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『天河伝説殺人事件』(1991)

先日、テレビ東京の午後のロードショーで、『天河伝説殺人事件』(市川崑・監督)を観た。

内田康夫・原作の浅見光彦モノである。

どうやら、高木彬光の推理小説『能面殺人事件』(1949)へのオマージュらしき要素が散見された。

能がテーマであり、薪能だとか蛇(じゃ)の面だとかが出てくるあたりが共通している。

また、どちらも名家の複雑な人間模様が描かれる。


画面の陰影が多いというか、室内のシーンはだいたい薄暗かった。

また、役者が皆やや棒読み気味の演出になっており非日常的な雰囲気である。

ヌーヴェル・ヴァーグと比較される市川だが、本作はフィルム・ノワール風かもしれない。

ちなみに、同監督による金田一耕助シリーズの石坂浩二も出演している。

浅見光彦役の榎木孝明といい、『鍵』(1959)の仲代達矢といい、市川崑は眼が大きい男優を好んだのだろうか。

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