プレゼンの極意とは!!(後編)対談者:長崎県立大学シーボルト校 教授 金谷一朗様
今回は、2019年の社外報より、ヒューマントークVOL.35(後編)をお送りいたします。
前編では、金谷様がどんな経緯で長崎に来て、そして西海市でTEDxを開催することになったのかというところまでお送りしました。後半では、TEDのトークに学ぶプレゼンの極意や、長崎の魅力についてもうかがっております。
ぜひ前編よりご覧ください。
※対談の本文は、2019年に社外報『ヒューマンニュースレター』に掲載したトークを当時の文章で掲載いたします。
プレゼンの極意とは!!(後編)
内海リ:ここで先生からプレゼンの極意を教えていただけませんでしょうか?
金谷:そうですね。まず、大事なことは最初と、最後も同じことを繰り返して伝えること。みんな、聞き始めは関心をもっているのだけどだんだん眠くなってしまうので、どうしても伝えたいことは最初の30秒、1分に込めないと伝わらないですよね。その間は最悪、聞き手が寝ちゃっても伝わるように、ということでしょうか(笑)
内海:私も伝えたいことを話しながら、聞き手の様子を見ながら調整していくのですが、自分では話足りなかったなーと思ったスピーチに「今日の話は、よかった!」と言われました。どこがよかった?ときくと「短いのが良かった」と言われます。そんなものですよね。
金谷:そういうことです(笑)。もうひとつは、あまり多くのことを言わない。最大でも3つですね。発表者は新しいことを伝えようとします。しかし、実際は聞いている人たちからすると、半分くらいは知っていることを聞くことのほうが心地よい。ということでしょうか。
内海:なるほど、たしかに理解しながら聞く話の方がいいですよね。知らない事ばかりでてくると聞こうと思っても、脳が拒否反応を起こしてしまいますもんね。私もテレビをみていて、最近そういう経験があります(笑)
それにしてもTEDのトークをみていて、間のとり方や抑揚が素晴らしいと感心します。
内海リ:シャイな日本人には苦手な分野ですね。
金谷:そうですね。ただカラオケを発明したのは日本人なんです!日本人はカラオケも上手だし、本気で日本人がプレゼンに取り組んだらものすごく上手だと思います。ただ、その上手さが歌の上手さだけに発揮されてしまっていますが。
内海リ:伝え方については、言語の特性も関係しているように感じます。日本語はまわりくどく言うことが多いですよね。本題は最後に言ったり。英語はまず結論をはっきり言う、といった違いを感じます。
金谷:そうですね、ただ実は英語も20世紀はじめのイギリス英語はものすごく回りくどい英語だったそうです。例えば「ミルクを取って」と伝えるのも、「今日の君はミルクをとってくれる気分かい?」みたいな言い方をしていたそうです(笑)。100年で言語もかなり変わるので、これから日本語も変わっていくのではないでしょうか。
内海リ:なるほど、たしかにそうですね。今はLINEなどチャットツールメインでのやり取りをしている世代が多くなっているので、これから日本語も変わっていきそうですね。
内海:話をまたエジプトに戻しますが、先生はまた近々エジプトにいかれるんですよね?
金谷:はい、ナイル川沿いにピラミッドは100個以上あるんですが、そのうちの1つであるアブシールという地域に、チェコの調査隊がいるのでそこに1週間、ギザに1週間の予定です。
内海:今でも発掘は行われているのですか?
金谷:はい、規模が大きすぎてまだ見つかっていないお墓もあり、Googleアースで新しいピラミッドが見つかった、という報告があがってきます。
内海:しかし本当に当時すごい文化をもっていたんですよね。
金谷:そうですね、金も宝石もとれない地域でしたが財力があったから、棺なんかはレバノンあたりから木材を持ってきたり、世界中から材料をあつめてお墓を作っていたんですね。ツタンカーメンのお面が完全な形で見つかりましたが、あれば規模が小さかったからそのまま残っていたんです。大きなお墓は盗まれてしまって残っていないんです。
内海:調査団はエジプト政府から許可をもらってしているのですか?見つかったものはやはりエジプトにおいていかなければいけないのですよね?
金谷:そうですね。ただ以前はそういったこともうやむやで、ヨーロッパ各地を見ると、エジプトからもってきた(盗んできた)ものがたくさんありますよ!
内海:門などもそのまま持って行っていますもんね。ほんと、どうやって運んだのだろうとびっくりします。それだけ栄えたエジプトが滅びてしまった経緯はなんだったのでしょう?
金谷:結局、北の寒い国が工業力を身に付け始めたことです。イギリス、ドイツなど農業的あまり豊かでない国が工業力を手にして、南を侵略していったのでしょうね。
内海:歴史もそう思って勉強していくととても興味深いですよね。先生はこれからもエジプトの研究はライフワークですね。
金谷:そうですね、そうなっちゃいましたね。でも、長崎の島々も大変おもしろいので、まだ行っていないところもありますし、研究をすすめていきたいと思います。
内海リ:世界も日本もご存知の先生から長崎の魅力に感じられていることを教えていただけますか?
金谷:長崎は日本の玄関口ですよね。国境でもありますし、日本から出るもの入るもの長崎からですよね。新しいもの好きというか、入ってきたものを、どんどんアレンジして自分たちのものにしているのが長崎の魅力ですよね。トルコライスなんて、トルコ全然関係ないですよね。ちゃんぽんも、卓袱も!
内海:そういう意味では長崎はそうですね。
佐世保はまたちょっと違うんですよね。同じ県であるのですが、漁村からいきなり市に急成長したまちですから。鎮守府がくるまでは早岐や広田の方が城下町で栄えていたそうです。
これからも本社がある早岐、そして松浦を盛り上げていけるように我々もがんばっていきたいと思います。先生、今日はありがとうございました。
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