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ハミルトン・カーハートから学ぶファッション

どうも、ひょっとこ ボウイ です。

今日はアメリカのワークブランドの雄、CARHARTTについて語ろうと思います。

日本ではワークウェアとしての認識ではなく、ストリートウェアとして、ユーズド、新品問わず確固たる地位を確立しているCARHARTTですが、なぜ、100年以上もの間、世界的に愛されているのかを考えてみました。

まず、最初にこの「CARHARTT」というブランドの文字ですが、なぜ末尾にTTと記載されているのか疑問に感じたことはないでしょうか。

CARHARTTが産声を上げた1880年代は、まさにゴールドラッシュの時代であり、ゴールドハンター向けのワークウェア を作るメーカーが100社以上存在していたと言われています。
例えば、リーバイスなんかもそのうちの一つです。

そんな群雄割拠の時代に、思考錯誤した結果、少しでも目に入るブランドにするために、本来1つのはずのTを2つにしたと言われています。

話は少しそれますが、サイクロン掃除機の代名詞でもあるダイソン社の有名は話で、試作品を5,127台作成したというエピソードがありますが、まさにこのキリの悪い数字というのは、聞き手に強く印象付けるのに効果的だと言われています。

相手に「なぜ?」と思わせることさえできてしまえば、印象付けることは容易だということです。

つまりカーハート氏は、その人間の心理を上手く使ったブランド名にしていたのです。
そして、その思惑通り、私自身も「なぜTが2つあるのか?」という策略にまんまと100年越しにハマってしまったというわけです。

しかし、実際この戦略は大きな成果にはつながらず、CARHARTTはまだまだ苦戦していたと言われています。

では、何が大きな転機になったのか?

それは、ゴールドハンターに目を向けるのではなく、
ゴールドハンターが各地方から来る際に使う鉄道に目を向けたことです。

カーハート氏は数多くの鉄道員から作業服のヒアリングをし、その結果からコットンキャンバスのオーバーオールを生み出しました。

これが大きな支持を集め、
さらにカーハート氏自身も、アメリカ全土の鉄道会社を営業にまわり、今日のCARHARTTの基盤を築き上げたのです。

このエピソードで注目するところは、

作りたい服を作らなかった。

ということ。

現代において、服の作り手の多くは、
自分の世界観をどう伝えようとばかり考えてしまっていますが、
本当に大切なのは使う人のニーズを汲み取ることではないかと思います。

ロエベや、ユニクロのデザイナーもあるJWアンダーソン氏は、
ユニクロのライフウェアーというコンセプトを意識して作る上で、

生活で不自由している部分を考えてからデザインをしていく

と語っていましたが、それが服作りの本質ではないかと思います。

もちろんパリコレのような意匠的ではないデザインに美を感じることも大切なのかもしれません。

ですが、「デザイン」の本質は、機能から生まれるはずです。

例えば、CARHARTTのペインターパンツのハンマーループは、ファッションシーンにおいて決して必要なものではありません。

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しかし、結果的に今ショップで売られているペインターパンツのこのループは実用性ではなく、ファッション的デザインとして立派な機能を果たしてしまっているのです。

これがまさに「デザイン」ではないでしょうか。

だからこそ、CARHARTTは今なお、多くの若者に支持されているのだと思うのです。

1.どんな人に着てもらいたい服なのか
2.その着用者の課題は何か
3.課題を踏襲した機能をどう服に反映させるか

このステップこそ、まさに今改めてデザインする上で必要なことではないかと思います。

そんな服を作っていければいいと思いながら制作を進めていきます。

それではまた!