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貝塚伊吹のベストソング 2021 「透明少女よ河童は死んだ 」

https://www.youtube.com/watch?v=2pcMs3E0QJU

2021年のある日曜日。その日はナンバーガールのライブが日比谷であって、行きたかったけど「まぁまたフェスとかで見れるよなぁ」と諦めて出勤した。んで職場でずっとライブ映像を流している。

「ナンバーガール好きなんですか?」
長濱ねるをもうちょいパキっとさせたような美人のお客さんに突然話しかけられた。
私「好きですよ。何言ってるかわからん時もあるけど刹那的で今にも消えてしまいそ   
うなとことか」
客「あぁわかります。ザゼンもいいけどナンバガのほうが生々しくて」
とかとかナンバガをきっかけに「モテキ」とか「花束」の序盤みたいな「あの映画が好き」「あの曲は嫌い」というサブカル記号会話をうだうだ話した。
それにしてもずっと話しかけてくるのだがとうとう向こうから「あの、連絡先交換してもらっていいですか?」と言われた。

あぁ、あらら。あまりにも美人なので「デートに誘って保健の勧誘するやつや(過去にそういうことがあった)」と思った。

でもなんやかんや(2位の曲紹介欄に詳しく書いてます)でデートすることになった。
しょっぱなから西荻窪にあるうちにきて海外ドラマを一気見しながら酒を飲んで一緒に寝た。もうちょっと一緒にいたかったから「明日休みだからもう一泊しなよ」と誘ったら「うちペットいるからそろそろ帰らなきゃ。ってか来ます?」と彼女の家に行った。


それからお互いの家を行ったり来たりで付き合ってるのか付き合ってないのか微妙な関係が半年いかないくらい続いたけど彼女がいわゆるメンタルヘルスで、基本的には家から出られないし昼も夜も眠剤やら咳止めをたくさん飲んでオーバードーズしようとするし、毎日別人になったような態度/喜怒哀楽の起伏激しすぎ/アシュラマンの顔がずっとがグルグルしている状態に私は心も体もついていけなくなった。

ナンバーガールのようにいつ消えるかわからないような刹那と狂気じみている彼女のことが狂おしいほど好きだったけどこっちの寿命も縮むと思った。ってか実際に縮んだ。彼女の家に行くと毎回吐いてたし。比喩ではなく本当に。

友達から「お前最近おかしいよ。もうそんな人とは会わないほうがいいよ」と心配の声をかけられる頃にはもう彼女にラインをブロックされていた。調布でバカでかい花を見に行った時「これで会うのは最後ね」と言われて「毎回それ言ってるし今日は機嫌が悪い日かぁ」くらいに思っていたけどその日が本当に最後になった。


2022年のベストを書きたかったけど「2021年の書いてなかったわぁ」とこの記事を書きはじめている。でも今(ここまでは2023年2月19日に書かれている)はもう2023年でフェブラリーステークの日で、オールナイトニッポンが55時間ずっと放送されていて、ブレイキングダウンはSATORUが襲われてドタキャンしている。2021年のベストを書いたってもう誰も見ないと思う。でも書かなきゃなんか進まない感じもするので書く。
2021は大豆田とオッドタクシーと花束とドライフラワーとBTSと東京リベンジャーズが流行った年です。

10位 Sexy Zone「RIGHT NEXT TO YOU」

誰もがうっとりする「丸の内サディスティック進行(わからない人は↓の記事を)」でバキバキのEDM

全編英語詞でサビではもはやほぼ歌わないで踊り狂っているパフォーマンスは2021年に解散したV6の「All For You」を思い出す。なんやかんやあったし2023年現在もゴタゴタしいるジャニーズだけどこうやって先輩のイズム、パフォーマンスが受け継がれていくのは最高っすね。


9位つばきファクトリー「涙のヒロイン降板劇」

「RIGHT NEXT TO YOU」とコード進行は一緒なんだけどイントロ4小節で心を鷲掴みにされる。間奏のピアノソロもヤバイんすけどオートチューンが分からないくらいに微妙にかかっているのが気持ちいいっすね〜。

