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動画コンテンツってどんな風につくられてるんだろう?編集屋さんにお話を聞いてみた

こんにちは!エムコです。
私が初めて動画編集をしてみたのは息子の卒園式の時。"エムコさんはパソコンに強いらしい"という噂を聞きつけたPTAの方から「卒園式の時に流す子供達の成長を記録した卒園ムービーを作って欲しいんです」と言われ、わっかりましたー!と勢いよく引き受けてはみたものの、子供達の写真だけで作るのはなんだかさみしい・・と個人的に園内を撮影したり、子供達の様子を先生にお願いして撮っていただいたり、先生たちひとりひとりを巡ってバイバイしている動画を撮らせてもらったりしながら、まる1ヶ月かけて作った涙涙の卒園ムービーが初めての動画作成経験でした。

その時に、
「いい映像が撮れすぎてて曲におさまらない・・・!!!」
「あれこれ曲にあわせて順番もかえてみるけれどなかなか納得いかない・・!!」
「写真とか動画の切り替えのタイミングって一体何にあわせたらいいの・・?」
「なんだかやたら長くなっちゃったけどあきないで最後までみてもらえるのかな?!!?」
「いい感じにナレーション書くのって難しい・・・!!」
などど思いながら悶えていた私。

そんな私がHubさんと出会い、はっ、もしかして、Hubさんの編集担当の方にお話を聞いてみたら動画編集のコツやポイントがわかっちゃったりするかもしれない…!とまたHubさんへ遊びに行かせていただき、編集マンの岡部さんと松田さんにお話を聞かせていただくことに🙌 プロの編集さんはこんなことを考えながら編集されているんだ…!!と目から鱗ばかりの愛情あふれるお二人(そして時々山下さん)からのお話をぜひご覧ください😊

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(1番目と3番目が松田さん、2番目と4番目が岡部さんです!)

動画って、どんな流れで出来上がっていくんですか?

例えばCMやプロモーションムービー。あちこちで目にする動画たちはどうやってできあがっているんだろう。映画だったら例えば脚本があって、絵コンテがあって、それに沿って撮影が進んでいく?それともやりたいことがあって、まずいろんな映像を撮ってみて、そこからどんな風に編集していくか決めていく?あまり聞くことのない「動画ができるまで」をお聞きしてみました!

岡部「流れはまちまちですね。『熊本市制130周年 熊本城ホール開業記念メイキング映像 2019』のようなものもまずは素材を集めて、そこからどう組み立てていこうかどう演出しようか、という話し合いを同時進行で進めて行く感じでしたね。建設中も撮影に伺ったりするんですけど、そこでどんなことが起こるかは行ってみないとわからないところもあったので、そこはなるべく寄り添って。建物のメイキングなどになると建設していく流れの中で何がどう進んでいくかわからないところもあるので、このような感じで寄り添いながら進めていくことが多いです。

逆に商品のプロモーションだったりすると先にモノもコンセプトなどもはっきりあるので、打ち合わせをして、テーマを決めて、それを元に現場とあわせながら絵コンテを作って、撮影するという流れで編集に入ることもあります。」

ちなみにこちらは、前回インタビューさせていただいたイラストレーターの野田さんが提出した絵コンテがほぼそのまま採用された熊本市 の高齢福祉課 新型コロナによる生活不活発病予防啓発CM。そんなパターンもあるんですね!


ナレーションやメッセージで気をつけていることはありますか?

山下「僕たちが動画を作るとなった時に、伝えたいことが書かれた台本やパンフレットなどの目で読むための原稿をいただくことが多いんですが、これを僕らは音で聴くための読み原稿に直す、という作業はよくやります。聞いていて自然な話し言葉に直すとかですね。あと短い時間の間に表現するのであれば、同じニュアンスを持たせながらどこに重点を置いて表現していくかや、同じ単語を二度使わずにどう同じことを表現するかなど細かいところを調整しています。」

岡部「あと目で読んで得る情報と耳で聞いて得る情報だったら、音で得る情報量の方が多いと思っています。音で聞いた方が、すーっと頭にはいってくるので、より多くの情報を届けられますよね。」

そしてこちらは熊本市MICE誘致動画。ナレーション原稿は松田さんが担当されたとのこと。こちらの動画ではどんな松田節が聞けるのかお聞きしてみました。

松田「MICEっていうのは企業等の会議(Meeting)、企業等の行う研修旅行(Incentive Travel)、国際会議 (Convention)、展示会やイベント(Exhibition/Event)の頭文字をとったもので、熊本へそれらの誘致を促す動画だったんですが、まず冒頭1分部分は、実は直接は関係がないナレーションが入っています。熊本の自然や歴史、民族性などを伝えるためのものです。僕はナレーションを作る時、少し詩的にすることとか、聞いていて心地よく感じるようにっていうことをいつも意識しています。だから本当だったらもしかしたら直接施設の話から入っても良かったんだと思いますが、冒頭部分にこのナレーションを追加しました。」


人が心地よくみられる適切な動画の長さってどのくらいでしょうか?

