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帰ってきた!わざわざ熊本に来たくなるプラモデルイベント、ふらっと立ち寄り大歓迎な"9shu Modelers Camp"

みなさんは子どもの頃に【プラモデル】って作ったことありますか?
ロボットや戦車、船にアニメキャラクター。「ガンプラ(ガンダムのプラモデル)」と言ったら、ほとんどの男の子たちが通ってきた道かもしれません。

ちなみに私は、プラモデルは見たことはありますが、作ったことは皆無。三十余年の人生の中で、これまで接点がほとんどなかったプラモデル素人です。

しかしなんと!そんなプラモデル素人な私でも家族と一緒に楽しめてしまうという、伝説のプラモデルイベント「第4回 9shu Modelers Camp(九州モデラーズキャンプ | 以下 9MC)」が九州は熊本の蔦屋書店 熊本三年坂にて、2022年11月12日(土)と13日(日)の2日間にわたって開催されるという噂を聞きつけ、その魅力についてお話を聞いてきました!

今回は、9MCの発起人でもある

  • カトウ コバンさん

  • ゴンザレスいけぽんさん

  • rieco katouさん

  • のきさん

の4名のみなさまに、

「9MCってどんなイベント?」
「プラモデルってどう楽しんだらいいの?!」

といったテーマでお話を伺います。
プラモデル好きな方も、そうでない方も、ぜひ子どもの頃のワクワクを思い出しながら読んでいただけたら嬉しいです。



通りすがりの人でも楽しめるような、
もっとオープンなプラモデルイベントがやりたい!!

左から、riecoさん、コバンさん、いけぽんさん、のきさん

ー9MCの誕生のきっかけを教えてください。

カトウコバンさん(以下コバン)「きっかけは、自分が最初に参加したプラモデルの展示会で違和感を感じたことです。

プラモデルの展示会って、一般的には会議室などで行われることが多いんです。それぞれが持ち寄った作品を会議室の真ん中にある机に飾り、壁際は椅子が並び、そこに重鎮の方が座っている。会議室なので、そのイベントのために来た人じゃないと入れないし、入らない。そんな閉じた世界の中で何か圧のようなものを感じて、『もっとフラッと来て、見て楽しめないもんかな』と思ったんです。」

ーフラッと立ち寄れるようになると、どんな価値が生まれるのでしょうか?

コバン「例えば旦那さんが模型を作りたくても、奥さんが塗料を薄める時などに使うシンナーの臭いが苦手だと敬遠されてる場合も多くあります。でも今のプラモデルでは、シンナーを使わずに普通のアクリル絵の具で色を塗ったりするなど、臭いを気にしなくていい方法がたくさんある。そういうさまざまな楽しみ方をイベントで発信することで、フラッとたまたま通りかかった旦那さんがそれを見て、『こんな方法があるならまたプラモデル作れるじゃん!』って思って欲しい。そういうプラモデルとの接点が普段ない方に魅力を届けることは、閉じた空間ではできないことかなと思います。」

ー開催される蔦屋書店 熊本三年坂は熊本市街地の真ん中で、まさにフラッと立ち寄りやすい場所になっていますね。

のきさん(以下のき)「コバンさんといけぽんさんと、自分たちで新しい展示会をやりたいね、という話になった時に、普通に通りかかった人に気楽に見ていただけるにはどんな場所でやったらいいかと、Hub.craftの山下さんに相談したんです。その時に山下さんが、

『それなら蔦屋書店 熊本三年坂っていういい会場があるよ。お金はかかるけど、その費用はクラウドファンディングで集めたらどう?』

と案を出してくれて、プラモデルイベントとしてはあまり前例のないクラウドファンディングへの挑戦も決めました。有難いことに、そのクラウドファンディングが話題になり、これまでに九州はもとより大阪や関東、北海道などからもたくさんの方に足を運んでもらうことができました。」



