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心のすさみを抑制するもっとも良い力とは…(後編) 対談者:鍵山 秀三郎 様

皆さまこんにちは!ヒューマングループnote編集担当 朝永です(*^-^*)

今回は、先週お送りした鍵山 秀三郎様と弊社社長 内海、ヒューマングループスタッフとの懇談後半です。

前半を読み返したい!まだ読んでいない!という方はぜひこちらから読んでいただけると嬉しいです♪

▼心のすさみを抑制するもっとも良い力とは…(前半)▼

それでは早速、後半をご覧ください!

※対談の本文は、2008年11月にヒューマンニュースレターに掲載したトークを当時の文章で掲載いたします。


心のすさみを抑制するもっとも良い力とは…

note ノート 記事見出し画像 アイキャッチ (7)

鍵山 秀三郎 様
ヒューマングループ 代表取締役 内海 和憲

今回のヒューマントークは、自動車用品大型小売店株式会社イエローハットの創業者(現相談役)であり、日本を美しくする会相談役として社会活動に従事されています、鍵山秀三郎様にご登場いただきました。今回はヒューマングループスタッフもヒューマントークに参加させていただきました。

内海リ:私は入社して6年が経過しましたが、私よりも若いスタッフや入社歴が浅いスタッフが増えてきて、いろいろ感じることが多いのですが、気づきという部分に関して、今までヒューマングループが掃除を導入してきたステップを、同じようにしてもらっても、気づきが生まれないような、本質的なものが伝わらないことがここ数年増えてきたように感じます。どのようにして伝えたらいいのでしょうか。

鍵山:残念ながら秘訣はないんですね。時間がかかるだけですね。絶対に変わらないわけではないのですが、それは仕方のないことなんですね。どうしてかって言うと小さいときから個室で育って、兄弟でも同じ部屋にいない。他者への配慮が欠け、他者との関わりを知らないのです。
私は、ついこの間、ある県の警察学校で今年2度目の講演に行ったのですが、その警察学校に試験を受けてせっかく入ってきたのに、寮が二人部屋というだけで、その日のうちに辞めていったという方がいたんです。これは決してこの方だけが特別ではない、皆さんが大体そんな風になっていると思わないといけないですね、他者への配慮というものが欠けているということで、いかに自分が不幸になるかというのを教えてあげないといけないですね。「自分は自分で生きていくんだから、誰にも迷惑をかけてないとか、誰の世話にもならない」とか言うそういう考えですよね。

改めてそういうことを教えていくのではなく、それではこの社会の中で幸せに生きられないということを自然に教えてあげないといけないですね。ですから、昔と違ってそういうことに時間がかかってしまうようになったんですね。でも絶対に「今の人はだめだ」とか、「言っても無駄だ」というふうになっては、それでおしまいです。
あきらめずに根比べですね。必ずどこかで変わります。

あるところにとんでもない非行少年がおりまして、その子は小学校のときから評判の札付きで、「あの子供が中学校にあがってきたら困るな」と中学校の先生方の間で評判になるような子がいました。その子の兄さんは殺人を犯していたりとかそういう家庭の子でした。新学期になってその子が中学校に入学してきたのですが、その途端に学校中、黄色信号が点ったというんですね。そこへ運悪く、両親から捨てられた中学1年生の男の子が沖縄から何かの縁戚でこの学校にきたんです。評判の非行少年とこの子が一緒に行動を起こすようになると、学校中は赤信号です。1年生なのに3年生は逃げたというんですね。クラスは荒らす、沖縄から来た子は体格が良くて、恐喝、暴行、先生には暴力をふるう。そんな子供たちでした。

