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名詞/Noun

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2019年1月の記事一覧

『外套』#334

これがほしい。いま一番ほしいもの。特定の、このブランドのこのデザインの何色のコレ、というのはなくて。イメージ的に、というのか、イデア的に、というのか、とにかく抽象的に、欲しいもの。 その外套っていうのは、寒い日に外出する際、部屋で着てるズボンとTシャツとかの上にばさりと羽織って仕舞えば膝下あたりまでほとんどすべて覆われてしまって、足首と足と外套、あとは頭、っていうくらいにまで身を覆えるもの。冬のオフィス街で、年配の大柄の男性が羽織っているような、スーツの上に、これと襟巻きさえ

『スーパーカー』#333

せっかくのゾロ目に、何を書こうか、迷ったような迷わなかったような。スーパーカーの楽曲に「333」というのがある。だからそれについて書こうかと思った。でも、その曲を残念ながら聞き込んでいないからそれほど書ける気がしなかった。曲にまつわる自分のエピソードもなければ、批評的に語れるほどの音楽理論も持っていない、となると、もうすこし引いてみて、演奏しているスーパーカーについて書こうと思った次第。ハマって以来、ハマりっぱなしでもう「どう聞いても性に合うんだな」と落ち着けようとしている。

『エプロン』#331

一人暮らしを始めてから、生活に馴染んでいくうちあると数段便利だろうと思って購入したもののひとつにエプロンがあって、購入したことに一切の後悔はなく、一人暮らしを続けている間は使い続けていた、残念ながらいまは登場機会が少ない。 そのときのは決して高いものでも無く、大学生のさもしい懐事情からすれば当然で、無印良品で買った膝くらいまでのカーキ色のエプロン、前にポケットが2つ。ただ、購入するときの決意のようなものに何が故かわからないけれど、熱いものがあった。いまこうして改めて書いてみる

『あぐら』#329

あぐら、胡座、なぜ「コ」なのか。ザッと調べてみれば、胡という文字は中国由来のものを示すという。大雑把に外来のもの、として、椅子座の椅子のことを外来のものとしてそれを利用した座り方のことを、正座と対置して語源とする説もある。ひとまずは、胡坐とあぐらとは平行していたものを一つの漢字と読みに収斂させたものと言えそう。 身体が硬くて正座もままならない私は、あぐらにしても楽ではない。股関節が硬いからか、あぐらをかいたら腰と背が丸まってしまって重心がやや後ろに傾く。だから前からポンと押さ

『正座』#328

名前に強さがありますね。正しい、と。では、正しい正座の作法とは、どういうことなのだろう、そのパラドックス。正しくなけりゃ正座じゃないし、正座であるならば正しいことに異論がないはずだ。いやはや。 正座で恥をかく体験についてはここ一年の中でかいた恥中、ぶっちぎりの一位をとる体験がある。長い長い時間を正座で耐え抜いたのち、立ち上がってある場所まで歩かねばならないフェーズが来たとき、立ち上がるまではなんとかなったものの、前へ踏み出す足がなんと着地できず、崩れ落ちてゆくわたしの膝は、壁

『重心』#327

先日の夜ランニングのとき、走りながら実験をしてみた。その前のとき、ペースをいつもより上げて、短い距離を走った。速いペースが頭のなかと脚の記憶として残っていたのが今回。 何を実験したかというと、走っている最中に「自分のペースが少しだけ落ちたな」と感じたときにまたペースを戻すための方策として「腕振りのために肩に力が入っているのを抜いて、肩の位置を下げて肘から先で腕を振ったこと」と同時に「腰から上でほんの少し前傾して、着地時の足裏のポジションをほんの少しだけつま先寄りにしたこと」の

『鶴見』#326

わかるひとには、なぜ326で鶴見としたのか、わかると思う。でも、わかるひとはこのノートを読んでいないので、ただの、ただの鶴見の話。 近いけどちょっと遠い、隣の街。 私が住む川崎市川崎区と市境界線で接してお隣、横浜市鶴見区。鶴見川を挟み込むところと挟まないところがある。ずっと子供の頃は、鶴見川の真ん中が境界線で、東京湾まで至るのだと思ってた。どうやらそうではなくて、横浜方面に歩いたり自転車で行くと、川を渡る前から鶴見になることがあって、おやっと思って調べたら、川が全てではないと

『バウムクーヘン』#324

層状の食感を味わった体験があったろうか、と疑問符を浮かべながらいま食べている。うそ。浮かべながら、食べていた。ふんわりとしているけれどがっしりとした食べでがあって、たしかに層状に生地が焼き重ねられているからボリュームがあることは疑いないけれど、歯や舌でもって焼き重ねられた生地のことを知覚することができない。わたしの歯が鈍いのかもしれない。そう思うのだけれど、どうしても、あの年輪のように見える焼き色と生地色の縞模様が食感に現れてこないことの疑問が立ち上る。 例えば卵かけご飯なら

『やまびこ』#323

やっほー。 と、山頂からどこか山に向かって大声を出すと、 やっほー。 と、声が返ってくる。そのことを、わたしは、やまびこ、として知っている。 かつてやったことはない。そんな高い山の山頂についたことがないのと、ちょっと恥ずかしがり屋であること、というか、そういうキャラじゃない、と思ってしまっていることが一番か、そう、大声を山で出して「うわ、やまびこ返ってきたよスゲー」と言う、そんな無垢なキャラじゃないしキャッキャとはしゃぐキャラでもない、と思っている。ときどき、「ときどきはしゃ

『スクワット』#321

習慣にした、はずなのに、いつのまにか、気づいたときだけやってる、いやこれもまた習慣の形の一つかと思わなくもないけれど習慣と呼ぶにはあまりにリズム感のない、気まぐれ行動になってしまった。習慣として「シャワーを浴びている最中と、シャンプーで頭を洗っている時間はスクワットをする。スローな動きでだいたい20回くらい」をやって、膝周りや太もも、背筋と腹筋への刺激も意識しながらやっていた。ただ無頓着に脚の曲げ伸ばしをするのでなく、膝はつま先より前に出ないようにとか、腰を落としていくときは

『リップクリーム』#320

右ポケットのゴールデンペア、眼球担当は目薬で、こちら唇担当。 冬場の乾燥に悩まされるのは外気に触れる皮膚全てに言えることで、そのなかでも特に厳しい部位、ドライエスト、そう最上級に活用していいのかわからないドライのモストなところのひとつ、唇。ワンオブ。 とはいえリップクリームを力を入れて選んだことはこれまで無くて、いや、高校の時に一度だけあるか、とはいえ、私の唇に塗り重ねられてきたほとんどの厚みをメンソレータム(ロート製薬)とメンターム(近江兄弟社)が占めている。あえて使い分け

『目薬』#319

ズボンの右ポケットには目薬とリップクリーム、これは欠かせないセットになってる。いつも自宅テーブルの左手のところで、スマホ、定期入れ、それに目薬とリップクリームをひとところに積んで置いていて、出がけにそのセットをパッパッとポケットに放っていく。先のセットはズボンの右ポケット、スマホは左、定期入れはお尻側の右ポケットに収まる。夏場は砂ぼこりとかに重宝したけれど主には眠気覚ましの役割を負っていて、寒くなってきて冬にはもう、乾燥対策として本当に欠かせないアイテムになっている。忘れて出