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モネが好きすぎる件について『三菱一号館美術館 印象派・光の系譜』

やあ、 僕だよ。飽き性ちゃんだよ。
二年ぶりに妹に会うから、通り道の丸の内に立ち寄って行ってきたんだ。

ところで、この特別展がとても気になっている。
イスラエル博物館ってどこなんだろう。まあいずれにしても、死ぬまでに行くことのない博物館なんだろうな、と思う。

母が車で送るって言い張るから予定調整にすったもんだしたのだけれど、無事に三菱一号館美術館に行ってきたよ。

なかなか展示会に行けない君に、今日は僕からおうち美術館をプレゼントしてあげるね。

イベント概要と感想

『三菱一号館美術館 イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜』
東京都丸の内にて2021年10月15日(金)〜2022年1月16日(日)の会期で行われる展示会である。
日本とイスラエルの外交関係樹立70周年を記念したイベントらしく、本博物館所蔵の50万点にのぼる文化財の中でも人気のある印象派を持ってきたようだ。

印象派というとモネが外せないのは確かだが、戸外制作の先駆けである作家群やゴーギャン以外のナビ派も丁寧に点数を連ね、圧巻たる見ごたえとなっている。

本展示会の作品リストは以下の通りである。

(下手な写真で非常に恥ずかしいが、ご参考あれ。)

四つのテーマに沿って展示を鑑賞するのだが、こじんまりとした区画が続いたあとの広い展示スペースにわりとテンションがあがる。

しかもモネの連作「睡蓮」の中でも特に評価の高い、一九〇七年の「睡蓮の池」が展示されている周辺は写真撮影が出来るのだ!
ついに僕のスマホにも美しい睡蓮をお迎えしてしまった。うふふふ。

それ以外だと個人的にはレッサーユリィの作品がとてもよかった。
前情報として素晴らしいと聞いていたが、まんまと心を動かされてしまった。僕もミーハーだな

はじめての「睡蓮」の感想は「特になし」

僕が初めて本物の「睡蓮」を見たのは国立西洋美術館所蔵の「睡蓮」(一九一六)だったように思う。

当時高校生だった僕は課外授業で西洋美術館を訪れ、ロダンの彫刻に感動するものの、絵画にはあまり興味がなかった。
印象派といえば「ぼやぼやした風景画」くらいのイメージだったし、「睡蓮」を真剣に見る友だちもいない。

自然、僕はその「睡蓮」を見た時も「ふーん、こんなものか」としか思わなかった。

その何年後かに大規模なモネ展があったのだ。
それまでの僕は開催されている展示会の内容如何でなく、「なんとなく美術館行きたいなぁ」と動機の定まらぬまま当日券を買うことが多かったが、そのモネ展はわざわざ前売り券を買った。
しばらく会っていなかった古い友だちから誘われたから、ただそれだけの理由である。

「印象、日の出」を見て、僕はモネを愛するようになった

ルネ・ラリックのおかげで美術館が身近になった僕は、上野や渋谷に来る用事のついでにそれに寄りつくようになった。
(中略)
モネの日の出を間近で見て以来、印象派がさして理由もなく好きだ。海外の博物館だって単に旅行気分を味わいたいだけである。

僕が美術館に立ち寄るきっかけはルネ・ラリックがくれたが、しばらく自分の好きな美術とは何か正直よくわからなかった。

誤解を招かぬよう断わっておくが、よくわからないまま美術は楽しめるものである。
何となく良い、それでいい。
でもランダムウォーク的美術館巡りをしていたら出会ってしまったのだ、その「印象、日の出」に。

初めて見た時、長い列に並ばされたにもかかわらず、数秒しか近くで見られなかった。
それでも、平面なのに何故か立体らしい態度が僕の心を射抜いた
何度も並び直して近くで観た。

その展示会を全て終えたあと、展示室から出る前にもう一度「印象、日の出」に戻ったほど、僕は名残惜しかった
もう一度並んだのだが、ふいに列から離れたくなった。
僕は壁際に陣取って、日の出の前、人が横切る様を遠くから眺めていた。

そして、ふ、と列が一瞬途切れた時。
そこにはまさに波のきらめきと陽光の温かさが在ったのだ

頭からつま先までびりびりと電撃が走るような、こんな思いは恋愛でもしたことがないかもしれない。

平面なのに、3Dだったし、動画のように見えた。
写真よりも写真らしい、実風景よりも実際らしいと思った。

「印象、日の出」の後、連作「睡蓮」の展示スペースにも入った。
日の出ほどの衝撃はなかったが、そもそも「睡蓮」がこんなにあるとは知らなかった僕はその物量に圧倒された(その後、その展示スペース以上にたくさんの「睡蓮」があることを知って更に驚くこととなる)。

モネの「睡蓮」は思ったよりたくさんある

たくさんあるからこそ、自分の好きな「睡蓮」もあれば、退屈な「睡蓮」もある(全部好きな人もいる)。

数多くの「睡蓮」の中で、僕と合う「睡蓮」と対峙すると「印象、日の出」のような動きや立体が感じられ、とても気持ちがいい。

だから僕はモネを愛しているし、印象派が好きなのだ。

さあ、お待ちかねのおうち美術館だよ!

最後にモネ。

はー!最高に幸せな時間だった!

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