授業に出ないで保健室に来て遊んでいたのですが、たまたま保健室の先生が私のカレンダーを壁にかけていて、それをその子供たちが見て、「あっ俺、これ わかる!わかる!」と言って、そしてなぜか「私に会いたい」と言ったそうです。先生は、直接は無理だろうけど、トイレ掃除をすれば、間接的に会えるかもしれないけどやってみるか」と言ったそうです。それで去年の12月、色んな方がこの子たちを応援してこの子供たちのために十数人の大人が集まって、トイレ掃除をやったんですね。その子たちは比較的に真面目にやったので、それが私の耳に入ったんですね。

私はサッカーボールにその少年の名前を書いて、「これを年内に少年にプレゼントしてください」とその保健の先生に預けたんですね。そしたら保健の先生が二人の少年に「12月24日、明日はサンタさんがくる日だから学校においで!」と言ったら、12月24日クリスマスイブの日、学校にその少年たちが来て、そしてそのサッカーボールをプレゼントしたら、少年達は泣きだしたそうです。沖縄からきた少年は1月7日に少年施設に送られることがその時には決まっていて、その少年は、少年施設に行く前に「俺、トイレ掃除をして行きたい!」と言いだして、1月4日、また大人が十数人集まって二人の少年囲んで一生懸命トイレ掃除をしました。ですから私は二人の少年に今度はお年玉を贈ってあげました。
1月7日、施設に収容される日の午前中、少年は自分が今まで汚したところを掃除して回ったそうです。

5月に私はその非行少年がいた学校に掃除に行く機会がありました。その少年たちは特別な許可をもらって掃除にやってきました。先生に聞いてみたら、二人とも私があげたお年玉を「もったいなくて使えない」といって壁に画鋲でとめてあるそうです。とんでもない子供だった子が少年施設でそういう心をもって施設のトイレ掃除をしている。施設の先生がびっくりして、今だかつてこんな子供が来たことがないというんですね。
そういうふうに機会、動機を工夫してきちっと与えていくというのがとても大切だと思います。

人間というのは残念なことに人の欠点が目につきますね。良いところはなかなか目につかない。ぱっと見た瞬間に欠点が見える。その欠点でその人を判断してしまうということになりがちです。いいとこ探し、その人が良いことができる種まきをするといいですね。用事を頼んでやってくれたことに対してこちらが喜ぶというのが次への種まきですね。

広池:今日はありがとうございます。日頃から、気づくということが非常に難しいと思っています。気づいても行動に出ないということがよくありますし、まったく気づかないことも多くあります。相談役のお話を聞きながら積極的に動いていこうと痛感しました。

鍵山:気づくと言う秘訣は絶えず人を喜ばす。これが最大の要点ですね。
私は、孫が小さいときに、孫を喜ばそうと思うとあれもこれもと何でも目についたものです。自分が気づく人になろうと思うのであれば、絶えず人を喜ばそうとすること。心掛けることが一番大きな力になると思います。

内海チ:ここ最近、色んなことが身の周りに起こりまして、何を一番に考えないといけないのかと悩んでしまう状況に久しぶりになりました。今日、鍵山相談役が「行動をおこさないと何も変わらない、行動を起こせるように与えてあげる、与えればそういう変化が起きて、そこからいろんな何かが生まれると言われたときはまさにそうだなと思いましたし、自分で何ができるのか、まず考えることから始めないといけないと思いました。私のノートに1994年4月2日に鍵山相談役がこの場所に来られてお話をしていただいたとノートに記録してあります。ちょうど出会わせていただくべきして、今日来ていただいたんじゃないかなとすごく思えた日でした。ありがとうございました。

鍵山:現代の日本人の悪い点は、心が眠っているんですね。だから物事を新鮮に感じることがないんですね。たとえば今日は2008年7月24日ですね。今日は、私の人生のなかで初めてきた日、地球上の歴史始まって以来初めての日ですよね。しかしこれが今日初めての日だというような感覚ではとらえられないですよね。なぜかというと今日は昨日の続きですから。明日は今日の続き、こんなもんですね。昨日今日明日、昨日今日明日がくりかえしているだけ。まあちょっと暑いとか今日は涼しいとかそんな違いしか感じない。本当はそんなところじゃない。もっと大きな違いがあるはずなんです。