プラモデルを作らない運営メンバーもいるからこその
モデラーも素人も楽しめるワクワク空間に

2019年開催の様子

ー9MCの特徴はどんなところでしょうか。

コバン「一般的な模型展示会では、本格的に活動されているモデラーさんたちだけで作り上げることが多いです。一方で9MCの強みは、僕の奥さんで裏方として運営を手伝ってくれているriecoさんとか、昔は作ってたけど今は作っていないのきさんとか、Hub.craftの山下さんのように運営メンバーの約半数がプラモデルを今作っていない人だっていうことだと思います。今作っていない人、作ったことがない人の目線がわかるっていうことです。

例えば、昔は模型をやっていたけど今は作っていないお父さんの気持ちと、さらにその奥さんの気持ちや立場も同時にわかる。だからその人たちにどう楽しんでもらえるかなと考えて魅せ方を工夫した結果、『他の展示会とは違うね』だったり『雰囲気がおしゃれ』と言ってもらえるようになりました。むしろそういったプラモデルを作ってない人たちの方から、僕たちは力をもらっていると感じています。」

ゴンザレスいけぽんさん(以下いけぽん)「逆に、作らないからこそのいろんな発想が出て面白いですね。だから買い物ついでにとか、本屋さんの立ち読みのついでに行ける雰囲気にできている。今プラモデルを作っていない人が関わっているということが、9MCの一番の特徴であり、たくさんの方に楽しんでいただける秘訣だと思います。

ー確かに過去の開催の様子を映像で拝見しましたが、プラモデルに詳しくない私でもちょっと覗いてみたくなるような、楽しめそうな雰囲気だったのが印象的でした。
一方で本格的に活動されているモデラーの方が楽しめるポイントはどんなところですか?

のき「モデラーに人気のメカトロウィーゴというロボットキャラクターがいるのですが、そのデザイナー、モデリズム/小林和史さんをゲストにお招きして『あつまれ!みんなのメカトロウィーゴ in 九州』という公式スピンオフ企画を例年に続き開催させていただけることになりました。」

いけぽん「この小林さんという方は、エヴァンゲリオン劇場版などでモデリングを担当されているような本当にすごい方なんです。私がブログを通じてお知り合いになり、その繋がりから9MCには初回から足を運んでいただいています。」

こちらが大人気のメカトロウィーゴ

のき「メカトロウィーゴはエヴァンゲリオンや初音ミク、BEAMSとコラボレーションする人気ロボット。みんなで思い思いにカラーリングしたメカトロウィーゴを、その生みの親である小林さんと一緒に持ち寄って展示したり交流したりできることは、モデラーにとっても貴重な機会。さらに今年は小林さんに加え、マルチジャンルのジオラマ作家 ・WildRiver荒川直人さんもゲスト参加してくださることになっていて、荒川さんの作品を見られることも楽しみの一つです。」

ーあこがれのプロフェッショナルの方とも交流できるイベントなんですね!

コバン「モデラーの人にとっては、仲間に見てもらうことももちろんですが、一般の方の素の反応を見ることができるのが嬉しいんです。さらに小林さんというすごい方と直に話せる喜びもあって、本当に遠くからも足を運んでくださる方がいます。そして、来られなかった方にも『わあ、熊本行きたかった!』って言わせたい(笑) 」

のき「地方の人たちって、通常東京に行かないとそういうオフィシャルのイベントや、有名な方に会えるチャンスってないんですよね。そこで逆に、九州に東京から人が集まっちゃうようなイベントがやりたかったんです。足の悪いおじいちゃんが、『東京は遠くて行けなかったけど、9MCがあってすごく嬉しかった』って言ってもらった時は、9MCやってよかったと思いました。」


大人の心に残っているワクワクの種火を再燃させたい
親子でも楽しめるプラモデルの魅力を発信

プロの技に思わず魅入る参加者のみなさま

ーみなさんはいつ頃からプラモデルを作られているんですか?