ちなみにこちらの「Piano on Stage 熊本城ホール 2020」は(1分54秒)

岡部「自分の感覚ではある程度どんな案件ならどんな長さが適切かという感覚はあります。ただ、どんな内容をどんな目的で使いたいかやどんな項目があるかで判断していくのでケースバイケースですね。」

山下「僕はだいたいそういう案件がきたら、まず2分って言っています。全く興味がない人に見てもらうとしたら、2分が限界じゃないかなって。印象の1分、説得の1分。どうしても言いたいことってあると思うんですよ。それで1分。どうしても印象付けたいもので1分。まずはそこからご提案して、あとは内容によってご相談ですね。」

岡部「確かにだいたい映画のトレイラーくらい(1分30秒〜2分程度)かなっていう感覚はありますね。」


動画の"引き算"って、どんな風に選定しているんですか?

たった1分や2分に作品をおさめるとしたら、どの"画"はいらない!どの"画"を残す!という選定作業が入ってくるはず。でも「どれもよくて選べない…!」という時、どんな風にその動画の"引き算"をされていますか?

岡部「僕は、この"画"を活かすためにまわりのどの画を残すかであったり、全体としての流れからであったり場合によって違いますが、全体としてのバランスを取れるように選んでいると思います。たとえばめちゃくちゃ良い"画"がふたつあって、どちらも残したいけど意味合いは同じ。それであれば残りの"画"を使ってどちらがより活きてくるかな、というのを考えます。動画は、つながりをもたせてこそ"映像"なので、ひとつひとつの動画の良し悪しだけではなく他とのバランスなどを見て、その時その時の判断をしています。」


動画編集に「これで完成!」というポイントってありますか?

こちらは「A Girl in the Elevator Teaser」 by 松田さん。たとえばそれが作品だったら、「これで完成だ!」と思える瞬間ってくるものなのでしょうか?

松田「僕は編集をしたら、自分用のVimeoにアップして見てみて、また気になるところを直してっていう作業をするんですが、だんだんと、直したいと思わなくなってくるので、そうしたらOKかなって判断します。」

岡部「僕は次の日見るとまた変わっちゃうので、今まで『これで完成!』って思えたことは一度もないですね。会社で作って『これで最高!』って思ったのに、家に帰ってまたみたら違う。時間でも場所でも変わったりするので、僕はこの"動画に完全に納得できることはない"ということにずっとつきあっていかなくてはいけないんだろうなあと思っています。」

山下「僕は編集してもらうことがほとんどなんですけど、僕の中の基準は、『最初の10秒と最後の10秒が好きだったらOK』です。HAPPYとか、僕フルではほとんど見ないんですけど、一番最初の電車のシーンがすごく好きなんですよ。それだけ何度も見たりする。お客様と話す時にも大体そこをつめますね。最後何を伝えたいの?から入って、じゃあ最初何から入ろうか、と話す。僕もだから通しで全体をなんども見るような気に入った動画というのは、まだ、ない!そういうものかもしれないですよね。」


動画に合わせる音楽ってどのタイミングで決めていますか?また、シーンの切り替えと音楽を合わせたりしますか?

ー動画編集って、音楽次第でだいぶがらっと変わってしまうのではと思うのですが、どのタイミングで音楽って決めていますか?

岡部「そうですね、曲が変わると編集はだいぶ変わります。印象の半分はやっぱり音楽なので。でも最初から決めるかと言われると、場合によってまちまちです。先にイメージを置いて、そこから音楽を決めて行って、編集をしていく。結婚式なんかでは先に音楽が決まっていますが。僕は中盤か後半で決めることの方が多いですね。」

ーシーンの切り替えのタイミングは音楽のタイミングにぴったり合わせますか?それともちょっとずらしますか?

岡部「僕はずらす方ですね。どこかでは合わせますが。カットの切り替えを合わせるのもありますけど、画の動きが音楽と合っていたり、テロップがあっていたり。」

松田「僕はぴったり合わせる方です(笑) 」

岡部「人によってリズムの取り方って異なるので、実はカットの切り替えだけじゃなくて、何かがあっていれば人は心地よく感じることができると思っているので、僕はわりとずらしています。ただ、それをみたクライアントさんが、『これなんかあってなくない?』って言ったとしたら、それは実は別のポイントであわせているんですけど、でもそれを説明しなくちゃいけない時点で心地よい動画ではないのでクライアントさんの感覚に寄り添っていくようにしていますね。」


外の方向けの動画を制作されるときに意識している点はありますか?

