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Vol5.ペルソナに頼ってはいけない理由

なぜ書くか

様々な情報が飛び交う現代において重要になる中、日本に住む約1億人にはグローバルでの最新の取り組みやトレンドを学ぶ機会が多くありません。Every Inc.では「HRからパフォーマンスとワクワクを」というビジョンを掲げ、グローバルな取組みやアカデミックな文献から面接に関する歴史、取組み、事例など”日本なら”ではなく、”グローバルスタンダード”な情報を提供しています。


ペルソナは採用基準ではない

こんにちは、株式会社Everyです。このブログでは、アカデミックな視点で「面接」というものの構造や特性について解説をしていきます。

昨今の採用関連セミナーやメディアを見ていると、「採用活動を成功させるためにペルソナを設計しましょう」という言葉が多くみられます。これはマーケティングの領域で使われる概念ですが、採用担当の言葉に置き換えると、「誰を採用するのか、具体的にイメージしましょう」ということになります。

しかし、クライアントの声を聞く限りこのペルソナの定義・用途には、正確な理解がなされていません。ペルソナは採用基準ではないからです。改めて整理していきます。

ペルソナは「応募者を動機づけるため」の情報

『イノベーションのジレンマ』の著者で「ジョブ理論」を唱えたクレイトン・クリステンセン教授曰く、”ペルソナの設定は単なるターゲティング用のセグメントなのではなく、そのような顧客が商品を「雇う(買う)」理由を明確にするための手掛かりになる。”と述べています。

即ち、上記の定義から考えれば、採用基準にはなり得ません。あくまでもこの「ペルソナ」は応募者を動機づけるための参考情報でしかないのです。優秀である前提の応募者に対して、自社に入社してもらうためのマーケティング理論であり、採用の視点で必要な”自社で活躍する人材を選抜する”という視点はありません。

一般的なマーケティング活動には、効果を最大化させるためにターゲティングを行います。どの属性にどのようにアプローチをすれば最も効果的なプロモーション活動になるのか、この価値の最大化を図るためにペルソナが必要なのです。

しかし採用では企業(売り手)が入社者(買い手)を選びます。即ち、選考選抜(Slection)しますよね。これがペルソナでは不十分である最大の理由です。

Recruitment(募集)とSelection(選抜)を間違えない

採用とマーケティングの構造的な違いは、「Selection(選考)するか否か」です。アカデミックな整理でRecrutiment(募集)とSelection(選考)は機能として明確に分かれており、この違いをきちんと理解しないままにペルソナ設計をしてはいけません。良いSelection(選考)をするために必要なのものはペルソナ設計ではなく、Job Analysis(仕事の分析)です。

良い採用には「ペルソナと評価基準」が必要

☓: ペルソナを作れば採用がうまくいく
○: ペルソナを作って、応募者をもっと惹きつけよう
◎: ペルソナを作って、応募者をもっと惹きつけつつ、Job Analysisを通して正しい評価基準を作ろう

入社後の活躍をゴールにする採用をしたい場合は、「ペルソナ」を作る前に「Job Analysis」を取り入れてみてください。次回はその手法についてご紹介していきます。

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著者:松澤 勝充

神奈川県出身1986年生まれ。青山学院大学卒業後、2009年 (株)トライアンフへ入社。2016年より、最年少執行役員として組織ソリューション本部、広報マーケティンググループ、自社採用責任者を兼務。2018年8月より休職し、Haas School of Business, UC Berkeleyがプログラム提供するBerkeley Hass Global Access ProgramにJoinし2019年5月修了。同年、MIT Online Executive Course “AI: Implications for Business Strategies”修了し、シリコンバレーのIT企業でAIプロジェクトへ従事

2019年12月(株)トライアンフへ帰任し執行役員を務め、2020年4月1日に株式会社Everyを創業。企業の人事戦略・制度コンサルティングを行う傍ら、UC Berkeleyの上級教授と共同開発した3カ月プログラムで、「日本の人事が世界に目を向けるきっかけづくり」としてグローバルスタンダードな人事を学ぶEvery HR Academy (HRBP養成講座)を展開している。


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