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青春の胸の痛み

きっと、
この恋は長続きしないのだろう。

好きな人には彼女がいて、
それでもどうしても会いたくて、
映画に誘った。

彼は意外にもいいよって言って
きてくれた。

アウトドアじゃない彼が
こんなにあっさりくると言ったことに
驚きが隠せなかった。

久しぶりに会う彼の姿、
嬉しくて、笑顔が溢れちゃう。

映画が始まるまでに
時間があったから、
ミスドでポンデリングを買って、
2人でベンチで食べた。

たわいもない会話をして、
2人の間で笑いが溢れた。

ファミリーマートのバイトの面接を昨日受けたらしい。でも、やる気なさすぎて受からなかったってさ、笑

大学の入学のスーツはおじいちゃんのを借りて、他の人とは違うおしゃれな色で行くんだって。

どうでもいい話が楽しくて、
あっという間に時間が経っていく。

好きな人と見る映画、
ナイトショーで人は少なかった。
映画は正直あまり面白くなかった。
でも、それ以上に彼が横にいること、
すぐ近くにいることが嬉しくて、
心がずっとドキドキした。
心臓の音が速くなってることが
バレたくなくて、
でもやっぱり彼のことを見たくて、
見たらバレちゃうなーって思って。
心の中は彼のことで頭がいっぱいだった。
映画が面白くなかった理由はきっと、
彼に夢中で全然集中できなかったからかな。笑

映画が終わったのは終電時間の少し前、
2人で駅に歩いた。
私の足は靴擦れで、
ゆっくり歩いてってお願いしたら、
私のペースに合わせてくれた。

夏は一緒に手を歩いて歩いていたのになぁ。

そんなことを考えても仕方ないと思いながら
気づけば駅に着いてしまった。

もうお別れなんてなんだか
物足りなくて、

お互い逆方向の電車に乗らなきゃいけないのに、
気づけば彼と同じ電車に乗っていた。

人生最大のやらかしだって思って、
彼の横で落ち込んだ。

彼は、どんまい、
なんていうそっけない言葉を
かけて、私が一緒にいたいって
気持ちには蓋をした。

私も何やってるんだろうっていう
恥ずかしい気持ちになって、
混乱と、少しのワクワクと
ときめきがやっぱりまだ残ってた。

駅に着くと、
2人でコンビニに入った。

カップラーメンとお酒を買って。
駐車場で2人で話しながら飲んだ。

全然、おしゃれな晩餐とは言えないけど、
それでも私にとってはキラキラ輝く
素敵な時間だった。

彼は喫煙をするようになったから、
私の少し遠く離れたところでタバコを吸っていた。

お互い酔いが少しまわって、
なんだか懐かしいこの気持ち。

お酒を飲む時は好きな人がいる時だけ。

そう決めてる私にとっては
一番幸せな時間だったかもね。

そのあと、彼が自転車をとりに行って、
なぜか彼の友達と合流することになった。

私が酔いすぎちゃったから
2ケツで、夜中の商店街を。

なんて幸せなんだろう、
春なのにまだ全然寒くて、
後ろで凍えながら、それでも心は
ぽかぽかだった。

彼の友達と合流して、
居酒屋さんに入った。

男女3対3、なんだか、合コンみたいだなって。
人生初めての合コン的なやつ。
みんなで飲みゲーをして、
山手線ゲーム、たくさん笑った。
何を話してるのかわからないけど、
とにかく面白くて、
ほろ酔いで、お店を出た。

みんな、男女ペアになって歩いた。
肩を組んで、手を繋いで、
幸せだなぁって思った。

好きな人とはガードが固すぎて、
私のこと嫌いなんじゃないかと
何度も思わされた夏だったけど、
それでもいつも会いにきてくれたから、
きっと私のことをちょっとは好きなんじゃないかな。
そう言い聞かせることにしてた。

だからこの春も、
ガードの固い彼だけど、
酔った時くらいいいじゃん。
肩を組んでってお願いした。

何も言わずに肩に手を置いてくれて、
カラオケまでみんなで歩いた。

青春だなって思った。

カラオケに着くと、
みんなで失恋ソングを歌って、
大声で盛り上がった。

隣にいてくれた好きな人。
私がデレデレしたら嫌がるけど、
とってもとっても嫌がるけど、
ツンデレだから仕方ない。
そういうことにした。笑

彼女なんていなきゃいいのに。

私が出会った夏はいなかったのに。

そんなことを願っても何も変わらないから、
私は切ない気持ちを心にしまう。

私の帰国は明日の夜の便。

私が帰国するたびに
変わるのは彼の髪型と
少しづつ変わっていく季節。

彼のことが好きでも
大好きでも遠距離だから
無理なんだってさ。

変わらないのは彼と付き合えない事実だけ。

次に帰国するのは夏。
彼を好きになってからちょうど一年。

こんなにも切ない、心の痛い恋だけど、
それでも彼からは青春をもらった。

お金がなくても、
時間と若さと、
少しのお酒と、
好きな人。

それだけでいい。

胸が痛い。そのくらい、彼のことがすき。




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