〔小説〕朝起きたらアザラシになっていた　その8

※この話はフィクションです。実在する人物・団体名とは何ら関係ございません。100%作者の脳内妄想のみで構成されています。

皆さんは『クリスマス・キャロル』を読んだことがあるだろうか？

金貸しスクイージーに現代・過去・未来3人のゴーストがやってくるのだが、僕にもクリスマスにゴーストがやってきた。

クリスマスの深夜に何故か汗だくで目を覚ますとソイツがいた。

だいぶ前に金を貸したまま自殺したA君が化けて現れた。

幽霊となったA君がこちらへやってくる。

生き残った僕はA君のせいで電気・ガス・水道を止められてしまい。当時の歌舞伎町にあったスーパーでタイ米を買って凌ぐ、それはうすら寒い年末を過ごしたので怒りがフツフツとこみ上げ思わず

返せぇ!ゴルァァ!!

叫んだらA君は消えた。

また汗だくで目覚めた俺は風呂に入る。

(･ω･っ)З（アザラシ）の体毛をシーブリーズのリンスインシャンプーで洗うのだが毎回、1度で全部使い果たしてしまう。

「野生」の「獣」と書いて「野獣」なので毛の手入れもしないで過ごしたいのだが、手入れを怠って山手線に乗ると目白駅で学習院の制服を着た学生がワラワラ乗ってきては口を開き。

「上野動物園のにおいがする」

(･ω･っ)З野獣なんだから当然だよ。

中には勝手に俺を抱きかかえては。

「毛がゴワゴワ」

(･ω･っ)Зあのな、俺は野獣なんだよ。

「目がケダモノ」

(･ω･っ)Зいやいや肉食獣なんだよ。

突っ込みどころ満点だが21世紀の野獣なので、あえて飲み込んで黙る。

なんて事があるのでリンスも丁寧に行っているのだ。

踏み倒して死んだA君のせいで1日に2度も体毛の手入れをする羽目となった。

1000円の損害だよ…

俺が身をもってこんな経験をしたので思うのだが。過去に死んだ人が出てくるのなら何故に過去の有名人が出てこないのかと俺は思う。

前にも4人で麻雀しながら、おふざけでそんな話をしたら。

「俺は太宰治を見てみたい」

太宰を挙げた知人は国文科卒なので、もっともな人選だ。玉川上水に本当にいそう。

太宰に遭遇したら酒やタバコをねだってきてウザいこと、この上ないだろう。

「俺は家康」

「ナポレオンだな」

などと各自が会ってみたい有名人を述べる。

僕は3人が述べた有名人にも会いたいが『ローマの休日』が代表作の女優オードリー・ヘップバーンに会ってみたい。

理由は役者が一番「化ける」からだ。

化けると言っても役者なので演技やメイクアップ、衣装でですよ。

それに役者ならカメラの前でどういったアングルでとお願いしたらギャラはとても高いがプロなので、やってくれると思う。

もし、オードリー・ヘップバーンに会って『ローマの休日』の姿でお願いしたらフィルム式カメラで撮影すると決めている。

なぜならフィルム自体にデジタル加工が出来ないからフィルムに映ったら「オードリー・ヘップバーンの幽霊に被写体お願いしました！」と鼻高々で宣言できるだろう。

皆さんも著名人の幽霊で会えるなら会ってみたい人いますか？

「俺は…」といいかけたところで考えるのやめた。

なぜなら、俺がこういう話をしていると化け物が本当にやってくるからだ。
体に寒気が走る。アザラシが風邪ひいたらかっこ悪い。早々に寝よう。

つづく。