でもその自分の感覚でとらえたくらいしか感じないそんなもんですね。今の若い世代の人たちはもっと感覚が鈍くなっていて、居眠りどころか眠っちゃってるんですね。だから少々のことでは自分の心が起きない。だから過激な刺激を求めますよね。音楽でも過激なもので、舞台でも狂ったように、巨大な音がガンガンガンガン。強い刺激を求めているそういうふうになっているんですね。そうなると身の周りの小さなことにはまったく目が覚めない。ゴミが落ちていようが汚れていようが、何しようが平気で、これでますます心が鈍ってくるわけなんですね。これを放置しておけばとんでもない世の中になってしまうと私は懸念しているわけです。

若い世代を非難や否定をしていたんでは始まらない。それをなんとか自分たちの手で居眠りを起こして、死んでるような心に命を与えて蘇らしていこうというくらいのつもりで取り組んでいかないといけないと私は思います。だから私がやっていることなんかも空しく、はかないことが多いものです。
それでも、あきらめないでやり続けてきたんですね。たとえば学校の掃除、始めて15年経ちました。最初のころは学校で掃除をするために「学校の施設を貸していただきたい」と行っても門前払いですよ。けんもほろろ。「校長先生にお会いしたい」と言っても、校長先生が窓の外から見えているのに、「いや今日は出張で居ない・・・。」とか、中には全部話を聞かないうちにポケットに手をつっこんで横向いちゃうとか。

やると決まってて前日になって「やらないことになりました。」と平気で断ってくる。そんなことばかりだったんです。それでも私たちは諦めず、足を運んでいるうちに・・・先方からお願いしますと言ってくるようになったのです。広島県は、2年先まで予定が決まっていますね。また全国4県で警察学校の活動が始まりましたし、今度はまた違う県からも掃除をやりたいと要請がドンドンくるようになりましたね。こういうふうにあきらめずにやり続ける。先ほどお話しました根比べ、どちらが先にあきらめるか、なんですね。

内海チ:最近は損得はすごくわかるのに、物事の良し悪しがわからないということがおこっています。それはどういうことなのでしょうか?

鍵山:それは人間の本能ですね。自衛本能といって自分を守る。これは動物本能ですからこれはいいとか悪いとかではないですね。人間の本能には三種類あって、まずはへびの脳といって、へびと同じ程度の脳です。生きるがために自分の命を全うしていくための本能ですね。のどが渇いたら水が飲みたいとか、おなかが空いたから食べるとかそういうものです。次は猫の脳です。猫は喜びの反応はしないとしても少なくともへびとは違う喜怒哀楽がありますね。そういう脳です。うちの会社にも、頼まれて野良猫を飼ってとうとう居ついてしまいまして、私の机の上でいつも寝てます。あまりに邪魔になるので机の上から落とすと、すごい顔をして振り返っていきますよ。そこまでが動物本能で、人間はさらにその上にもう一つ、知能をあらわす脳があり、他人への配慮とか、それから、公と私があります。この「公と私」、「私」ばかりが大きくなって、「公」が小さくなると人間はバランスがとれなくなってしまいます。この「公と私」がバランスがとれたときに初めてその人は常識のある人となるんですね。


西郷隆盛さんは「公」が強くて「私」がほとんど無いに等しい人だった。だから亡くなって131年経っていますが、今でも人の心に生き続けています。鹿児島にいくと「セゴドン!セゴドン!」といって継承されています。
また、陽明学者だった中江藤樹<近江聖人>という人は亡くなって359年も経っていますが、41歳という若さで亡くなっているにもかかわらず、高島市安曇川町(滋賀県)に行きますと、今でも「藤樹さん」「藤樹さん」といまだそこに生き続けています。中江藤樹さんも西郷隆盛さんも共通しているのが「公」が大きくて「私」が小さかった。「公」に生きてきた人です。