新メンバーの福田真琳さんは美しさの中に憂いが含有されていて本当に素敵です。


8位 東京ゲゲゲイ「OUT SIDER」

最初に書いた「透明少女」ともう一人「ほぼ付き合ってる」状態の人がいたんすけど、デート中、ってか新宿のバリアンのベッドの上で「あなたのこともっと男らしい人だと思ってた」って言われて「令和にもなってまだそんなこと言う人いるんだ」とブチ切れそうになったことがある。あの人にはこの曲のこのフレーズを送りたい。

「男らしさなんて 女らしさなんて全ては幻」
「普通がいいなって2千万回くらい思ってきたの でもそっちはもっと退屈」

このフレーズ凄すぎる。
めっちゃ新しい曲のはずなのにリズムが80年代ディスコでチグハグになっている違和感が面白い。


7 位 マハラージャン「セーラームーン太郎」

YouTubeで突然おすすめされたこの動画。
祈りのように繰り返される「セーラームーン太郎」という言葉も
ムキムキの女性が何されてもマッスルポーズ決めてるのも
急にクラプトンのフレーズが入ってくるのも全部全部意味不明だけど。音楽ってこうでなくっちゃ、とも思う。最近の歌詞、というか日本語には意味がありすぎて疲れる。

6位 バーバパパ「インク切れ」

これもセーラームーン太郎と同じようにYouTubeのおすすめに突然出てきた曲。
CGキモいし歌詞もずっと意味わからんけどなぜかサビでなぜか胸がキュッと掴まれるようにめっちゃ切なくなる。
わたしはYouTubeでお笑いとか深夜ラジオとかAbemaのバラエティ番組の切り抜きばかり見てるんすけど、おすすめにfranz k endoとか

五分目悟とか

おもしろCGコント動画がおすすめにいっぱい出てくるんだけどみなさんはどんな動画とか音楽がおすすめされます?

5位 宇多田ヒカル「One Last Kiss」

エレピのような柔らかなシンセで4拍子×ソカ(ソウルとカリプソの合体)のリズムってエドシーランの「シェイプオブユー」や

Shawn MendesのTreat You Better とか

人間が本能的に爆アガリするリズムのはずなのにOne Last Kissはなんでこんなに切ない気持ちになるんでしょう。

宇多田ヒカルは10歳の時点で藤圭子に「私の子はとんでもない才能だから絶対歌手デビューさせる」と半ば強引に家業を継がされたらしいけど、宇多田ヒカルの壮絶なる人生と碇シンジの人生がどうしてもリンクしているように見えてしまう。

さようなら全てのエヴァンゲリオン

4位 スカート×Punpee「オッドタクシー」

ありそうでなかったコラボレーション。コード進行も構成も完全に「今夜はブギーバック」を意識している。
アニメ本編はかわいらしいキャラデザの割に結構ヘビーな内容だったけどこのテーマ曲のおかげで救われたところもある。
劇中のBGMがヒップホップレーベル「サミット」の人たちなのも楽しかったなぁ。

3位 サカナクション「ショック」

サカナクションは2021年に新曲のアルバムを出す前に未発表のアルバムでツアーをやるという狂った企画「アダプトツアー」を始動した。未発表の曲をライブで初出しして、それを映像に撮ってそのままPVにしてしまうというこれまでの音楽の流通の完全に逆を行っている。

しかもこの曲はタイアップ曲なのだが「ルパンの娘というドラマの主題歌を作ってください。」というお題に「昭和歌謡曲(太陽にほえろ)のギターリフに今っぽいアフロビーツを乗せる」という発想がキテレツすぎて狂っている。


2位 STUTS ft.松たか子「Presence」

冒頭で「なんやかんやでデートすることになった。しょっぱなから西荻窪にあるうちにきて海外ドラマを一気見しながら酒を飲んで一緒に寝た。もうちょっと一緒にいたかったから「明日休みだからもう一泊しなよ」と誘ったら「うちペットいるからそろそろ帰らなきゃ。ってか来ます?」と彼女の家に行った。」
まるですんなりお家デートをカマしてるかのように書いたがそうではなかった。