熊本県菊池市PR動画:「In Search of Samurai」by 松田さん

ーHubさんの作品の中には、英語のナレーションのものがいくつかあると思うのですが、海外の方向けに制作する動画を制作する際に意識している点ってありますか?

松田「海外の人が思う"日本"のイメージに合うように意識するということはあります。あとは、全く知らない土地のことを知ってほしいわけなので、僕の場合、必ず感情移入できる外国人の方を主人公にして、ナレーションもその主人公目線になっています。

あとやっぱり、見せたい人がどういう人なのかはずっと意識していますね。熊本のPR動画を海外向けに作るとなったら、日本が好きだとしても、さらにそこから"熊本"っていう場所を選んでくる人ってどんな人だろうと。きっとそういう人たちはアイコン的な日本が好きなのではなく、もっとニッチな何かを求めてくる。なら菊池市であれば、実は京都と同じくらい古い1000年以上の歴史を持っているんだよ、というところとか。そういう視点で物語やメッセージを伝えるような構成にしたりします。」


みなさんがお気に入りの1本、あるいはお気に入りのシーンを1つだけ選ぶなら、どの動画を選びますか?

熊本市制130周年 熊本城ホール開業記念メイキング映像 2019

岡部「僕はやっぱり熊本城ホールのメイキング映像ですね。どこがお気に入りというより、膨大な量の映像から、たった数分の映像にまとめたというところがすごく印象に残ってますし、やってやったな、って思います(笑) だいたい20〜30時間の素材映像を、後半の3分程度にまとめたので。約1年くらいかけたプロジェクトだったので、カット数も多くて本当に大変でしたね。」

水俣ローズフェスタ2019秋 CM 

松田「僕はナレーションで言うと、このエコバラちゃんのCMですね。エコパーク水俣という施設のバラ園のCMなんですけど、『熊本のきれいな水で育ったバラだから、みんなの愛がたくさん詰まってる!』っていう文、ちゃんと改めて聞くと意味がわからないと思うんですけど、このCMのナレーションで聞くとすんなり入ってくる。この、動画でだからできた表現というか、ナレーションを担当してくださった三人組の方のキャラクターなんかも想像しながら組み立てた声ともぴったりあっていて、僕的にはこのナレーションがお気に入りです(笑) 

あと、最後のところの『春になったら、水俣へGO!秋になったら、水俣へGO!みんなで、水俣へGO!』のところのGO!GO!GO!っていうこの流れもすごくうまくできたなと思ってます。 このバラ園のバラは春と秋に咲くらしくて、それを強調してほしいと言われていたんですが、それをうまく表現できたかなと。僕は割と普段、真面目なナレーションが多いし、それが僕のスタイルなんですが、そんな僕が新しい表現にチャレンジしてうまくいったので、お気に入りですね。

他にももう一本、まだ公開されていないPVがあるんですが、それも、僕なりに新しい表現にチャレンジしたものなので気に入っています。色々動画の表現にも流行りがあって、それにあこがれたりすることもあるんですが、僕はちゃんとおじいちゃんにでも伝わる、魅せられる動画を目指したいと思って、僕は僕のスタイルを探していきたいなと思っています。この未公開の作品は流行りを追うのではなく、それでも自分なりの表現で負けずに映える画を表現できた作品として、すごく気に入っています。」


動画の向こうにある、編集屋さんのもうひとつの物語。

普段何気なく見ているプロモーションビデオやCM。自分でほんの少し動画編集をしてみたことをきっかけにずっと私が気になっていた動画編集に関わるあれこれに、快くお答えいただき、さらに動画編集の奥深さを知りました。シーンの切り取り、画の持つメッセージ、カット割りや音楽との調和。ナレーションの言葉の選び方ひとつとっても、やっぱり私たちの知らぬさまざまな気配りがあるんですね!

「やり方は、作品によってまちまちですよ。なるべく寄り添うようにしています。」と岡部さん。やり方にはめていくのではなく、状況に合わせて最も最適な形でクライアントさんに寄り添う心優しき編集屋さん。
「自分らしく、かつ、ずっと残っていく映像を作りたいですね。」と松田さん。自分にしかできない伝え方で、たったひとつの全ての人へ伝わる映像を紡いでくれる心優しき編集屋さん。
(あれっ。Hubさんには心優しき編集屋さんしかいない…!)

動画作品に込められた対象のもつストーリーやメッセージ。そしてその作品の向こう側には、もうひとつ、編集屋さんたちの想いや物語があるんだよなあと気づいた日。いろんな人の想いを乗せて、今日もハブクラフトは素敵な物語をお届けしております🙌

ぜひぜひ、文中の動画作品もそれぞれもう一度見てみてくださいね!
きっと1回目と違う何かに気づくはず♬

なんだか今なら自分でも素敵な動画が編集できそうな予感・・?!
本日もありがとうございました!😊

(つづく)


動画:Hub.craft
写真・文:谷本 明夢




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