採用担当が持っておきたい広報視点とノウハウ(1/5)-採用広報は概念だ-
採用広報という領域にきづいたきかっけ
2019年くらいからカンファレンスでの講演やパネルディスカッションにお声かけいただけるようになって、サラリーマンとして会社から許可される範囲で、登壇しています。登壇することによるメリットは、いただいたテーマを事前に(僕は前日の夜が多いですが)ガリガリと掘り下げられることです。掘り下げていくと、実は自分たちに足りないことに気づいたり、実はものすごくスゴイことをしていたりすることに気づいたりすることができます。登壇直前にいろいろと気づきがあったりして、当日朝のスライド変更があって、主催者にご迷惑をおかけするのはこの理由だったりします。
さて、「採用広報」。これも、実はあるカンファレンスへの登壇がきかっけで、気づくことができました。
ビズリーチさんのHR SUCCESS SUMMIT 2019のパネルディスカッションで、PRテーブルの菅原さんやLINEの青田さん、Panasonicの杉山さんとの「採用広報」に関するパネルディスカッションです。
当時、規模も大きく、質も高い、僕たちにとってはとても困難な採用活動を実施してきて、リクルーターや関係者との試行錯誤の末、行き着いたところが、世の中の考え方とは少し異なった独自の「採用広報」の世界観を作ってきたように思います。「採用広報ってこうやるんだよー」みたいなノウハウ的な前提は全く意識してこなかったので、いまだに僕たちも「採用広報」という領域がある!と言い切れないようにも思っています。そして、少なくとも、部署名にするようなジャンルではないと思います。
採用広報は職務ではなく概念である
じゃあ「採用広報」とは何なんだと問われれば、ひとことでいうのであれば、「採用広報」とは、「組織と求職者の接点の置き方」という概念ということが出ると思います。職位とか職務ではなく、概念だと思うんです。概念は概念でも、Concept(コンセプト)というよりは、mindset(マインドセット)とかDirectionality(方向性)。または企業文化の表し方とも言いましょうか。
この概念を、実際の行動に移せるような定義に落としてみると、こんな感じになると思います。
「ある組織の構成員が、どんな想いをもって、どんなところで、どうやって、どんな課題に取り組んでいるのか。そして、その課題は組織のどのようなビジョンやミッションに基づいていて、さらには、その成果がどんな社会課題の解決につながっているのか」を働く人目線で伝えることで、求職者がその組織で働くイメージができるような見え方と見せ方をデザインすること。コンテンツを作ることを目的化すると、この領域にはたどり着けない。
「採用広報って人事がやるんですか?広報がやるんですか?」という質問をよく受けます。僕は「採用広報」はあくまでも概念だと思っているので、誰の仕事だということでもなくて、必要な人は誰もが考えなければならないことだと思っています。「採用広報」を特定の職務にしてしまうと、その瞬間、「採用広報」は目的化して、妙なKPI(WEBならCTRとか)に管理され、リアルを伝えられなくなり、誰のために何をやっているのかがわからなくなるという現象が起きてきます。
誰が採用WEBサイトを作るかとか、誰がパンフレットを作るかとか、誰が取材対応をするのかとか、そういう職務と担当者は明確にしつつ、「採用広報」という概念は関係者皆で共有しておくことが、結果としてメッセージの統一感につながっていったりします。極端な例を出すとすれば、学生さんのインターンシップの時も受付対応も「採用広報」の一部だと考えるくらいがちょうどいいと思います。
▼「採用担当が持っておきたい広報視点とノウハウ 5部作」はこちら
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