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旅行記 Vol.2 「つながり」

朝5時過ぎ。
いつものように外を見ながらぼーっとする。雨が降っている。雨の日が好きだ。
しかし、今日は8時半の電車に乗って、新幹線で実家に帰る日だ。キャリーケースを持って平日の電車に乗るには、荷物は軽い方がいい。旅をする時、長期間でない限り、荷造りは基本当日の朝に行う。7時までに洗濯物や食事を済ませ、すぐに荷造りを終わらせた。私はパッキングが得意ですぐに終わるほうである。

徒歩10分と少しで着く駅に向かうために、8時に家を出た。
すでに雨は止んでいて、難なくすぐに駅に着いた。
おかげで一本早い電車に乗ることが出来て、
余裕を持って行動をした自分に1ポイントあげたくなる。ラッキー。

約1時間新幹線では、noteの最後の「大学4年間を最高に楽しむ10のコト」を考え、執筆をしていた。
10個目には、早起きについて書いたが、
最後の最後で納得いったような、納得いかなかったような、
そんな記事になってしまった。
私の全てが正しいわけではないから、なんだか断定口調で書いてしまうと、時々そうでない誰かを批判しているようで申し訳なくなる。けれど、私が最高に楽しむためのノウハウだから、取り敢えずは自分の軸は揺るがさずにいようと思う。

仙台駅に到着し、車で実家に向かう。今年に入って初めての帰省だ。
しかし、到着すると、一息つく間もなくまた車に乗り、気仙沼市に向かった。

13時からの大学のオンライン講義を受講するために、途中で高速道路を降り、
1時間半ほどカフェにこもった。
この日の授業は、面白かった反面、教授がマイクをミュートにし忘れて雑談をしている学生に対して怒っていて、私は雑談で教授の声が聞こえないこと、教授が言葉を選ばずに怒鳴っていること、その両方に疲れてしまった。
オンライン授業はやはり、対面授業に気が引き締まらなくなってしまうが、
モラルはきちんと守っておきたい。

気仙沼に到着し、ホテルでチェックインを済ませると内湾を散歩した。
近年では、様々な理由で気仙沼に移住してくる県外の人が多いらしく、
新しく出来た飲食店も多かった。

多くの飲食店が立ち並ぶ、海鮮居酒屋で私たちは食事を共にした。
頼もうとしていた商品のうち、一品が品切れであることを伝えられて、
それ以外の商品だけひとまず頼むと、
「他のお店で買ってきて、お皿そのまま持ってきていいから、良かったら見てみてください」とその店の方は仰った。

一つ一つのお店は、全く食のジャンルが違うし、
飲み屋が集まる「〇〇横丁」というような、
全テナントが同じ管轄であるわけでもない。
それでも、そのように他店で購入したものを許可しながら営業を続けているのは
温かい「つながり」が、その地域や人々の間に存在しているからだ。

そのお店の方は、車を運転するために飲酒をせずにお冷を頼む兄に対して、
無償で炭酸飲料を提供してくれた。
「炭酸は大丈夫だった?」と聞くと、飲み干す前に別の果汁飲料を出してくださった。
私たちがお店を出るときには、私が好きなキャラクターのボールペンやティッシュなどいただき、心の底から感謝の気持ちで溢れた。ただただ嬉しかった。
「この飲食店を支援したい、応援したい」と素直に思った。

東京でカフェが多く立ち並ぶ道を歩いていると、
どこか全てのお店が、冷たく、独立した状態であることを感じることがある。
建物は狭く詰められていて、他店との距離は嫌というほど近いはずなのに、
近いようで遠い。ご近所付き合いが希薄というような。

そこの違いは何なのだろう。
一つ思いつくのは飲食店で、同じ商売をしていても、
「これはビジネス、自分の店が売れたらそれでいい」と思うか、
「小さな街でこのビジネスを行う意味があって、
みんなで協力して、みんなで盛り上げられたらそれでいい」
と思うかの違いではないかと思った。

これは昨年の夏に長野県白馬村に旅行した時にも感じたことだ。

新しく出来たばかりの古本屋さんに足を運んだときに、
店員さんにおすすめのカフェを聞き、そこに向かう。
SNSやウェブの記事に頼らずに
地元住民のお話を元に次の行先を決める、ということが出来た。

それも同じように、その場所でお店を営む意味があり、
人との「つながり」が深くそこにはあるからであろう。

東京の飲食店を批判しているのではない。
個人競争主義な街では、それが正であり、
きっと、善意だけでは営みが成り立たないこともあるだろう。
もちろん、私の東京にも、おすすめのカフェや場所を教えてくれる、
「つながり」があるところも存在する。

私は、人情がある場所・お店がやはり大好きだと思った。
他人だけれども助け合えることが出来て、
自分の利益だけじゃなくて、誰かのことも考えることが出来る愛情。

利己と利他が共存することは、偽善のようだけど、
それが本当に出来る人はやはり、格好いい。

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