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ワインの楽しみ方 対談者:シュードル・ニコラ氏

皆さまこんにちは!ヒューマングループnote編集担当 朝永です(^-^)

今回ご紹介するヒューマントークは、ゲストにシュードル・ニコラ氏をお招きし”ワイン”についてお伺いした「ヒューマントークVol.11」です。

ワインを通してどんなお話が聞けるのか、ぜひご覧ください♪

ニコラさんとの出会い

48年前にフランスの旅(リユックを背負って)の途中で、出会ったアメリカ人と一緒に田舎のレストランで食事した時、私はグラスワインを、アメリカ人はミネラルウォーターを頼みました。 清算する時にワインの方が安いのにびっくりしました~アメリカ人は“信じられない”と怒っていましたが(笑)、それ以来ワイン好きになりました。

岩田屋の役員の方にこの旅行の話をしたら、じゃあ、ニコラさんを紹介しましょうと言っていただき出会い、そしてお付き合いが始まりました。

あらためてコラムを読み直し、近いうちに会いにいこう、そして美味しい
ワインを紹介してもらおうと思いました。


※対談の本文は、2005年1月にヒューマンニュースレターに掲載したトークを当時の文章で掲載いたします。


「ワインの楽しみ方」

note ノート 記事見出し画像 アイキャッチ (12)

<ヒューマンニュースレターVOL.21(2005年1月発行)より転載>

シュードル・ニコラ 様
ヒューマングループ 代表取締役 内海 和憲

今回のヒューマントークは、シュードル・ニコラ氏です。

内海:私は元来、赤ワインが大好きなのですが、ニコラさんのお陰で、さらに美味しいワインを飲むことができるようになり、大変幸せです。今、ニコラさんは福岡でビジネスをされていますが、なぜ福岡でお仕事をされることになったのですか?

ニコラ:最初のきっかけは89年の3月から始まった博覧会でした。もともと福岡とボルドーは姉妹都市なので、博覧会の時に福岡の岩田屋に場所を借りて、ワインや食材を販売しながらボルドーの紹介をすることになったのです。その時ボルドーにフランス語と日本語を話すことができる人がいなかったということと、姉妹都市関係の担当が私の父だったということで声をかけられたのです。

私は当時まだ学生だったのですが、福岡でボルドーの文化を広める役目をもち、フランス館の館長として6名の方と一緒にチームを組んで来日しました。福岡にはまだ焼酎文化が根強かったのですが、それでも半年で60万本売れました。売り方によってはデパートでもワインが売れるという実績を作ったのです。それで岩田屋からワイン部門を作ってくださいという要請があったのですが、ワインの売り場はありませんでしたのでマーケティング・販売・輸入全てゼロからはじめました。

内海:博覧会のために来日された当時はまだ学生だったのですね。日本語は話せたのですか?

ニコラ:日本語は挨拶ができる程度で英語のほうが得意だったのですが、博覧会では英語はあまり使えなかったので日本に来てから勉強しました。学校で学ぶより実践で学ぶしかないと思いました。又当時は、醸造学部の学生でしたが最後の学年であとは試験だけでしたので、学校の協力のもと日本に行くことで他を免除してもらうことができ、7ヶ月間日本に来ることができたのです。

内海:初めて日本に来られたのは博覧会の時ですか?

ニコラ:実はそれ以前から日本には来ていました。昔から柔道をやっていたので、柔道協会で毎年夏休みや大きな選手権の前は日本の天理大学などで1ヶ月合宿に行ったりしてほとんど毎年日本に訪れていました。博覧会を終えて89年の10月頃フランスに戻り、最初にしたことは缶詰の会社の仕事でした。学生時代から倒産した缶詰工場を買い取ってパテやリエットなどの伝統的な食材をプロデュースしていたのです。この仕事はフランスに帰ってから1年ちょっと続けていました。

91年の6月頃に、当時の岩田屋の社長から一緒に仕事をやりませんか?という手紙を頂いて、工場を友達に預けて3年の予定で日本にきました。結局12年経った今も日本におりますけど(笑)。最初は岩田屋の社員として入社しワインの輸入と売り場での販売展開をメインに担当していました。

内海:当時のワインの売れ方と比べて今はどうでしょうか?

ニコラ:随分変わってきましたね。12年前はまだドイツのワインがメインでした。今のようにワインコーナーなどはなく、お酒のコーナーの一部にワインが置いてあるのが現状で、全体売上の10%ほどでした。しかもその大部分はドイツの甘口の白でした。現在は全体の3分の1をワインが占めるほどに成長しました。ワインの内訳もかわってきて、ドイツの白ワインからボルドーなどの赤ワインへとシフトしましたね。

内海:赤ワインというとボルドーワインというイメージなのですが、ボルドーワインの魅力とは何でしょうか?