いけぽん「私は今年53歳なんですが、小さい頃にプラモデルブームがあったんです。自作のモーターで走る車なんかを普通に男の子たちは作っている時代だったので、私も小学校1・2年生くらいのころから作っています。他にもいろんな趣味はありましたが、ずっと続いているのはプラモデルだけですね。」

ー子どもたちは、どんなきっかけでプラモデルを始めるのでしょうか。

いけぽん「今と昔で違いはあるかもしれませんが、当時はテレビで出てきたロボットを自分で作りたいという子とか、おもちゃは高いけどプラモデルなら比較的安いので自分で組み立てておもちゃの代わりにする子なんかがいましたね。」

コバン「さらに男の子って、コレクターの気質があるじゃないですか。だから作っているうちに『これ全種類揃えてみたいな』なんていう気持ちが出てきて、のめり込んでいっちゃうんですよね。」

ー低価格で、しかも作って遊ぶものだと親としても買ってあげたくなりますよね。

のき「僕もまだ周りの子たちがみんなゲームを持っていた世代ではないので、親としてもゲームをさせるよりは、手でものを作るプラモデルの方がまだ健全だろうって思って買ってくれていたんでしょうね。」

コバン「おそらくそんな感じで、たくさんの人が一度は子どものころにプラモデルにハマって、同時にたくさんプラモデルから卒業してしまったと思うんです。でも卒業してしまった人たちはきっと、プラモデルにワクワクするような心の種火が残ってると思うんですよね。それを再燃させるために9MCをするようになりました。」

ーなるほど。通りすがりの方が入りやすい会場で開催したかった理由は、そういった種火を残している人がプラモデルに再会して、懐かしいワクワクした気持ちになれるきっかけを作りたいということなんですね。

rieco katouさん(以下rieco)「私はカフェを経営しているんですが、そこでもちょっとした出会いのきっかけを作っています。そのカフェには壁が一部ガラス張りになっていて、隣にある主人(コバンさん)の模型部屋が覗けるようになってるんです。そうすると、のぞき窓の存在を通してその種火を残した元少年たちの反応が見えたりする。そういう方々は普段展示会にはいかないような方だったりするんですが、9MCのことを伝えてみると、今度行きますね、と言ってくれたりします。」

ーやはり普段触れるきっかけがないだけで、心に種火を持っている人は実はたくさんいらっしゃるかもしれないですね。

コバン「そうなんですよね。そしてそういうきっかけできてくださった方がもしお子さんがいたとして、お子さんとも一緒にやれたらさらに楽しいじゃないですか。だからプラモデルって、家族でも楽しめるよね、という提案もできたらいいなと。子ども向けに、刃物を使わずに簡単にパチパチと作れるものもあるとか。塗装も油性マジックやポスカなどで気軽にできるよ、とか。」

のき「展示会にご家族で来てもらって、すごく喜んでもらっているのを見るとなんかこちらも嬉しい気持ちになりますよね。」




クリエイターとのコラボレーションで
さらに違った角度からプラモデルの世界を楽しむ

コバン「9MCのポスターは、のきさんが作ってくれているんですが、これがすごくおしゃれに作ってくれているので人気なんです。イベントが終わった後、回収したポスターをみんな欲しがるので、じゃんけんで勝った人だけが持って帰れます。

自分の作品が、おしゃれなポスターになるだけでも嬉しいんですが、家で奥さんがそのポスターを見て『あなたの作品そんなに格好良かったのね』って言ってくれたんです、という方もいました。そうやって写真を通して旦那さんの趣味を奥さんが評価してくれたというのは、僕たちもめちゃくちゃ嬉しかったです。」

ークリエイターとのコラボレーションで、ご家族にまでその魅力が伝わったと!すごいですね。

コバン「そうなんです。さらにのきさんはカメラマンでもあるということで、プラモデルの上手な撮り方を教えてくれたり。」

いけぽん「そんな展示会ないよね。」

コバン「さらに会場で、Hub.craftの山下さんが毎回動画を撮影してくれるんですが、それがみなさんから大絶賛で。普通だったら顔が写るのを嫌がるような方が『この映像だったら映っててもいい』っていう反応ばっかり。本当に知らない間に一生懸命プラモデルを飾ってるところとかを撮られてるんですが、めちゃくちゃうまいんですよ。」

