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帝王切開とユーモアのあるデマ『外科医のママ道! 腐女医の医者道!エピソードゼロ』

やあ、僕だよ。
妊娠初期の僕は「帝王切開?保険効くし、痛くないらしいじゃんラッキー」と勘違いしていた。
その後、育児本をいくつか読んで、どうやら「帝王切開をするっていうのは落ち込む手段のようだ」というのは理解出来たが、具体的な想像までは出来なかったように思う。

帝王切開、めちゃくちゃ大変じゃん!

大体、帝王切開についての情報が少なすぎるし、出産で大変じゃない選択肢などほぼないことを改めて噛み締めた(幸運にもその選択肢が合っていたか、あるいは痛みや恐怖に強すぎるかどちらかだ)。

そして、帝王切開や出産についてバランスよく切り取ったエッセイコミックを見つけたから、今回はこれを読んでみたよ。

ところで、君たちは結構ネガティブめの投稿にも優しい反応をしてくれるよね。
返信できないやつもあったけれど、温かいコメントも頂戴した。この場を借りて御礼申し上げます。

さあ、今日も元気に始めるよ。
楽しんでくれると嬉しいな。

本作あらすじと感想

腐女医と書かれているが、本作に「腐」要素はまったく感じられない(おそらく同作者の別のコミックエッセイに記載があるのだと思う)。
帝王切開というキーワードで検索して上位にヒットしたものから、レビューを吟味して決めたため、大当たりな本だった。

正直絵柄は好き嫌いが別れるかもしれないが、テンポの良さと途中に差し挟まれるお医者さんならではのTipsが快く、読み終わる頃には「出産育児超怖いけどやれそうな気がする!」とかなり元気になれた。
もちろん、君たちのスキやコメントによるバフ効果もあったよ。僕ってほんと単純!

実はこの本より以前から、雑誌なり、書籍なりで女医さん出産や職場復帰エピソードをいくつか読んでて、どれも「キラキラセレブ体験」や「育休なしでバリバリ仕事」みたいな、常人とは違うエピソードばかりで参考にはならんと思ってたんだよね。
でも、この本はあくまで「外科医」である特殊性自体ではなく、職業で得た知識をネタにしてるので面白いのに勉強になる。お医者さんってすごい。

とはいえ、お医者さんになる人は男女関係なくみんな精神的にも肉体的にもタフ。
もちろんこの作者もタフだし、作者の家族もみんなタフでちょっとズレてて面白い(両親も夫も弟もお医者さんなのだ!)。

娘さんが「波の音を聴いて描」いた絵が周波数だった時は、子どもの環境がいかに大事かをしみじみと思ったし、ふふって声に出して笑ってしまった。

また、印象的なのは「逆子治療の謎」で、「どうして出産となると医者でも非科学的な意見ばかりなんだ…?!」と作者がツッコミを入れるシーン。産婦人科の医者(作者の弟)すら「お腹の子どもを説得する!これが一番効くよ!!」とのこと。
これめちゃくちゃ面白くない?こと、「出産」に関してはエリートの人たちが雁首揃えても為す術ない感じすらする。

こんなもの、凡人で初産の僕は怖がって然るべきなのだ。

本作は明るく賢い、普通よりちょっと面白いママのコミックエッセイである。
とにかく元気になれるので、妊婦が読んで損はない。ほんといい本に出会えてよかった。

帝王切開の情報が少ない

僕はデジタルネイティブだ。
ダイヤルアップからIPV6(あるいは5G)まで駆け抜けた「ネットないと死んじゃう病」患者なのである。
さらにはサポートデスクっぽいことをしていた経験もあり、検索技術はちょっとしたものだと思う。

にもかかわらず、正しい(と思われる)情報に辿り着くのに時間がかかった。
そりゃ、僕に医学や育児の知識がないのは致命的だが、それにしたって余計で誤った情報が多すぎる。

確かに、私自身ネットで検索しても、帝王切開の情報はあまり見つけられませんでした。それどころか帝王切開は痛くないから本当のお産じゃないとか、子に愛情が持てないだとか、誤解や偽情報で不安にさせる話ばかり目についた気がします。医者の端くれの私ですら不安になるのに、一般の方が読んだらどんな気持ちになるか……。

これを読んだ時、「そうなの、そういうことなの!」と思わず膝を叩きそうになった。
帝王切開体験談はネガティブすぎるし、いやポジティブな話では決してないのはそうなのだけれど、あまりにすぎるっていう話がしたいのだ。

おめでとうと言われる意味

よくある幸福なら「よかったですね」で終わるところ、何故、無事出産すると「おめでとう」と言われるのか。
それはめったにない幸運、幸せだからだ。

作者曰く、日本は「周産期医療」が世界トップクラスらしい。それでなくとも、「帝王切開」という選択肢がないかとても危険な時代だってあったのだ。
現代の日本で妊娠でき、臨月を迎えられること。これだけでもあっぱれと言える。最高のラッキーマザーとラッキーボーイなのだ。

一番面白かった帝王切開デマ

古代中国では、皇帝の妻が子を宿すと国一番の占い師が「帝に相応しい」誕生日を決める。
それに合わせて陣痛が来なければ、その日に腹を開き、取り出した。この逸話が元になって、開腹による出産を「帝王切開」と呼ぶ。

完全なるデマである。

本来は、ドイツ語の「Kaiserschnitt」を直訳したもの。「Kaiserschnitt」という語は、Kaiser(帝王、帝王)とSchnitt(切ること、切開)の合成語とのこと。(帝王切開wikiより)
本来の語源もちょっと面白いが、デマの語源の「古代中国」っていうのがやりかねない感じが出てて、まあまあ良いデマである。 

誰も傷つけないし、誰も損しない、ユーモア溢れるデマなら僕だって大歓迎なのにね。

アンサイクロペディアと虚構新聞

僕が思うユーモアのあるデマに多大な影響を与えたのはこの二つだ。ジョークサイトとしては圧倒的な記事量と、いつまでも見てられる質の高さとサイトの作り。
SCP財団の報告書をいつまでも読み続けられるのも、この二つのおかげでユーモアのあるデマを知ったからに他ならない。

Uncyclopedia:秀逸な記事

※本当に暇な時に開かないと時間泥棒にやられちゃうから気をつけろ!

こういう作品群が他にもないかずっと探してるんだけれど、なかなか見つからない。
少し前に、虚構新聞を鵜呑みにしたユーザー達に運営者が謝罪したニュースもあったし、今の時代には合わないのかなぁ。

現実と空想が混じり合う空気感がたまらないっていう意味でいえば、VRやARとも相性いいと思うんだよね。

そういえば、みやまんちゃんねるはユーモアのあるデマの亜種みたいな、良いコンテンツだった。思ったよりバズらなかったが、ユーザーの集合知で考察がリアルタイムで深まるのがワクワクした。

…と、一通りこうやって考えてたら、ユーモアのあるデマに騙されたい欲がとめどなく湧き出てきちゃって、まいったねこりゃ。



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