【短歌一首】 身の危険迫れる雨と海風の浜辺ゆくとき命みなぎる
6月28日(金)日本列島至るところで警戒レベル、警報レベルの大雨。
この日は鎌倉材木座海岸近くで用事があり外出。午前中に鎌倉駅に到着したらすでに鎌倉駅は土砂降りの中。そこからバスに乗って材木座海岸方面へやってきた。
用事の前に大好きな材木座海岸へ出てみようと大雨の中さっそく歩を進める。
さすがに海沿いは風の強さが半端ではない。材木座海岸まで来たら突風であっという間に傘がおちょこになってひっくり返ってしまった。 折り畳み傘だったので傘の骨は強風に抗うことが難しい。これはよくよく用心しないと、身体の安全が確保できなくなるかもしれない。材木座海岸が大好きでも、やはり安全第一。
海沿いの国道134号線から材木座海岸に出るには、脇道から階段を降りて狭い地下道を抜けてゆく。折からの大雨で、この階に段は滝のように雨水が流れ、地下道は川のようになっている。
地下道の水かさがどんどん増し、川となって海に向かっている。この後昼過ぎに用事で会った材木座海岸近辺に住んでいる方にこの地下道の話をしたら、以前、完全に水没したこともあると言っていた。
前回材木座海岸を訪れたのは5月の中旬。あのときはコバルトブルーの海と地下道を抜ける海風がひたすら心地良かった。こんな歌を詠んでいた。
地下道が川のようになっており、水が流れていないところも相当ぬかるんでいる。ある程度このような状態は想定内なので、完全防水のアウトドア用本格ミリタリーブーツを履いてきた。ぬかるみや水溜りもなんのそので、ズンズン地下道を進んでいく。(ただし、絶対に大自然を侮らないと誓いながら。)
地下道の出口までくると、上を通っている国道134号から流れてくる水がカーテン状態になって滴っている。これを傘でかわしながら砂浜に出る。
砂浜を流れる雨の川は海に向かって進みながら、その幅を増していく。この光景は、まるで大自然のドキュメンタリー番組でよく出てくる、空から見た南アメリカのアマゾン川のようだ。
誰もいない海岸を、傘がひっくり返らないように手で抑えながら、一歩一歩踏みしめるようにゆっくりと歩いていく。写真を撮るときも気を緩めるとスマホを落としたり、傘を吹っ飛ばされたりするから、慎重に慎重に。
風も雨も容赦なく吹きつけてくる。これは本当に気をつけないと身体に危険が及ぶかもしれないとあたらめて肝に銘じながら、浜辺を行ったり来たりを繰り返す。たまに波打ち際まで近づいてみたりもした。
それにしても不思議なものだ。この日は朝から体が冷えて疲労感もあり、鎌倉へ向かう総武横須賀線では爆睡してしまっていた。心身のバイオリズムがあまり良くないなと感じていた。
しかし、今、こうやって材木座海岸で暴風雨を受けながら、身の危険の可能性も心配しながら歩き回っていると、気持ちがだんだん晴れ晴れし、体は温まってきて、心身に生命力が漲ってくる。これが人間の生命力やタフネスを引き出す大自然の力というものなのだろうか。あれやこれや余計なことを考える余裕など全くなく、ひたすら今その瞬間の目の前の行動と体の感覚に意識が集中している。
材木座海岸を後にしてミーティングに向かう時には、朝よりもずっと元気になっている自分を感じた。
猫間英介
鎌倉・江ノ島に関連する短歌が増えてきたので、まとめてマガジン化(無料)しました。
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