誰だって利害(損得)がありますし、公私もある、好き嫌いもある。ところが日本人の多くは善悪が無いんですね。だから社会が乱れてしまっているんです。昔の人は好き嫌いもあったけれども、まず善悪を一番先に考える人が多かった。そのために社会の秩序が保たれていたんですね。これはとても大事だと思います。もちろん好き嫌いは絶対いけないと言っているのではなく、あっていいんだけれども、絶えず片一方の手には善悪という「物差し」をもっているかどうかということです。そういう「物差し」を持たなくなってしまうと、猫の脳と同じ生き方になってしまうんですね。人間らしく生きるためには「善悪という物差し」を持ちつづけるということですね。

内海カ:今日はありがとうございました。ここのところ、色んな問題が山積みしておりましたので、鍵山相談役の「経営問答塾」という本を読んで、いろんなことを感じていた矢先、今日こうして鍵山相談役が弊社に来てくださったこのタイミングが非常にありがたいと思いました。自動車学校の教習をすることはとても良い仕事だと気づかせていただきました。感謝申し上げます。

鍵山:自動車学校に来る人には楽しみを、帰る人には喜びを。この精神ですね。ちょっと補足をさせていただくと、誰の言葉か知りませんが、「金儲けをしようとして国宝はない」という言葉があります。1000年以上も経て国宝とされているものはたくさんあります。どれも作ったそのときに金儲けをしようとして作ったものは一つもないんですね。打算も何もない、一途にいいものをつくろうとして作ったもののみが後世になって、国宝という指定をうけることになるんですね。だから打算や利害が前面にでるような仕事はよくありません。いい仕事をしましょう。正しい指導をしましょう。この自動車学校の受講生が、生涯、免許を持つ間、車を運転している間、事故を起こさない、そういう運転ができるように指導していくことですね。

鍵山秀三郎氏プロフィール
昭和8年東京生まれ。
昭和36年10月ローヤル(現株式会社イエローハット)を創業、社長就任。
平成10年社長退任、相談役に就任。
創業以来続けている「掃除」に多くの人が共鳴し、各地の「掃除に学ぶ会」が全国規模で広がっている。
「日本を美しくする会」相談役。
著書に「凡事徹底」「気づきの秘訣」「頭のそうじ心のそうじ」「経営問答塾」「平凡を極める生き方」など多数。


トークに参加したヒューマングループスタッフ
内海和憲(ヒューマングループ代表)/内海千恵子(ヒューマングループ副社長)/内海梨恵子(ヒューマングループ専務)/前田和男(ヒューマンスクール松浦校長)/内海浩一郎(ヒューマンスクール早岐課長)/広池仁子(ヒューマングループ企画部長)


朝永のつぶやき

最後まで読んでいただきありがとうございます!ここからは編集担当がトークを読んだ感想をまとめたプチコーナーです(^o^)/

今回は2週に渡り鍵山 秀三郎様とのトークをお送りしました。皆さまいかがだったでしょうか?

私は今回のトークで「自動車学校に来る人には楽しみを、帰る人には喜びを」という言葉がとても心に響きました!

この考え方は自動車学校以外の様々な職種でも共通するのではないかと思います。

私は最近LINEの構築・コンサルタントの講座や、コピーライティング・LP(ランディングページ)制作に関するセミナーを受けたのですが、そこでもまさに「楽しみと喜び」をお客様に届けられるかが大切だと感じました。

その商品・サービスを手にしたとき、どんな未来が待っているのかと言う楽しみを届け、その楽しみを実際にその商品・サービスで喜びに変えると言うイメージを私の中で浮かんでします(*^-^*)

まだまだ修行中の身なので、仕事を通してたくさんの方に「楽しみと喜び」を届けるべくもっともっと頑張らなければ!と思いました♪

それでは今回はこの辺で!また次回お会いしましょう!


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