ギャラリーは良いよ ~齋藤陽道『絶対』を観てきた~
目まぐるしい日々が続いてる。
もういい加減休まないと大変なことになりそうなので、ボーと過ごそうとした本日。
……これ、行きたかった!
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https://twitter.com/saitoharumichi/status/1321023331219447808?s=20
結構迷ったけど、行くことにした。
自分の身体との相談も大事だけど、気持ちに従った感じ。
日本橋は久しぶり。
地元の島根の物産館がいつの間にか移転していて、寂しかった……。
会場は日本橋・三越だったけど、その前にコレド室町3にある『ちばぎんひまわりギャラリー』に行く。
以前来て、とても心地良かったからだ。
都会の美術館は数が多いから、かなり選べるところが素敵。
しかしながら、私はかなりマイペース。
地元の島根の松江にも美術館があって、長らくそこで美術に触れてきたから、あの空間の広がりや人のいなさ加減が馴染んでいる。
https://www.kankou-shimane.com/destination/20340
夕日が素敵な時期は、日没後30分閉館という粋な計らいもしてくれる美術館です。松江に来た時は是非お立ちよりください。
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これ言いたいくらい、好きな場所。
だから美術に触れるなら、のんびり鑑賞したい気持ちが強く、東京の美術館は行きたい展示に限って人が多く、人の流れに乗って、動きながら鑑賞せざろう得ない体験をしてからはちょっと足が遠のいてしまっている……。
だからの、ギャラリー。
ここでは、土門大士展を観た。
色鉛筆画で、緻密な構図。
一番好きだったのは、『太陽の国』という作品で一番大きく、カラフルなもの。不思議の国のアリスの世界に紛れ込んだんじゃないかと思うような世界がグラデーション豊かに広がる……感動でした。
だって、これ、一筆一筆描いてるんだもの。
遠目にはわからないけど、近づくとその一本一本が目に見える。
一つの作品を仕上げる情熱がリアルに伝わってきた。
満足。
本命、三越6Fギャラリー。
私は初めて来たのだけど、衝撃を受けてしまった。
何故なら、このフロアには劇場とギャラリーしかない!
他の百貨店では、フロアの一角や片隅という位置付のギャラリーがフロアを埋め尽くしている。
立体感伴う油絵やマイセン、人間国宝が作った焼き物だったり、今、第一線で活躍する陶芸家さん達の作品が展示してあるので、そちらも観る。
こんなに贅沢なことないよ。
マイセンについて、私は知識がないのだけど、そこに常駐していた係の人がちょこっと解説を付けてくださった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%BB%E3%83%B3_(%E9%99%B6%E7%A3%81%E5%99%A8)
1710年頃よりドイツのマイセンで作られ始めたということ。
日本では江戸時代……文化の違いを感じる。
日本は他の国の文化を取り入れるのが得意な国だと言われているけど、今日会った方は「マイセンも文化を取り入れるのは上手いと思いますよ」とおっしゃっていた。
確かにいろんな陶磁器があるけれど、ヨーロッパとは違う色合いのものもあったりで、でも、そのデザインも人気で長らく愛されてるというから、国とか関係なく、キャッチする力が強いデザイナーがいたってことなのかもしれない。
……忘れてしまったから調べてみたけど、うまく出てこない。
ギャラリーの良さは、作家の名前がすぐにわかるという点もある。
コミカルな鬼の絵が一際目立っていた、滝下和之展。
鬼の日常、桃太郎を迎え撃とうと準備してたり、相撲取ってたり、後、他の構図で虎と龍もあって、こちらはカッコよかった。
帰り際、係の人が渡してくれたパンフ。他では観るのに夢中でもらい損ねたので、詳しく紹介できません。
金が入ったピンク色の陶器だったり、
岩石のような荒々しいながらも自然を感じさせる陶器だったり、
誕生日に陶器を自分も作ったから余計関心がいきやすいんだけど、すごいよね、本当。あの形を作る工程も、そこに工夫を付けるセンス、色付け、それがどう発色するか?すべて研究の賜物。
陶器はより人の手を介しているので、その人を感じられる気がした。
また、亡くなった方の作品も多く、それが現存し、今、私の目の前にあること、そのご本人はいなくなった訳だが、意志はありありとみえているから、アーティストは死んでも死なないのかもしれないとも強く感じた。
前はそこまで感じなかったけど、今、コロナのことから演劇の世界でも別の道へ進む人も出てきているからより感じやすくなっているのだと思う。
さて、大本命。
齋藤陽道さんの写真展!
私は写真撮れることを知らず、ひたすら鑑賞しまくったので、ここに載せれず、申し訳ない。けど、すごいことは伝えられると思う。
この「絶対」は、逆光が構図の写真展。
(これのステイトメントについては、トップに載せたツイートを見てください)
だから、陽を受けた人や植物の姿の写真と出会う訳だけど、陽を受けた人の姿の美しいこと。
人って、神なんじゃないかと思う。
齋藤さんの奥さんと産まれたてのお子さんの姿なんて、聖母マリアの絵みたいだった。
そして、どの写真も観るとエネルギーがこちらに伝わる、むしろ入ってくる。
それは、太陽の力強さと温かさ。
写真を見てる筈なのに、日向ぼっこ、それも強烈なのをしてる感覚になる。
齋藤さんがいらしたけど、私はシャイな口なので、そそくさと後にした。
でも、ある写真にもう一度会いたくて、戻った。
その写真は、男の人が背中を向けてるけど笑顔の写真。
この写真を観ていると、コロナによって東京を離れた、離れることになった友だち達の姿と重なったのだ。
その写真の人とは全然似てないのだけど、何だか無性にその人たちに会いたくなった。会って、いろいろ話したくなったのだ。
私は写真を観て、こんなに心動かされたことはない。
これが、齋藤陽道という人の才能だと思う。
そして、齋藤さんにも話しかけた、勇気振り絞って。
齋藤さんは耳が聞こえないから筆談で話したんだけど、私は伝えたい想い一心で、猪のような猪突猛進コミュニケーションしかしてなかったことに帰路気付いたのだった……。
齋藤さんの写真展は明日まで、じゃなかった!30日みで。もしお近くでお時間があったら、見て観て欲しいです。
出会ってくれて、記事を読んでくれて、ありがとうございます。演劇をやっています、創るのも、立つのもです。良い作品を届けれるよう、日々やって参ります!