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EC物流・・・5つの物流機器導入のキーワードの中身を紹介

5つのキーワード再確認

 前回、EC物流における物流機器導入においての基準として、5つのキーワードをあげました。

 覚えていますか?

今一度、復習のためにアップします。
1)シンプル
2)スマート
3)フレキシブル
4)緊急対応
5)最適化

 今回は、この5つのキーワードについて説明していきます。

キーワード1:シンプル

 シンプル・・・簡単。
物流機器を現場に設置して、一番困ることは専門家やその教育を受けた人しか操作ができないこと。
安全面を考えれば、そうでないとまずい場面もあります。

 でも、マニュアルがなくても基本操作がわかりやすいことはとても大事です。
百歩譲って、現場におけるA4表裏程度の簡易マニュアルでわかる程度の内容である必要があります。
オプション的な操作があってもそれは階層の下に隠し、一目にふれやすい所は簡単にすることです。

 例えば、モータローラコンベヤのコントローラ。
速度を手動で変速するときに、感覚的に簡単に操作ができることが必要です。
ボリュームを右側にまわせば・・・速度があがる。
ボリュームを左側にまわせば・・・速度がさがる。
これを、デジタルティックにディップスイッチでの操作にしてしまうと、設定表かその設定表を記憶していないと速度変速できなくなるのです。
普段は、デジタルティックにPLCやパソコンから操作していてても、いざという時に手動対応は必要になります。
そういう意識が商品に反映されているかということです。

 実際の操作をするのは誰か?
専門家にしかわからないしくみであっては、中小物流センターでのEC物流化促進は険しいと思います。

 日本人に多く使われているiPhone・・・
直感的に操作できるので、私も好きです。
確かに、普段使わない機能は沢山あります。
しかし、普段使う機能の操作がわかりやすければいいのです。

 物流現場では、物流機器の操作にタッチパネル方式を採用しています。
タッチパネルを押すことにより確認ができる・・・
わかりやすい操作の一つと言えますね。

キーワード2:スマート

 最近、FAの現場ではスマート工場なる言葉が流行しています。
物流においても一緒ですね。
スマート物流・・・

 物流機器が重厚長大は今は昔です。
やはりデザインが要求されます。

 物流機器は単なる機械かもしれません。
物流機器にデザインなんて・・・

 今や働き改革の時代です。
物流センターや工場での作業現場は、きれいでなくてはいけません。
協働ロボットも活用される時代になっています。

 スマートでない物流機器は、もはやこれからの時代にはマッチングしないと思います。
ましてや、ECでのネットサイトはどこも艶やかながらもスマートな構成になっています。

 表側であるサイトがスマートなのに、物を扱う裏側の現場はごちゃごちゃで無機質なものであっては駄目ですね。
現場で作業する人も気持よく作業ができる。
そういう環境を意識して作る必要があります。

 昔、オカムラさんがライトローラという製品を売り出していました。
そのデザインを見たとき、流石にオカムラだと思いました。

オカムラといえば、オフィス製品やスーパーなどショーケースで有名です。
デザイナーもいます。
それを物流機器にも応用しているわけですから・・・センスがいいわけです。
物流機器にデザインのセンスを取り入れたあたりは素晴しいですね。
今からの時代・・・このセンスが必要になります。

キーワード3:フレキブル

 これは、EC物流においての最重要のキーワードになります。
物流機器を導入すると固定化されます。
要するに、一度物流センター内に設置されると移動できないのです。

 物流においては、繁忙期や閑散期が発生する商品があります。
入荷と出荷を1日のなかで、時間帯をわけて同じスペースやエリアを共有しないといけない場面もあるでしょう。
そうした時、固定設備だと変動させることができないのです。

 ある物流センターの現場で、大型のソーターが中央に配置されて全く活用されなくなった状況をみたことがあります。
見るに無残ですね。
大型のソーターは、それなりの重厚長大なので簡単に取り外せないのです。
もし、フレキシブルにそのソーターを移動できたなら・・・
作業環境は一気に改善されますね。

