手(あのポール直撃の一打はもう入ったと思った。本当に惜しかった!)、
柏選手(サイドでのあの献身的なダッシュは柏選手の代名詞)、
野津田選手(前に上がった塩谷選手や、前線の選手へのホットラインはもう最高)。

スキッペ監督のこともますます好きになった。

とにかくこの試合は記憶に残る最高の一戦だった。
ベテランと若手の両方が持ち味を出し、エンブレムにある三本の矢のように、見事に3点の見事なゴールを相手ゴールに突き刺して。お世話になったスタジアムでの最終戦に見事な勝利を飾った。

私は今までもこれからも変わらずサンフレッチェ広島ファンでいようと思った。
そして選手や監督、チーム関係者に、心からのおめでとうとありがとうとがんばれを伝えたいと思う。伝え続けようと思う。
新たなスタジアムでの来季も楽しみにしつつ、まずは12/3に行われる今季のラストゲームを応援したいと思う。

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