20240223 ある夜の出来事
予め決められた手順通りに進めていく。
まずザックを降ろし、小さなマットと防水袋の上に荷物を広げる。今着ている衣服を全て脱ぎ捨て、足の先から頭のてっぺんまで汚れていない衣服に着替えてしまう。
次はツェルトの設営にとりかかる。ストック二本をポール代わりにしてツェルトを起ち上げると、ペグダウンしてしっかりと張ってあげる。
室内に荷物を放り込み、固形燃料に火をつけ、簡易クッカーで湯を沸かす。風が強ければ防風板を巻いてあげる。
その間に狭い室内で荷物を整理し、シュラフを広げてダウンソックスを履く。沸騰した湯をアルファ米に注ぎ、それを湯たんぽ代わりにして冷えた身体を暖める。
スマホや時計の充電作業をしながら、温かい米を胃袋に入れる。凍てつくような冷気が隙間から入ってくるが、この間だけはその冷気さえも心地よく感じる。
小さなカイロを首や背中に貼りつけるとシュラフのチャックを上までしっかり締めて目を瞑る。まだ神経が昂っているせいかすぐには眠れない。
風がツェルトをばたつかせ、木々が軋み、葉が揺れている。静かに忍び寄る冷気が地を這ってやってくる。
コツ コツ コツ コツ
そのままゆっくりと降りていく。
大丈夫。全ては手順通りなのだから。
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