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読了!朝井リョウ「ままならないから私とあなた」

《粗筋》
あなたが見ている世界は、ほんとうに「正しい」世界なの? 天才少女の薫と平凡な雪子——二人の友情の行方は 天才少女と呼ばれ、成長に従い無駄なことを切り捨てていく薫と、無駄なものにこそ人のあたたかみが宿ると考える雪子。 すれ違う友情と人生の行方を描く表題作。 男が先輩の結婚式で出会った美女は、人間関係を「レンタル」で成立させる業者だった——「レンタル世界」。 既存の価値観を心地よく揺さぶる二篇を収録。


《感想》
「レンタル世界」のオチはありえないんだけど、ちょっとハッとした。「ままならないから私とあなた」のほうはスタイルウォーズって感じかな。自分の価値観を押し切るにはやっぱり結果が大切だと思う。その価値観で生きてきて、ちゃんと結果出てればそれで良いと思う。

俺は最先端テクノロジーも大好きだけど、それでもユッコ派かな〜。最近は効率とか、価値があるとかないとか、意味があるとかないとかなんかそんなんばっかじゃない?しかもそっち側の価値観の人はそれをガンガン押しつけてくる気がする…


《引用》
戻さないと。自分を。もといた世界に。(P67)

大人と話していると、昔はこうだった、言われているだけでも、まるで、「今が間違っている」「昔の方が正しかった」と主張されているように感じてしまう。(P109)

電極で繋いだって、何をどうしたって分からないことこそ、私は知りたい。二つの口から息が漏れ始める。お互いの体を触っていると、新しい発見にたくさん出会う。自分だけの力では出せないような、自分では聞いたことのないような声が溢れ出てくる。(P206)

10分間の休憩も、ホットミルクも、あのときの私にはいらなかった。だけど、だからといって、いらないと切り捨てることをしないだけの想像力が、相手が大切にしているものを自分の中の正しさで排除しないだけの想像力が、今の私には身についている。(P261)

人と人との関係だけは、効率とかじゃないよ。それだけは絶対に合理化できないし、何も省けない。(P272)

(2021/5/4)

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