「透明少女」はどうやら一晩過ごしたかっただけらしく、ラインでやりとりしてるだけの状態で「マジ恋」しつつある私と距離を置こうとしていた。要するに「本気ならもう会いたくないです。」と言われた。よく分からんがもう好きになってしまってたし、はじまった恋は止められないし会えないことに焦った。
「もう会いたくないです」と思っている状態の人にどうすりゃええねん。と悩みながらリアルタイムで放送されていた大豆田とわ子4話を見ているとこのようなシーンになった。

誰かに片想いしている状態の八作(松田龍平)に「恋というのはどちらかが負けないと成立しない。わたしは勝ち続けるけどね」と語る(そして口説こうとしてる)三ツ屋(石橋静河)とのやりとりである。囲碁を打ちながら「恋とは勝ち負けのあるゲーム」と言っている。まるで「プラスティックラブ」である。

わたしはこれまで恋のことを勝ち負けで考えたことはなかったが、透明少女に関して言えば「この恋は負けなければいけない」と悟った。

それまでのやりとりでわたしは結構カッコつけていたのだがもう剥き出しで「とにかく今は毎日君のことで頭がいっぱいで、、(略)」
恥ずかしいけど思ったことをそのまま言って「好きです。とにかく会いたいです」と完全に敗北宣言した。んでなぜか刺さったらしくいきなり家デートして付き合ってるのか付き合ってるのか分からない状態になり(以下略)。

「さんざん待った滑走路飛んでく空向かう castle 無駄足踏んでますよ そりゃそうよお先にどうぞ 「I'm good loser」 
他には見つけられっこない だけど目と目が合わない つまり街は君含め孤独だから あのさ 123456」




1位 


「透明少女」にフラれてわたしは大阪に行った。
心も体(主に内臓)もボロボロの状態でフラれたので本当にもうフラフラのひんし状態だった。
中学からの親友のTが大阪に住んでいるのでなにか辛いことがあるたびに彼の家に逃げている。ちなみに「2020年のベスト」では「彼女と喧嘩して大阪の友達の家に向かった」と書かれているがそれもTの家である。


車を借りて大阪から淡路島に行ったがテンションアガッてそのまま四国を一周した。

四国を友達Tと一周して関西に戻ってきて京都駅から東京に帰ろうとしたところこんな曲が流れた。

1位 Silk Sonic「Skate」

音楽を聴いて衝撃的すぎて「身体中に電流がビリビリ走る」経験は何度かしたことがあるが音楽を聴いて「風が吹いた」経験は初めてだった。
歌詞の意味は英語詩でさっぱりわからないがもうそれはそれは幸せで幸せで「体がスーーーっと」軽くなった。
わたしは人生で一番どん詰まり状態の時、菊地成孔氏に「これこれこういう悩みがあるのですがなにか気がまぎれるような曲はありますか?」とメールしたことがある。答えは

「あなたが気分を変えようと音楽にすがっても気分が変わることはない。
音楽の方からあなたにやってきて気分を変えることを待つしかない。
これは具体的な行動のことではなく心理的なセッティングのことである。
音楽はあなたのそばに常にいる。海から水を得るようにあなたが、あなたの気分を変える音楽をあっけないほど簡単に捉えられる日が来ることを祈っています。」

駅の中にあるデパートの小さいスピーカーから流れたその曲を聴いた瞬間「音楽の方から私に向かってきた」感覚になった。

「I never fall, but tonight you got me fallin' for you
今まで女に惚れたことはないけど、今夜は君に惚れたよ。

And only you, you
もう君しか見れない。

I'm reachin' out in hopes that you reach for me too
君が恋に落ちてくれるよう、願いながら近づいていく。

Girl, let’s groove
さあ、一緒に踊ろう。

Girl, you got me singin' "Ooh"
君は俺を最高な気分にさせてくれる。

My, oh my, my, oh my
ああ、君しかいない。

My, oh my, my, oh my
君しかいないんだ。」



透明少女よ、河童は死んだ。

わたしは元気ですああなたもお元気で。

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