 今、物流では、ルンバ型のロボットが人気です。
棚ごと、ピッキング作業者の元に運んできてくれる。
コンベヤレスの設備が実現します。

 ただ、コンベヤも素晴しいメリットがあります。
固定されて、人の移動の導線を制限してしまうので嫌われるケースがあります。
コンベヤラインを超えていくには・・・・飛び越えていく・・・
これはNGですね。
またぐ階段を設置したり、一部通路を跳ね上がるコンベヤの方式にしたりします。
これをもっとフレキシブルに動かせるものにしたら・・・
必ずしもコンベヤレスにする必要はなくなります。

 もちろん、自動化で物を移動させるためには駆動源としての電気が必要になります。
その電気系配線をシンプルにする必要があります。
信号系の配線と駆動源の配線をまとめてシンプルにする。
このハーネス系がごちゃごちゃになった現場がよくあります。

 いくらコンベヤが切り離しできるものであっても、電気や駆動などのハーネス系が一体でシンプルでないと、本当の意味でのフレキシブルとは呼べないと思います。
まだまだ日本の中では、完成度の高いフレキシブルな物流機器はありません。
登場を待ちたいですね。

キーワード4:緊急対応

 順調に物流機器が運用されている時は、さほど気にならないことです。
しかし、トラブルは現場ではつきものです。

人為的なこと・・・
機械的なこと・・・
制御的なこと・・・
そして自然災害もあります。

 機械トラブルで、物流ラインや物流機器が発生した場合、原因を確かめて、原因を取り除いて、リセットをかけてから復旧する。
大型の物流センターでは、当たり前の光景です。

 しかし、自然災害の場合は・・・マニュアルでは対応できません。
そんな時に応急対応できる物流機器であるかどうか?
大事な視点になります。

 平時の順調な時だけしか活用できない物流機器であっては、今後のEC物流にとっての素晴しい商品とは言えなくなります。

 例えば、以前、あるセミナーでフレキシブルな緊急時の対応について説明したことがあります。
非常に反響がありましたね。

 どういう内容かというと・・・
コンベヤラインの場合・・・
被害を受けなかったコンベヤだけをフレキシブルに動かして、並び替えて応急的な復旧をするという考えです。
固定したコンベヤであれば、これは不可能です。

 しかし、フレキシブルに構成したコンベヤならそれが可能になります。

 ルンバ型ロボットでもそうですね。
壊れていないルンバ型ロボットと棚を使って、応急復旧させる。
普段ハンディータイプのスキャナーを使っていなくても、非常時には使えるしくみにする。
一時的にアナログ処理で対応していけることも大事です。

 災害時の緊急対応は、常に日本のEC物流の場合は念頭におく必要があります。

キーワード5:最適化

 個々に優れた物流機器を集めたとしても、その組合せや運用方法が適切でないと宝の持ち腐れとなります。
最後に重要なことが・・・最適化なのです。

 物流とは物の流れです。
物が順調に流れていかず、どこかで詰まれば・・・
そこがボトルネックとなり、あちこちで荷詰まりが発生します。

 高速道路の渋滞もそうですね。
安易な一自動車のブレーキから後続車へのブレーキの連鎖が派生して渋滞が発生します。
登りの坂道やトンネルの入口などの地理的条件と人間の心理面も影響します。

 如何にボトルネックを発生させないか?

 そのために、物流機器にも最適化が必要です。
各マテハンメーカーは自社商品PRのために良いことを沢山アピールします。
ユーザー側にとっては、理想的な夢物語を見させられます。

 そんな時、イレギュラーが発生したときどうなのか?
それを考えておく必要があります。

 一番優れた商品同士が必ずしも最適なEC物流システムになるとは限りません。
スポーツと一緒ですね。
野球でいえば、総合的にまとまっているかどうかです。

 最適化してこそ、真のEC物流が実現します。

 以上いかがでしょうか?

 もし、今後EC物流を考えるユーザーの方がいれば、重要なキーワードとして活用下さい。
また、私に相談したいことがあれば、何なりとお申し付け下さいね。

今日も記事を読んでくれてありがとうございます。いろんなテーマで書いています。あなたの心に届いた記事は、ありましたか?自営業として苦戦の毎日ですが、明るい心を忘れずに日々取り組んでいます。あなたの応援が、私の明日の糧になります。ご支援に大変感謝です。