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ひゃっほい日記

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ちょっとした試み
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2024年2月の記事一覧

20240229 サンプルG-26②

「目を瞑ると、遠くの暗闇からゆっくりとこちらにやってくるんです。いや、本当は向こうがやっ…

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20240227 サンプルG-26①

女と男が小さなテーブルを挟んでソファに対座している。 女は五十前後だろうか、白髪混じりの…

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20240226 ワルツ

「はっはっはっは」 その男は大きな口を開けて笑う。歯並びの整った白い歯は、まるで塗りたて…

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20240225 解放

「ハンバーガーとポテトフライ、それにビールくらいは出させて。」 デパートの屋上にある小さ…

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20240224 ある夜の出来事2

ピザでも食べたい気分だな。 そうね、でも今は二時よ。午前二時。さすがにこんな時間にはやっ…

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20240223 ある夜の出来事

予め決められた手順通りに進めていく。 まずザックを降ろし、小さなマットと防水袋の上に荷物…

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20240221 コンチェルト

食事をしている。 正しくは自分が食事をしているわけではなく、正面に座った女性が食事をしている。自分の前には湯気の立った珈琲が置かれているだけだ。その女性の前には英国式の紅茶と見事にツノの立った大きなシフォンケーキが置かれている。 窓際の小さな丸テーブルであることに加え、それほど混雑していないことを考えると相席ではないはずだ。女性の顔に見覚えはない。だが、長い黒髪につかないよう、器用に生クリームとスポンジケーキを交互に口へ運ぶ姿はどこか懐かしさを覚えずにはいられなかった。

20240220 仕上げ

その男は仕上げにかかっていた。 ただ一心不乱に仕上げにかかっている。 その男には申し訳な…

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20240215 駅

駅だと思ったら違っていた。 ここまで来れば何とかなると思っていただけに、その落胆は大きか…

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20240214 恋

恋というほど大仰なものではないけれども、それに似た経験というものは人並みにあるつもりだ。…

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20240213 不或

ひとつの区切りを迎えてから三ヶ月ほどになる。そんなものただの区切りに過ぎないし、昔の偉い…

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20240212 助手席にて

「そうよ。これがしたかったのよ。」 そう言って左手で巧みにシフト操作をしながら彼女は言っ…

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20240210 ある感傷的な男

おれは感傷的な男だ。 "感傷的な"とはっきり言ってみたが、情に脆いわけでも女々しいわけでも…

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20240209 電車

電車に乗っている。 八人掛けの長椅子の中央付近に座っている。八人掛けと言ったが、たぶん八人くらい座れると思っただけで、場合によっては六人かもしれないし十人かもしれない。車両を見渡しても乗客は各長椅子に二人程度しか座っておらず、かなり空いているといってよい。 すると辺りが黄金色に染まり始める。ちょうど車窓から朝日が差し込んできたところだ。朝のラッシュ時でないことを考えると、今日は土日あるいは祝日なのだろう。もしくはお盆休みということだって考えられる。 手に何かが当たった気