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2023年6月の記事一覧

魔剣騒動 14

 どうやらアベルの爆破で内部の魔導機関ごと壊されたようでこれ以上ゴーレムが出現することはないだろう、というのがわかったのはレイアがゴーレムを調べ始めてすぐだった。
 アベルが爆破しなかった四体のゴーレムに関しても、レイアとアレンが何やら短く話し合い、アレンの魔法を使って魔導機関を止めたらしい。

 そんな訳で差し迫った脅威を対処したところで、先に進もうかとアベルと空也が提案したのだがレイアが拒否し

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魔剣騒動 13

 「いやぁ、助かったよクウヤくん」
 そこかしこに転がる先程までゴーレムだった残骸を蹴り飛ばしながらアベルは空也に声を掛けた。

 あの状況からアベルが発動させた魔法は端的に言ってえげつないものだった。
 具体的には空也の倒した2体を含めた計7体のゴーレムを内部から爆破した。
 そのせいで、あたり一面はゴーレムの残骸が埋め尽くしていた。

 「……相変わらず、随分派手にやりましたね」
 空也は咄嗟

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魔剣騒動 12

 その、集中の分散が原因だったのだろう。
 「あ、ヤバ……」
 アベルの動きを学習したゴーレムの一体が丁度他のゴーレムの攻撃を回避した直後のアベルへ不可避の位置、不可避の速度で攻撃を仕掛けてきた。
 『爆発の勇者』アベルは一流の冒険者である。
 その中でもさらに上澄みの上澄み。
 だから、不可避のその一撃ですら捌くことは可能だ。
 しかし、問題はそのあと。
 そのあとに続く、無理をして攻撃を捌きバ

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魔剣騒動 11

 始まった戦いは正に混線と呼ぶにふさわしいものだった。
 人間よりも大きなゴーレムが十も揃えば、部屋がそれなりの大きさであっても狭苦しくなってしまう。
 そうなれば当然ゴーレム側よりも小回りの利くアベル達人間側が有利になる、と思いきやどうやらゴーレムはゴーレム同士で相互通信を行っているらしく部屋の大きさを含めた上で綺麗な連携を見せ、その不利はあっさりと払拭された。
 しかし、それでも会敵の瞬間を優

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