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伝えたいほどキョドる心はおんなじ言語じゃないみたい『華麗なるギャツビー』

やあ、僕だよ。
先に言っておくとね、うちの子は完全無欠の逆子ボーイだよ。

高確帝王切開チャンス突入時は赤文字演出くらいだったんだけれど、検診の度にぐんぐん期待度が上がって、今日は「赤ちゃんはワガママな生き物ですから、自分の気に入った体位は譲らないものなんですよ」という主治医カットインが挿入された。
おかげで金枠レインボー。期待度は99%超え。
(スロカスでない君たちはスルーするといい。)

というわけで僕の入院日は前日の3月10日、手術日は11日に決まった。
なんというか、誕生日もなかなかの日付な逆子ボーイ。
でもアンサイクロペディアさんが「3月11日とは祝日でもなんでもなくゾロ目やゴロがいいというわけもない至って平凡な366日のうちの一つである」って言ってるから気にしないでおこう。(秀逸な参考記事はこちら。)

最後の最後、いよいよ大詰めという時に僕の体はみたびのつわりに襲われている。
最近、僕の摂取したエンタメが映画に寄っているのは短くて一番楽だから。

今回の一本も、元々原作を読みたかったのに読む気力がなくて断念したからに他ならない。

さあ、始めようか。
君が楽しんでくれると嬉しいよ。

本作あらすじと感想

フラニーとズーイ』以来、村上春樹訳も悪くないなと思っている僕である。
そして村上春樹氏といえば『グレート・ギャツビー』(どこかの短編かエッセイで言及していたのをいつまでも覚えていたらしい)。

それで『グレート・ギャツビー』を取り寄せたんだけれど、まったく読む気になれない。
ページの上を目が滑るというか、活字が全然頭に入らないから理解ができないし、その行が理解できないと次の行も理解できない。

「こりゃいかん」と放置したらしたで、チラチラ目に入る。
基本的にページを開いたら最後、読みきってしまう読書スタイル(続きが気になる気持ちがストレスになるタイプ)なので、どうしたものかと思っていたらこの映画を見つけた。

なんといってもレオ様である。
レオ様にこういうこじらせメンヘラ(諸説あり)を演じさせたらピカイチ。
いくつになってもどこか少年らしさが失われないのは、美しいお顔がそうさせるのか、はたまた彼自身の内面によるものか(あるいは自己プロデュースの方向性か)分からないが、「ギャツビー」はハマり役だった。

とはいえ、舞台装置としての「ニック」が非常に優秀で、レオ様や周囲の俳優を生かしまくり過ぎて逆に際立っていた。
華があるようでない、不思議な立ち居振る舞いに「この有能俳優誰やねん」と検索したらトビーマグワイアだった。

スパイダーマンは1と2しか観ていないので、現在40代と知って愕然とした。そりゃ僕も年取るわけだね。

さらに衝撃の事実はトビーマグワイアが子役の頃、レオ様が演じる役の子ども時代を演じた経験があるということ。
しかもそれをきっかけに、わりと交流があったらしいことである。

中の人と役柄は分けて考える方がスマートだと思っているが、こういうエピソードは大好物です。
マジこのキャスティング考えた人神か、神なのか。

物語としては、元々物書きを目指していた「ニック」が、毎夜豪華絢爛なパーティを開く「ギャツビー」の隣に越してきたことからすべては始まる。
ミステリアスだが紳士的で親切な「ギャツビー」に徐々に心を開いていく「ニック」。
しかし「ギャツビー」には「ニック」を特別扱いするとある、、、理由があった。

みたいな流れである。
これ以上はネタバレになる(古典とも言える名作が原作の映画にネタバレも何もないが)ので言及しないけれど、「ギャツビー」の唯一求めたものは案外そこらに転がってるありふれたもので、それを得るために彼はすべてを捧げていたということ。
そして、「ニック」だけが親友だったということだ。

「ニック」が語り部であるおかげで、一見理解不能に思える「ギャツビー」の振る舞いも上手いこと処理できるので観ててストレスがない。

あととても素晴らしかったのは、序盤の「ギャツビー」主催のパーティ!
キラキラのごちゃごちゃ、派手で華やかで上へ下への乱痴気騒ぎな画面があるからこそ、パーティ終わりの「プール」の暗さが深まる。

エンタメはメリハリ。これに関しては大げさなくらいでちょうどよい。
真面目で分かりやすいエンタメ映画。手放しで名作とは言えないが、映画館で観ても十分満足できるだろう良い映画だった。

