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子どもを取り巻く世界は女性の活躍で成り立っている

学校のトップ役職にあって、もっとも悩ましいことのひとつは、さまざまな決断をひとりで行わなくてはいけない場合があることだ。

我々校長、園長は、決断したことに対して、その後何が起きても責任を取らなくてはいけない。
例えばコロナの時も、確か夏祭りを決行したことがあったが、それをやって感染が広がったとなったら責任問題であるし、逆に何も起こらなければ「やる決断をしていただいてありがとうございます」と感謝されることになる。

命を運に預けるとかいう軽々しい気持ちではないけれど、あの時も、保護者それぞれに色々な考え方があって、どこの学校長もストレスの多い日々を送ったものだ。

一方、命に関わる決断とまではいかないが、運動会などの屋外行事を予定していて、前日、場合によって当日の朝まで天気の動向がはっきりとつかめなかったり、「ひょっとしたら降るかも知れないし、降らないかも知れない」という微妙な状況がたまにある。

運動会など、降らずにやり過ごせば「やって良かった、英断だ」となるし、決行しますと言っておいて、途中で降り始めて退避せざるを得ない状況となれば「なんで無理をしたんだ」となる。
何しろ、私の決断ひとつで、何百人もの人が動くのだ。
子どもの運動会となれば、はるばる遠方からやってくるおじいさん、おばあさんもいる場合もある。中止、延期を決めるのは実はとても重い。

では、教頭なり先生たちなりに「どうしたらいいと思う?」と聞いたところで、誰が答えることが出来るだろう。
このような場合、校長、園長ひとりで決断をし、その後どんな批判に晒されても耐えなくてはいけない
公立の校長であれば、場合によって「教育委員会が決めた」と言えるかも知れないが、我々はそういうわけにはいかないのです。

つまりは・・・時に「運」を持っていないといけないというわけだ。

さて、昨日は、うちの園の夏の恒例行事である夏祭りがあった。
去年は、まさに盆踊りを始めようかというタイミングで夕立がきて、慌てて退避を決断した苦い思いでがある。

盆踊りの様子

昨日もまさに同じような状況で、岐阜市周辺のエリアでは激しい夕立があったらしい。
さて、どうしたものかと、不安を口にした時、昨日は夏祭りの実行部隊であるうちの保護者会の会長が、「絶対に降らないですよ、私晴れ女なんで」と、いつかテレビドラマで流行った「私、失敗しないんで」の女優ばりに言い放つので、こちらも急に吹っ切れて、「じゃあもうそういうことで」と、その後は運を天に任せることにした。

夕立前にありがちな風が吹いていて、空気も涼やかだ。このまま降らずにすめば最高の夏祭りだと思いながら、内心ビクついていたが、結局最後まで雨が降ることはなく、終了後の片付けの時から降り始めるという最高のタイミング。

およそ科学がそれなりに進歩しているこの世の中にあって、「私は晴れ女」などと何の根拠もないことを堂々といううちの会長は肝が据わっている。

会長もすごいが、他の役員さんも誰ひとり天気を気にしている様子もない。自分は、びびって直前で校内SNSを使い、「雨に濡れてもいい準備もお願いします」などと弱気な、そして結果的に無意味な情報発信をしてしまい、はなはだ恥ずかしい。

実は、昨日のお祭りのような行事は、保護者ボランティアで組成された保護者会、いわゆるPTAがすべて実行部隊として回しているのがうちの慣例だ。
世間では、PTAをなくすべきだとか、負担が大きいとか、時代遅れだとか・・・色々な意見を目にするが、うちにいたってはそういう論調は一切聞こえてこない。

これはひとえに、役員を引き受けた保護者の中に「仕方なくやっている」とか「他の人のためにやってあげている」という考え方がないからだと思う。
全員が「子どもたちの楽しい思い出のために」その気持ちだけで取り組んでくれている。

私の職場は、9割以上が女性の職場。言い換えれば、女性の献身努力があって、私は支えられているし、その意味において言えば、世の中には男性よりもよほど能力が高い人材が女性にはたくさんいることをつくづく感じてきた。

話は少しそれるが、私が良く行く丸亀製麺も、それに似たお蕎麦屋さんも、働いているのはシニアの女性ばかりで、彼女達に若い男の子が叱りとばされながらいる光景をみることがある。
この人たちがいなければ美味しいおうどんを食べることも出来ないのだと感謝しつつ「ごちそうさまでした」を言うのは忘れずに店をでる。

確かに、男性の私からしたら、良くわからないなとか、めんどくさいな、と思うことはある。(女性のみなさんすみません。ほんの時折です!)

でも昨日の段取りを見ていても、すごいな、のひとことで、うちの保護者会の能力の高さや、人柄、子どもを思う気持ち、自分の子どもが通っている園、学校に対する思いは、まさに私からしたら大いに自慢したいポイントだ。

これも先日、年長のお母さんたちが園長先生と話がしたいといって集まるというので、また何をつめられるのかとオドオドしながら出て行ったが、話はひたすら
「せっかくこんなにいい幼稚園なのに、もっと宣伝しなきゃダメじゃないですか、園長先生がもっとテレビとかYoutubeでないとだめでしょう!」とか、「私たちに出来ることはありませんか」などで、
みなさんの目には私が弱気になっていると映るのか、ひたすら背中を押してくれるような話ばかりであった。

私は、自分の勝手な思いだけで、IBを始め、フリースクールの小学校を始めてしまい、今ではそこに100名以上の生徒が集まってしまって、その広げた風呂敷をたたむにたためないような状況になっている、ある意味、身勝手で無責任な教育者である。

しかし、こんな私でもここまでやってこれたのは、そして昨日も、たくさんの子ども達、ご家族の笑顔が見れたのは、この園、この学校を愛し、期待をしてくれる保護者と、毎日汗を流して働いてくれる職員の存在があるからに他ならない。

これは自信をもって言える。うちのPTAは最強だ
この人たちと一緒なら本当に夢を叶えられるかも知れないと思うし、もっと良い学校を作っていけそうな気がする。

そして日本の幼児教育は女性の活躍によって支えられ、成り立っていることも我々男性は感謝の気持ちをもって認識しなくてはならない。

男連中など、いざとなれば、女性に勝てないことばかりなのだ。

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