#31 それで良いのか日本代表のスーツ

はじめに

 2023年3月現在開催されているWBCの日本代表チームの移動時などで着用するジャケット、パンツ、シャツの提供はユニクロが行っているという。また2021年に開催された東京オリンピックの公式服装はAOKIの製作であった。
 もちろんそれらの企業の製品が悪いだとか言うつもりはないが、一応日本代表として世界に広く見られる場での服装がそれで良いのか、と私は思ってしまうのだ。

WBCについて

 何もただそれらの企業を下に見て貶しているというわけではない。かく言う私もユニクロのエアリズムを愛用している者の1人だ。ただ、WBCであったりオリンピックであったり、世界からも注目されるような場でそのような製品を身にまとうとこが良いのかと思ってしまうのだ。WBCの選手らはユニクロの感動ジャケット・感動パンツのCMに出演しているようだが、もし彼らが移動時などの公式の服装としてそれらを身に着けているとなれば少し残念だろう。
 「感動」シリーズの生地は化繊100%で、ウール100%の生地に比べどうしても質が良いとは言えない。もちろんストレッチ性能であったりと悪いことだけではないものの、やはりスーツという服の性質上求められる風格や品位といったものはあまり期待するべきではないと言えるだろう。

オリンピックについて

開会式用
式典用(開会式は式典ではないのだろうか)

 東京五輪の公式服装のジャケットやパンツ、シャツといったアイテムはどれもジャパンメイドのこだわりが詰まった製品ということで、もの自体は悪くないが、残念ね点ももちろん存在する。
 たとえば足元だ。ジャケットにスニーカーを合わせるようなスタイリングも、あまり好ましいとは言えない。ある程度品位が求められるような場ではジャケットとトラウザーズに合わせる靴は基本的に革靴であるべきだ。
 この原因は日本全体として服装のカジュアル化が進んでいるということにあるだろう。カジュアル化それ自体が悪いと言うわけではないが、ここぞというときにきちんとした服装ができず、ネクタイも締めずスーツにスニーカーを履いてしまうような人はたくさんいるのではないかと思うのだ。
 さらに言えばそもそもAOKI自体が受注にあたって収賄を行っていたというわけで服そのものがどうのこうの以前の問題でもあるのだが。

ならば、どうすべきか

 スポンサーというシステムがつきまとう以上、スポーツ興行において金を出す側の意向が大きく反映されるのは仕方のないことだとは思うが、しかし日本でもしっかりとしたものを堅実に作っている企業は存在する。そのような企業が作った製品をアスリートが胸を張って着れる、そんな姿を世界に見せられるようになることが、日本の被服産業にも大きな励みになるはずだろう。

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