上越を離れる際に書いた文章(2016年3月記)
突拍子もないですが、今回は昨夜久々に開いたWordファイルからお届けします。大学院で所属していたコースが年度末に出している文集に投稿した文章ですが、適宜画像等を挿入したり追記したりしています(時期の表記法は当時のままです)。見出し画像は、2015年の校地内の紅葉です。
私は新潟県の生まれだが、大学卒業まで暮らしていた新発田市は上越市と約150km離れている。物理的距離が必ずしも心理的距離と一致する訳ではないが、大学院入学までの私は上越とほとんど縁がなかった。実際に訪れた記憶が全くない程である。(とは言え、新発田と上越には「かつて城下町であり、県内に2ヶ所しかない陸上自衛隊駐屯地のお膝元」という共通点があったりする)
そんな無縁の地に2年間住まった訳だが、このタイミングでこの地に暮らすことができてよかったと心から実感している。主な理由は下記の通りである。
・高田開府400年(2014年)にあたり、高田の歴史に触れる機会が多かったこと
歴史博物館で特別展を見学したり、記念誌を購読したりした。
・北陸新幹線開業前後の様子とその変化を間近で見聞きし、実感することができたこと
・関根学園高校の夏の高校野球県大会準優勝(2014年)、高田公園野球場改装と高校野球公式戦7年ぶり開催(2015年)など、野球ファンとして印象的な出来事が相次いだこと
準決勝・決勝を報じる上越タイムス一面(fb投稿から)と、スコアボードの工事変遷及び運用実例
6月上旬
7月末
8月末
10月中旬
2015年5月2日 春の高校野球2回戦
・上越/糸魚川タイムス(新聞メディア)と上越タウンジャーナル(ネットメディア)というローカルなマスコミの存在意義を実感することができ
たこと
・山形・福島に近い新発田と長野・富山に近い上越との地域性の違いを感じることができたこと
2点目について簡単に述べる。
北陸新幹線開業前の上越市、ひいては新潟県では、もちろん開業を心待ちにする声が多数あったとは思う。その一方で、最速達列車「かがやき」が上越妙高・糸魚川両駅に停まらないこと等に対する懸念も少なからず報じられていた。そんな中、開業前の私が個人的に気にしていたのは並行在来線のことであった。
先天性白内障と先天性緑内障による弱視等の影響により自動車運転免許を取得できない身にとっては、公共交通機関はまさに不可欠な移動手段である(様々な場面で車を出してくれた同期・先輩の皆様、本当にありがとうございました)。そんな身にとっては、JR東日本から第三セクター「えちごトキめき鉄道」に移管してからどのような変化があるのかということは非常に重大な関心事だったのである。
JR時代には、直江津~富山(旧北陸本線、現日本海ひすいライン・あいの風とやま鉄道線)間と直江津~長野(旧信越本線、現妙高はねうまライン・しなの鉄道北しなの線)間は乗換なしで移動できたが、新幹線開業後は並行在来線を管轄する会社が県ごとに異なるため、泊駅(富山県、一部例外あり)と妙高高原駅での乗換を余儀なくされることになった。そのような乗換の問題や列車本数の減少、また、開業当初の車両数の少なさ(通勤時間帯でも2両編成、ということも珍しくなかった)等いくつかの不便さはあった。しかし、障害者が単独で利用する場合でも1駅分の運賃にも障害者割引(半額)が適用されるというのは、上記の不便さを上回るほどに有難いことであった 。
これまでは個人的なことばかりを述べてきたが、並行在来線問題も県内のマスコミで幾度となく取り上げられ、トキ鉄に対してはかなり厳しい目が注がれたことと思う。現に、開業初日に積み残しが発生する等、この1年間でトラブルも少なからず発生した。しかしながら、個人的には今後のトキ鉄に対していくつかの期待を持っている。その中で最も大きいのは、地域を生かした駅づくり・列車づくりができる点である。
昨秋、春日山駅出口に写真のような看板が登場した。
このような歓迎幕を掲げるようになった駅が他にもあったり、ワンマン列車で妙高山を案内する自動アナウンスが流れていたりする。
また、列車内の広告は地元の料亭や酒造会社のもの等、非常にローカルなものが多い。これらはJR時代にはなかったものである。また、今春からはリゾート列車「雪月花」が運行開始され、車内では上越地域の食材を使ったコース料理が振る舞われることになっている。(以下の写真は21年4月撮影)
右は、新幹線開業後に「特急北越」に代わって運転されている特急しらゆき
こういうのがいいですよねぇ(直江津駅1番線ホーム)
当初は問題続きだったトキ鉄だが、徐々に環境も整備され、今後は地域と密着した観光資源としても機能していく可能性があるように感じている。トキ鉄には2路線にいくつかの新駅を建設する計画があり、本学近く(春日山~高田間)もその候補に上がっている。
(結局、ひすいラインの新駅が先に21年3月に開業。「大学前」はいつになったら…汗)
直江津駅改札内
将来的に本学の学生とトキ鉄の物理的・心理的距離感が縮まることを願いつつ、離れた力ではあるが今後もトキ鉄の動向に目を向け続けたいと考えている。
(結果的に21年春から上越の隣町・柏崎市に引っ越したため、トキ鉄とは再び縁が深くなっています。奇しくも、同月30日に上越市は市制施行50周年を迎えました)
最後の最後に、昨秋の記事も貼っておきます。
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