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身に覚えのない婆さんの話 ~戦争が終わったら、結婚するはずだった~


№21 今回紹介するお話

「父親の代理で参列した親戚の葬式の時、見知らぬ婆さんに突然腕をつかまれ、婆さんは○○さん○○さんと言ったまま・・・」

今回紹介するのは、父親の代理で親戚の葬式に参列したという男性の投稿です。
※投稿時期は2006年頃と思われます、違っていたらごめんなさい。

このお話をYouTube上でアップされたものがありましたので、併せて紹介していきます。

投稿内容

昨年の夏休みの話

会ったこともない遠い親戚の葬式。親父が出席するはずだったんだけど、
どうしてもいけなかったので俺が代わりに出席することになった。新幹線乗って田舎町へ。

周りも見たことない人しかいないので、重い空気に沈鬱していた。
葬式が終わり退出しようとしたとき、出口で見知らぬ婆さんに突然腕をつかまれた。けれども、つかんだきり何も話さず目を丸くしているだけ。

かなりの高齢だったのでぼけているのかと思い、何でしょうかと質問すると、○○さん?○○さん?としかいわない。やはりぼけているのだろうかと思い、周りをみても誰も知り合いがいる様子にない。この人も俺と同じく遠縁のひとらしかった。

婆さんは俺を見ながら「あんれえ帰ってきて下さったん、まっとっ…」と、
黙り込んでまたしばらく動かない。すると今度は婆さんに食事に連れて行かれた。お腹も空いてたので一緒に食事をすることに。

食事中、婆さんは昔話ばかりしていた。食事の後も俺はあちこちに連れまわされた。この建物はいつ作られただとか、あの建物はなくなったのとかそういう話ばかり。俺は特に語らず、ずっと聞き手になっていた。

帰りの新幹線の時間もあるので、そういって別れようとすると引止めにかかられた。「もういってしまうのか、今度は直ぐに帰ってくるのか」と聞き取りにくい方言で何度も俺に聞いてくる。

めんどくさかったので、「また直ぐに会えますよ」と返事をしつつ別れることになった。婆さんは駅まで一緒に行くといい、途中何度も行かないでくれといわれ、最後まで引きとめられた。結局、新幹線には乗り遅れた。散々な目にあったと思い帰宅。

数日後、また親戚の葬式の連絡。今度は親父がこの間よりも近い親戚なんで俺にも来いという。バイト仲間にまた葬式かと冷やかされて葬式にいった。

そうしたらなくなった人はあの御婆さんだった。驚きつつも、そうか、あの婆さん亡くなったのか・・ぐらいにしか思っていなかった。葬式の喪主は婆さんの弟がおこなっていて、どうやら婆さんは、ずっと独身らしかった。

式後改めて喪主の人に会いにいくと、婆さんの弟は俺をみて驚愕し、
また○○さんと間違えられた。

亡くなった婆さんにもそういわれたことを教えると、いつ会ったのだときかれ、この前の葬式で会い、食事やら散歩したことを話した。そうしたら弟の爺さんが泣き出して、少し待っていろという。しばらくして爺さんが写真を持ってきた。
 
その写真には俺が写っていた。
 
写真は白黒でかなりぼろぼろであったが、ゲートルをまきを着た俺が立っていた。そして隣には十代後半に見える女性がいた。良家のお嬢さんに見える。

爺さんは話してくれた。その女性はあのお婆さんで隣の俺そっくりな人は○○ということ、戦争が終わったら結婚するはずだったこと。終戦後その人は帰ってこなかったが、婆さんは絶対に帰ってくるといい続けたこと。

婆さんは戦後の農地改革で家が没落し、結婚を薦められても頑なに拒否したらしかった。お婆さんが死ぬ直前弟であるその人に、やっとあの人が帰ってきてくれた、今度は直ぐ戻って来るんだと嬉しそうに語っていたらしい。

弟のお爺さんは死の直前に幻覚をみているのだとしか思っていなかったが、
「そうじゃなかった、あの人の生まれ変わりが最後に会いに来てくれたんだ」と号泣しながら語り、俺に何度もありがとう、ありがとうと言っていた。

俺も涙が止まらなかった。

お婆さん、今頃おれのそくっりさんと天国で寄りり添っているのだろうか。
またいつか、お墓に花を添えに会いに行くよ。

YouTube

このお話を元に作られた動画がいくつかありましたので、
一部を紹介します。
※ご紹介する以外にも動画はあるようです。

【2chショート】菊太郎

思い出のゆっくり2ch

【2chショート】元銀行員

さいごに

私のnote記事は営利を目的とはしておりません。
単純に涙した話を皆さんと一緒に共有したいと思い記事にしています。

しかしながら「著作権」などの問題がある場合は削除致しますのでお知らせください。
なお、掲載している画像は いらすとや 様、イラストAC様から頂いています。

最後までゆっくりお付き合いいただきありがとうございます。

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