本読めないゲーム出来ないアニメ観れない

メガネ屋の看板が描かれた特徴的な表紙。やけに目力が強いそれは、すごーく興味をそそられるのに、全然まったく手に取る気になれない。
その横にはコテンラジオのルター回と第一次世界大戦回の影響で借りた本が並んでいる。
予約した時は入院する前に読み切ろうとしていたのに、表紙を開いてからこっち、1ページも進まず。

文章が記号のように見え、上手く処理できない。
以前、ハサミを手首に当てた時もこんな感じだったので「ここにきてマタニティブルーか」と思ったが、今のところ希死念慮が強まる様子もなし。
最近摂取したエンタメを「忘れがち」とnoteのヘッダーに書いてるけれど、それがもっと進んだ感じだ。
本、特に小説と歴史ジャンルがきつい。本来であれば最も好きなものなのに。

それに、僕が気に入ってるゲーム『原神』の限定イベントも、始まってからもう一週間経つのにほとんど進んでいない。
妊娠中期あたりからパソコンの前にいるのが辛くなってきて、今では毎日の日課をようようこなし、雷電将軍(すごくつよいキャラ)のために漁獲(ただでつくれるつよい武器)作成のための釣りを調子の良い時にやるのみ。
イベントをこなさねば雷電将軍ガチャに備えられないというのにこの体たらくである。

ずっと『ワールドトリガー』を観たいと思っている。
でもNetflixでずらりと並ぶ1クール分のサムネイルを見てるだけで文字通り吐き気がしてしまう。
一度再生してみたが、案の定一切頭に入ってこないので兎田ぺこら嬢の配信のアーカイブに切り替えた。

正直、配信中に何を言っているか一瞬、理解できないことが何度かあった。
でも全然平気だった。彼女が動いているだけで、ゲームをしているだけで、声を出すだけで僕にとってはエンタメになるみたい。

ぺこら嬢はいつだって僕を癒してくれる。
アニメすら満足に観られない惨めな僕を、少々傍若無人なプレイングで慰めてくれるのだ。

ぺこら嬢の配信とインコの尻

どちらも文脈を理解せずとも、見ているだけで良い気持ちが起こる。
そう、僕は満足にエンタメ摂取ができなくなった分、放鳥中のセキセイインコメスの尻を見て時間を浪費した。

この女の尻は素晴らしい。
イエローとエメラルドグリーンと青みが強いオーロラ交じりの羽に縁どられ、中はやわい白の羽毛がしき詰められている。
さながらロングチュチュの瀟洒なフリルのごとき、美しい白である。

この白いふわふわを見ているとあっという間に一時間経っている。仕事が落ち着いている間に勉強したい気持ちはどこかに消えてしまう。
いや、元々あったのかどうかも怪しい。そんなことはどうだっていいか。尻がこんなに白いのだから。こんなにもふわふわなのだから。

新人が増えることについて彼女はどう思うだろう

彼女らのおかげで映画を観られる程度に回復した僕は、高級リッチなレオナルドディカプリオを堪能しつつ、肩に乗る彼女に「新人が増えるんですよ」と声をかけた。

彼女は「ピィ」とかすかに鳴く。
この「ピィ」は構ってもよい時の「ピィ」で、これがないことには僕は彼女に話しかけることを許されない(「ピィ」なしでしつこく話しかけ続けると不満げな声でけたたましく鳴く)。

「多分、しばらく会えないと思うんですけれど、一ヶ月かもう少し先に会うと思うんですよ。で、うるさい生き物なんですが、許してもらえそうですかね?」

返答はないが、(人間にとっては)不気味なくらい頭を傾けているのでどうやら聞いてくれてるようだ。

「どうでしょう、いや、まあ、許してもらえなくても来ちゃうんですけれど」

鳴き声ともつかぬ低めの音。ひとり言に近い返答だ。
正しくはどういう意味なのか分かりかねるが、少なくとも不満ではないらしい。
僕は指先を彼女の口元に近づけた。噛まれた。とても痛い。彼女は「アーアー」と濁った鳴き声で指をさらに攻撃した。

画面上ではレオナルドディカプリオが顔を真っ赤にして、不敬な男の胸倉を掴んでいる。
彼も痛々しいほどものすごい不満と怒りに満ちている。周囲の生き物、、、には到底理解できない言語で思考するあれやこれやを持て余していて、観ているこっちもしんどい。

彼女の「アーアー」が最高潮に達した時、例のけたたましい鳴き声に変わる。今回は変わらぬ間に小松菜を食べにカゴへ帰ってしまった。

あと少しで出会う彼(あるいは彼女)にも聞いてみたい、「僕らのところに生まれちゃいましたけど、よかったんですかね?」と。
耳を傾けてくれても肝心の答える方法がごく少ない彼は、それ自体に不満がたまって、やっぱり顔を真っ赤にして「アーアー」とでも言うのだろうか。



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