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パン屋日記

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寝る前の読みものを探している方に。パン屋で働く「わたし」のノンフィクションエッセイをお届けします。やさしくてあたたかい変な人たちがたくさん出てきます。
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#広島

パン屋日記 #26 クマ崎さんのお留守番

ある日、毎朝7時45分にやってくる 常連客のクマ崎さんが、 めずらしく弱気な顔で言いました。 …

icca
1年前
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パン屋日記 #25 東京ばな奈

「もみじまんじゅう20個ゆうたら、  一人で持てるかのう」 『えーっ、持てませんよ!  20粒…

icca
1年前
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パン屋日記 #9 隠しきれない隠語

サービス業では、 たびたび隠語が使われます。 「トイレ掃除」や「休憩」など お客さまに聞こ…

icca
1年前
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パン屋日記 #8 ああいう店のコロッケは旨い

「すみません、予約をお願いしたいのですが」 お客さまのレジを打つわたしのうしろで 愛し尊…

icca
1年前
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パン屋日記 #3 年下の先輩

パン屋の同僚に、 「坂下さん」という年下の先輩がいます。 私よりも3つ年下の女の子なので…

icca
1年前
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パン屋日記 #4 『僕のことハゲてると思てるやろ』

冗談というのは、 理解力と、創造力と、 瞬発力を必要とします。 年齢差があると、 おもしろ…

icca
1年前
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パン屋日記 #2 飛べないカラス

パン屋の前のベンチに、 一匹のカラスがいました。 けがをしているのでしょうか 飛ぼうとしては落ち、 飛ぼうとしては落ちを繰り返しています。 わたしが外に出て近づくと、 声を出さずにカァーと 口をめいっぱい、縦に開いて威嚇します。 カァー コラァー とカラスに威嚇され続けながら困っていると、 自転車で通りかかったお兄さんが、 「M町に保護センターがありますよ」 と教えてくれました。 「僕も今日、スズメのヒナを拾ったんです」 そう言って、パンまで買って帰ってく

パン屋日記 #1 お客様という神様

無茶なお客さまなんて、毎日来ます。 その度に心から「辞めたいなあ」と思います。 「ちょっ…

icca
1年前
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