ニコラ:ボルドーの一番の魅力というのは「真似ができないワインである」というところだと思います。その地域・文化を表すことができるワインですね。今はワインもたくさんの種類がでてきて、他の国でもたくさん作られていますが、これらのワインはやろうと思えば違う場所でも同じワインを作ることができるんですね。しかし、ボルドーは技術はもちろん、土壌を生かした香り文化・法律(AOCという原産地名称ラベル)を厳しく設定してボルドーワインという品質を守っているのです。ボルドーワインにはたくさんのルールがあります。

たとえば「産地のブドウを使わなくてはいけない」「土壌の成分だけを与えて作られたブドウか?」アルコールのレベルや糖などさまざまな項目で厳しい審査が毎年あり、ボルドーらしいワインか?ということを確認します。この審査を通らない限りは「ボルドーワイン」として販売することができないのです。ワインを作り始めたのは古くローマ時代と言われておりますが、今のように世界的にボルドーワインが有名になったのには二つの転機がありました。

一つめが1854年ナポレオンⅢ世がワインの格付けを依頼した時です。当時ボルドーはフランスの首都でしたので、政治的なこともありボルドーのワインがNo.1のワインということになりました。そして、今の5大シャトーが生まれたのです。二つめが1852年ボルドー~パリ鉄道開通です。それまでボルドーワインは海路を経て英国、アフリカなどに流通していたのですが、パリ・東ヨーロッパ・ソ連に販売できるようになり世界的に有名になっていったのです。伝統と強い政治力がボルドーワインの名を世界に広めたのです。

内海:ニコラさんはフランスのボルドーのご出身ですが、今は年にどのくらいフランスに戻られているんですか?

ニコラ:そうですね、ボルドーでは今も父がワインを作っておりますので、2月に二次発酵のワインのテイスティングができるのでその時期と、ワインの価格が決まる6~7月。そしてボジョレー・ヌーヴォーの買い付けに10月の頭にヌーヴォーの質の確認と買い付け、そしてプライベートで1回、だいたい4~5回ですね。

内海:最後に、ニコラさんお勧めのワインの飲み方やおつまみなどを教えてください。

ニコラ:ワインの楽しみ方のひとつは「ゆっくり飲みながらグラスの中でのワインの変化を楽しむ」ことです。いっきにボトルをあけてしまうのではなく、時間をかけて刻々と変化するワインを楽しみながら味わいます。グラスは一般的にボルドーワインにはボルドーグラス。ブルゴーニュワインにはブルゴーニュグラスといわれていますが、私はほとんどブルゴーニュグラスですね。チューリップ型のブルゴーニュのグラスは酸素と触れ合う部分が多いので酸化が進むのが早くワインの変化を楽しむことができますし、上のほうが狭くなっているのでワインの香りをさらに楽しむことができるのです。ワイングラスを使う理由はワインの温度を保つためという理由があります。クリスタルなどのワイングラスですと、透明度も高いのでワインの色も楽しむことができますね。

あとは温度です。赤ワインは18度 白ワインは6度が一番合った温度です。白ワインは冷蔵庫にいれておくだけで丁度いい温度を保つことができますが、赤ワインは夏は氷水の中につけ、冬は水にいれて温度を保ちます。毎年80~100の銘柄をニコラセレクションとして出しているのですがそのために3000~3500のテイスティングを行います。その時にはイナオグラスをテイスティング用で使用しているので、使いすぎてあまり好きではなくなっているんですね(笑)。気をつけることは色々ありますが、なんといっても自分の好みのワインを見つけることが一番です。

飲み方は自由だと私は思います。実はずっと気になっていることがあって、10年以上日本にいる間に日本人のワインの飲み方は劇的に変化したのですが、ワインのおつまみはずっと変わらず「チーズ・パン」と変化がないんですね。フランスではパテなどワインにあう料理が多彩にあるんですがなかなか浸透していません。これからは私がもっと広めて行きたいと思っているところです。
おつまみなども含めたワインの楽しみ方を広めるために年間50回くらいワインセミナーを開催しているのですが、おかげさまで年々参加者が増えてきてセミナーを開催するための場所を探していたところこのお店(※ラ カーブド ニコラ ル ボルドー)をみつけました。雰囲気をつけるために、ボルドーのワインセーラー風にしているうちに、気がつくとレストランになっていました(笑)この店では私がフランスで食べていたボルドーの家庭料理をだしています。もちろんワインに合う料理ばかりです。

内海:私も何度か利用させていただいていますが、このお店ではおいしいワインがとてもリーズナブルな価格で提供されていますね。

ニコラ:はい、ニコラセレクションとして一般でも販売しているワインをお出ししています。日本でワイン文化は随分浸透してきましたが、これからはもっとワインをカジュアルに楽しむことができるようになると思うのです。気を張らずにとにかくワインを楽しむことができるように私も活動をしていきたいと思っています。


●シュードル・ニコラ氏プロフィール
ワイン醸造資格保持者・ボルドーバルザックボンタンコマンドリー所属
(株)岩田屋 ワイン輸入・企画・販売 マネージャー
九州日仏学監 講師
岩田屋コミュニティカレッジ 講師
岩田屋セクレタリーサロン 講師
(株)井筒屋 ワイン販売顧問
(株)熊本阪神 ワイン販売顧問
(株)I&F ワイン輸入に関する顧問
福岡ボルドーコマンドリー メイン会員
その他、年間50回ほどのワインセミナー講師やソムリエ試験などの教官も勤める。


朝永のつぶやき

最後まで読んでいただきありがとうございます!ここからは、編集担当が今回のトークを読んだ感想をまとめたプチコーナーです♪

今回はワインを通して、ニコラ氏の学生時代のお話や仕事での経験など様々なことをお話していただきましたね!

皆さまワインはお好きですか?

私は昨年20歳になったので、まだワインは1度しか飲んだことがありませんが最初の一口目は「自分にはまだワインは早かったかなぁ~」と思いました(笑)

しかし今回のトークを読んでいると、自分の気に入るワインがどこかにあるかも知れない!という気持ちになりました(^-^)

ワイン自体の種類だけでなく、飲むグラスにも様々な種類はあるとは初耳でした・・・!奥が深いですね!!


それでは今回はこの辺で、また次回お会いしましょう!

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