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#15 PCRの陽性率が重要なワケ:市中感染率(事前確率)の推定方法

2020/9/1(note投稿は2021/05/02) #4 (COVID-19)PCR検査は増やすべきか?の続き

”付け加えるなら、日々の新規陽性者数は検査数に影響されるので、単純に一喜一憂するのではなく、陽性率とセットでみるべきだ。何故なら市中の感染率が推定できるからである。(計算方法は別noteへ)”と書きました。

毎日15時頃に新規陽性者数が発表されていますが、「検査数が違うのだから比較できない」というのはごもっとも。

それでは市中の感染率P(事前確率)を計算するにはどうすればいいでしょうか?計算式は以下のとおり。

       P =(PO+t-1)÷(k+t-1)

ここで、P:事前確率、PO:陽性率、t:特異度、k:感度

例:PCR検査の能力がt99%、k70%とします。

                        (PO+0.99-1 )÷(0.70+0.99-1)                                                                    =(PO-0.01) ÷0.69

ただし PO>0.01 とします。

ある日の陽性率POが3.07%だったとします。最後の式にPOを代入して

                     (0.0307-0.01)÷ 0.69 = 0.03

市中の感染率は3%ということがわかります。これはベイズの事前確率になります。

なお式に検査人数Nが入っていないことに注意してください。つまりその日の検査数によらず計算できるわけです。(もっともPOの分母はNですが)

また、「陽性率」には偽陽性の人も入っています。

P=PO(45度線と交わる点)を探すと、P※=3.22%。これよりpが小さい間はPO>P 、これを超えると PO<P となります。

Pがわかれば、その他の数値は、検査人数をNとすると、

感染していて陽性が出る数 Npk

感染しているのに陰性が出る数(偽陰性) Np(1-k)

無感染なのに陽性が出る数(偽陽性) N(1-p)(1-t)

無感染で陰性が出る数 N(1-p)t

陽性率PO=[Npk+N(1-p)(1-t)] ÷N=pk+(1-p)(1-t)

なお、東京都は2020年5月8日から独自の「陽性率」を算定して発表しています。一週間の移動平均を使ったものです。他の県と定義が違うので注意が必要です。

この東京都の移動平均の数値を使うと、

きのう             5月18日 PO 5.8% → P(事前)=7.0%

今年もっとも高かった       1月7日 PO 14.5% → P(事前) = 19.6%

今年もっとも低かった        3月6日 PO 3.1% → P(事前) = 3.0%

ちなみに最も高かった 2020年4月11日 PO 31.7% → P(事前)=44.5%

となります。まあ、k、t が不変という前提ですが。

※ 追記(5/24)東京都は、感染者数の発表をこれまでの15時から16時45分に変えました。





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