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読了!角田光代「対岸の彼女」


《粗筋》
専業主婦の小夜子は、ベンチャー企業の女社長、葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始めるが...。結婚する女、しない女、子供を持つ女、持たない女、それだけのことで、なぜ女どうし、わかりあえなくなるんだろう。多様化した現代を生きる女性の、友情と亀裂を描く傑作長編。第132回直木賞受賞作。


《感想》
思い出した。シンプルに意地悪で、性格が悪くて、嫌味とか皮肉を言う人間が一定数いることを。
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俺はこれからも他人のダメなところをいちいち気にするよりも、自分に時間を使っていきたい。自分を見ていたり、やることがいっぱいあれば、そんなに周りのことばかり目に入ってこないと思う。



《引用》
「あーちゃんね、さっきまで起きてたの、あなたに寝かせないでくれって言われてるから、私も必死で起こしてたんだけど、いつまでたったってあなたは帰ってこないし、あーちゃんはぐずるし、もう降参って、寝てもらっちゃったのよう」義母さんはこういうものの言いかたをする人で、嫌味や皮肉を言っているわけではないのだと夫は言い、実際そうなのだろうと思うのだが、いつまでたっても小夜子は笑って受け流すことができない。(P28)

自分にすっと近づいてくる。まったく垣根のないような気安さで、だれかれと境なく悪口を吹きこみ、それに賛同するようあおり、けれど気がつけば自分自身がやり玉にあげられていたりする。(P62)

最近になって知った。しゃべることは、気持ちいいのだ。義母のことも、夫の不用意な発言も、ロに出せば喜劇性を帯び、すぐに忘れられる。言わずにためこむと、些細なことがとたんに重い意味を持ち、悲劇性と深刻味を帯びる。(P108)

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