いけぽん「かっこいいプロモーションビデオに出てるっていう感じだから、むしろ映ったら喜ぶみたいな感じだよね。」

コバン「本当に、さっきもお伝えしたように、模型をされていない方の力が本当に9MCはすごいと思います。毎回感謝の気持ちでいっぱいです。」



9MCの主役はモデラーじゃなく、
ふらっと立ち寄ってくれるお客さんたち

みなさんの渾身の作品がズラリ(2019年)

ーみなさまのお話を聞いて、参加されているモデラーさんたちだけでなく、ふらっと立ち寄ってくださった方のワクワクする笑顔がなんだか浮かんでくるような気持ちになりました。

のき「それが僕たちの行動理念というか、みんなやっぱりそこがエネルギーでやっているんだよなと今お話ししながら再確認しています。」

コバン9MCは、参加するモデラーさんが主役なのではなくて、ふらっと見に来てくれたお客さんたちが主役のイベントなんですよね。そういう方の言葉って見たまま素直な反応だから、そのお客さんの反応を見て、モデラーが満足して帰っていく。だからもっとたくさんの人に見てもらって、もっと盛り上がって行けたらいいなと思っています。」

ー第4回9MCに来てくださるみなさまに、一言ずつぜひお願いします。

コバン「今もまだ、何か新しいことを始めようとしてもなかなか制限があり難しい時代です。それでもその制限の中でどう楽しんでもらおうかと考えて、空間の強みや仲間の能力を活かした形で、今年もさらにパワーアップしていけたらと思っています。」

いけぽん「個人的には、9MCはこの歳になっても文化祭のようなワクワクを味わえる場所なんです。文化祭って準備はすごく大変で、当日に向けてキツいんだけどワクワクでテンションが上がっていく。そこには気が合う仲間もたくさんいて、和気藹々楽しみながらずっと続けていけたらいいなと。

またやはりまだコロナ禍であることもあり、遠方から来ることが難しい状況でもあります。でもそんな中でも、『自分たちは、いつでもここにいるから』という雰囲気を守っていきたいと思っています。」

のき「9MCでは、参加してくださった人たちがそれぞれの持つ得意なことが発揮できる場所であり、そしていろんな形で『楽しい!』の気持ちをシェアしあうことができる場でありたいなと思っています。モデラーさんも、クリエイターの人たちも、そうでないみなさんも、ぜひ遊びにきていただけたら嬉しいです!」

rieco「私は今回受付を担当させていただくのですが、私が運営しているカフェで直接お声がけしたお客様が、どのくらい来てくださるかな〜と期待しながらお待ちしております。ご主人などは結構興味を持ってくださっていたり、元々模型をされていた方もいらっしゃるということで、ご家族で来てくださったらいいなと思ってます。」


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9月12日に開始したクラウドファンディングは、なんと当日のうちに目標金額を達成するほど大人気の「9MC」。その人気の秘密は、運営の方が作り出す、垣根を越えた笑顔あふれる優しい空間そのものなのかもしれません。

とにかくインタビュー中みなさんの笑顔が少年少女のよう!子どものころに、面白い遊びを見つけては友達に「一緒にやろう!楽しいよ!」と言っていた自分のような、素直なワクワクとキラキラに満ちた空間が待っているのだろうなとお話を聞きながら行きたさMAXになりました。

モデラーの方も、プラモデルを一度卒業してしまった方も、今まで触れたことがない方も、ぜひ2022年11月12日(土)と13日(日)、熊本の蔦屋書店 熊本三年坂に足を運んでみてはいかがでしょうか?
会場にて、プラモデルたちと一緒にお待ちしております!


▽クラウドファンディングは10月15日まで!詳細もあります!

▽9shu Modelers Camp 公式サイトはこちら!




インタビュー:カトウコバン、ゴンザレスいけぽん、rieco katou、のき
写真:山下史(Hub.craft)
映像:Hub.craft
文:谷本 明夢


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